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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第八十二話 私達は海で遊ぶ

 ずっと何かが胸の奥に仕えているような気がするのだが、私は唯ちゃんと一緒に過ごすことが出来ることだけを考えていてあまり深く考えていなかった。今にして思う事なのだが、最初からちゃんとみんなの事を見ておけば良かった。


 二日目の朝はやや雲も多めではあったけれど海で遊ぶにはこれくらいの天気の方が日陰も出来ていいんじゃないかと思える感じではあった。風も若干ではあるが海から陸に向かって吹いてきてはいるが海水浴の邪魔になるほどではない。

 昨日来ていたからという事もあるのだろうが柊政虎と千雪の的確な指示のもと私達が休憩するための場所はあっという間に完成していたのだった。と言っても、主に使うのは海に入らない鬼仏院右近と桜唯菜の二人だとは思う。

「愛華ちゃん、準備できたら一緒に海で遊ぼうよ。お兄さんは体力があまりないみたいだから昨日はほとんど一人で遊んでたんだよね。今日はお姉ちゃんも愛華ちゃんもいるから千雪も昨日より楽しんじゃうんだ。お兄さんみたいにちょっと頼りない人がいるのは困るけど、お姉ちゃんと愛華ちゃんには期待しているからね」

 千雪は私の返事も待たずに一人で海へと入って行った。唯ちゃんはそんな千雪を優しい表情で見守ってはいたのだけれどなぜか私に向かってお先にどうぞというジェスチャーをしてきたのだ。後ろを確認してみると柊政虎は小屋に向かってまだ用意しようとしているのか海に入ろうとはしていなかった。さっさと準備をして海に入ればいいのにと思っていたのだが、とうとう千雪に名指しで呼ばれてしまったので海に入るしかなくなってしまったかもしれない。

 少しでも時間を稼ごうと念入りに準備運動をしてから海に入ったのだが、数年ぶりに入る海は思っていたよりも温かく足元を掬っていく波も多少くすぐったい感じはあったものの心地良いものであった。

「愛華ちゃんってがっつり泳げる人?」

「それなりだとは思うよ。海で泳いだことは無いけど」

「そうなんだ。じゃあ、あの堤防まで競争しようって言ったら勝負してくれる?」

「その勝負には乗らないよ。あそこまで結構距離もあるし、あっちの方はちょっと深そうだから危険だと思うし」

「うーん、愛華ちゃんの言う通りかもしれないね。それだったらさ、この辺にある貝殻を拾おうよ。それならいいでしょ?」

「そうだな。それくらいだったらいいかもしれないな」

 私は正直に言うとあまり海に顔を付けたくはなかった。特に深い意味はないのだけれど、何となく顔に海水がつくという事が嫌だった。そんな私とは対照的に千雪は体ごと海に入って足もとに埋まっている貝殻をこれでもかというほどに集めていた。私は足の指を器用に使って貝殻を集めようとしたのだけれど、そんな方法で集められる貝殻なんてそんなに多いわけも無かった。勝負の結果は誰の目から見てもわかるくらいに大差がついていたのだけれど、その貝殻は全て海の中へと戻されたのだった。

 ほぼ足を使って貝殻を集めていたのだが、その動きでも思いのほか疲労はたまっていた。そこまで激しい運動をしていたとは思えないのだけれど、私の足はいつものように動くことは無くまるで足首に重りを付けているんじゃないかと思えるくらい上がらなかったのだ。

「千雪ちゃんって思っているよりも元気だから一緒に遊んでると普段の倍くらい疲れるだろ」

「そうかもしれないけど、順番に遊んでたら千雪は満足してくれるんじゃないか。昨日は物足りなかったって言ってたし」

 私は唯ちゃんと入れ替わる形で椅子に座ったのだが、その隣に座っていた柊政虎に話しかけられてしまった。他に空いている椅子も無いのでここで休むしかないのだけれど、どうしてこいつは当然のように私の隣にいて話しかけてくるのだろう。それに、こいつが渡してくれた水は持っているだけでも疲れが取れてしまうじゃないかと思うくらいにキンキンに冷えていたのだった。

「昨日は結構遊んであげたと思うんだけどな。でも、後半はほとんどここで休んでたようなもんだったかも」

「後半はって事は、前半はずっと海に入っていたのか?」

「ずっとってわけでもないけど、ほとんど海に入ってはいたかな。たぶん愛と千雪ちゃんが遊んでいた辺りで貝殻を拾ったり魚を見付けて追いかけようとしたりしてたと思うよ」

 唯ちゃんと千雪は二人で何かを追いかけているように見えるのだが、あれは魚を見付けて捕まえようとしているのかもしれない。素手で魚なんて捕まえられるものなのだろうかと思って見ていたのだが、二人は何度も何度も海の中に潜っては数秒で出てくるという事を繰り返していた。

「昨日も思ったんだけどさ、千雪ちゃんって凄く元気だよな。普段はあんなに元気に遊んだりする感じじゃないと思うんだけど、海だからテンション上がってるとかあるのかもな」

「それはあるかもしれないな。私も海が見えてきた時はちょっとテンション上がっちゃったからな」

「そうだったよな。後ろから見てたけど、あんな姿の愛はもう二度と見れないんじゃないかって千雪ちゃんと話してたくらいだからな」

「その話はしなくていいわ」

 私も普段であれば海が見えたくらいであんなにテンションをあげたりなんてしないのだけど、なぜか今回に限っては一気にテンションが上がってしまっていた。その理由はわからないし、多分答えなんて出ないんだろうけど、数年ぶりに見た海があまりにも綺麗だったので無駄にテンションが上がっただけなのかもしれないな。

「そう言えば、神社はどうだったんだ。千雪からも聞いてないんで詳細がわからないんだが、どんなところだったんだ?」

「それがさ、階段を上った先にある鳥居をくぐったところまでは思い出せるんだけど、それ以降の記憶はないんだよね。疲労がたまっていたところにあの階段を上ることになったんで軽く意識が飛んでたのかもしれないんだよな。千雪ちゃんに聞いても神社に行ったという事しか教えてもらえなかったんだよな」

 たぶん、こいつはほとんど寝ないで参加していたのだろう。昨日も集合した段階でも眠そうにしていたのを私は見ていた。そんな寝不足な状態でほぼ一日中遊んでいたんだからところどころ記憶が無くなっていても仕方ないのかもしれないな。あれだけ遊んでいた後に怪談を上るというのも酷な話だとは思うけれど、後で私達もそこに行くことになってるんだよな。そんな事を考えると、唯ちゃんとこいつにはもう少し千雪と遊んでいてもらわないといけないな。

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