表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/100

第八十話 神社というものは不思議な場所なんだな

 恐る恐る階段を一段ずつ上っていたのだけれど、その途中で俺は何とも言えない違和感に襲われていた。何か変なところがあるわけでもないのだが、鳥居も階段も想像しているよりも綺麗で本当に管理されていない廃神社なのかと思ってしまうほどであった。

 街灯なんかは当然無く、俺が持っているガスランタンの灯りがぼんやりと周りを照らしているだけなので全容を確認する事は出来ないのだけれど、目に見える範囲で何か壊れていたり荒されているようなところは確認できなかった。

 やっと見えてきた頂上の先は暗闇に包み込まれているが、うっすらと見える鳥居も入口にあったものと同様に欠けていたり壊れていたりといった様子は見受けられなかった。俺と千雪ちゃんはゆっくりとした足取りで階段を上り切るとそのまま鳥居をくぐってさらに先へと進むのであった。

「下にあった鳥居は赤かったのに上にある鳥居は白なんだね。何か意味でもあるのかな?」

「意味はあると思いますよ。意味が無いのに色を変えるとか普通はしませんよね」

「そうだけどさ、千雪ちゃんなら何か知ってるのかなって思ってさ」

「まあ、お兄さんがそう思うのも仕方ないとは思いますよ。たぶんですけど、千雪の方がお兄さんよりもそういう知識はあると思いますからね。でも、上と下で色を変えている意味はわからないです。たぶん、特別な理由があるか何も考えずに作ってしまったかのどっちかだと思いますよ」

 千雪ちゃんがそういうんだったらこれ以上この話題を続けても意味はないのだろう。旅館に戻った時にまだ気になっていたら調べればいいだけの話であるし、おそらく俺は旅館に戻った時点でそんな事は覚えていないと思うので気にするだけ無駄なのかもしれない。

 鳥居を抜けてしばらく歩いていたのだけれどいっこうに神社らしき建物は見えてこない。他に道も無いので間違えようもないと思うのだけれど、この道を進んで大丈夫なのだろうかと思い始めていた。そんなことは無いと思うが、何かに化かされているのではないかという疑念も浮かび始めていたのである。

「夜にこういう場所に来ると何かあるんじゃないかなって思っちゃいますよね。でも、そういうのって何も無いのに自分が勝手にそう思い込んでしまっているだけっぽいですよ。たぶん、お兄さんは何も無いこの道を進んで大丈夫なんだろうか。鳥居をくぐってしばらく経つけど何も見えてこないのはおかしいんじゃないか。って思ってますよね?」

「なんでわかるのかな。そんな感じの事は考えていたけど」

「それはわかりますよ。だって、千雪も同じこと思ってますもん。お姉ちゃんは鳥居を抜けてもしばらく何も無い道が続くけど気にしたらダメだよって言ってただけですからね。そのしばらくがこんなに続くなんて思ってなかったんでちょっとだけ千雪も焦ってますからね。前に来た時はこんなに遠くなかったような気がするんですけど」

「前に来た時って、一人で来たの?」

「一人で何て来ないですよ。その時はお姉ちゃんだけじゃなくてお母さんも一緒でした。こんなに歩いていた記憶はないんですけど、お兄さんと一緒だから神様も嫌がって道を長くしちゃってるんですかね」

「俺って神様にも嫌われてるって事なの?」

「そうなんじゃないですかね。お兄さんの事を好きな人なんてお姉ちゃんと右近君くらいじゃないですか。その二人以外の人はお兄さんの事を好きではないと思いますよ。もちろん、千雪もお兄さんの事は別に好きとかじゃないですから。そこだけは誤解しないでくださいね」

 誤解も何も好かれているとは思っていないのだが。それを直接言うのは角が立つと思うので大人な俺は黙っているのだけれど、もしかしたらそれって千雪ちゃんの照れ隠しだったりするのかもしれないな。これだけ長い時間近くにいるって事は、そういう風に思っている可能性だってあるって事だとは思うんだよな。

「あ、お兄さんと一緒に過ごしてたのって特に意味はないですから。聡明なお兄さんだったら勘違いなんてしないと思いますけど、あえて伝えておきますね。千雪はお姉ちゃんが好きなお兄さんと特別な関係になりたいなんて思ったことないですから」

 何度も念を押されているように思うのだけれど、これってやっぱり千雪ちゃんなりの照れ隠しなんじゃないかな。だからと言って俺はその気持ちに応えることは出来ないんだけど、それを千雪ちゃんもわかっているからこそ言葉には出さないだけなのかもしれない。俺の気持ちは唯菜ちゃんにだけしか向いていないという事はみんな理解していると思う。


 時計を見ると階段を上り切ってから十分も経っていなかったのだ。体感的には一時間以上は歩いていたように思えたのだけれど、それは俺の気のせいであったようだ。千雪ちゃんに聞いてもそんなには歩いていないというし、ただ俺が付かれていてそう感じただけなのかもしれない。

「階段から一時間以上も歩いてたなんて普通にあり得ないですよね。ほら、やっと見えてきたみたいですよ。お兄さんにもちゃんと見えていますか?」

「何かあるのが見えてきたかも。アレが目的の神社なのかな?」

「当り前じゃないですか。他に何があると思ってるんですかね。神社以外のものがあるんだったら見てみたいですよ」

 ぼんやりと見えている建物はどう見ても神社には見えないのだけれど、あれは本当に神社でいいのかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ