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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第七十四話 日焼けを気にしない女子中学生は元気です

 バカみたいに海ではしゃいでいて思ったのだが、海で遊ぶという事は思っていたよりも体力を消耗してしまうという事だ。まだまだ若い千雪ちゃんは俺の事なんて気にせずに海の中に入って見たり砂浜を駆け回ったりして遊んでいる。あんなに激しく遊んでいたらせっかく縫った日焼け止めも効果が無いのではないかと思っていたのだけれど、病的なほどに色白だった千雪ちゃんは少しくらい健康的に日焼けした方が良いんじゃないかなと勝手に思っていた。その場合は、千雪という名前に相応しくないと思うけれどそんな事は俺の知った事ではないよな。

「お兄さんはもう疲れちゃったんですか。まあ、海で遊べるのは今日だけじゃないですしそれなりに楽しめればいいかもしれないですね。でも、お兄さんが千雪と二人だけで遊べる日なんて今日だけかもしれないんですよ。それなのに、お兄さんはそんなにダラダラとしてて後悔しないんですかね?」

「明日からは唯や右近も一緒に海に来るもんな。そうなると今みたいに二人だけで海で遊ぶって事は出来なくなると思うよ。だけどさ、千雪ちゃんと二人だけで遊ぶことにそこまで意味があるのかなって思っちゃうよね。それに、千雪ちゃんって勉強が出来て運動が出来ない典型的な頭脳派の人間だと思ってたのに、意外と体力あるんだね。そんなに元気なのって、若いってだけじゃないと思うんだけど」

「そうですよ。千雪は若いだけじゃなくて体力もあるんです。小さい時からおばあちゃん達と一緒に山に登ったり崖を下ったりって修行してましたからね」

「意外な事実だな。でも、その割には全然日焼けしてないよね。名前の通り雪みたいに透き通った白さを感じるんだけど」

「太陽が出てない時にやるから日焼けなんてするわけないじゃないですか。明るい時に修行しても意味ないですからね。まあ、今はその話はどうでもいい事ですよ。そろそろ休憩も終わりにしてもっと千雪と遊びましょうよ。それとも、夜になってから一緒に海に入りますか?」

「夜に海はダメでしょ。色々と危なそうだし、唯もさすがにダメだって言うと思うよ」

「お姉ちゃんならいいって言ってくれると思うんだけどな。でも、お兄さんがダメって言ったらお姉ちゃんもダメって言うかもしれないな。夜の方が絶対楽しいのに」

 小さい時から夜の山で修業しているという話が本当なのかはわからないけれど、千雪ちゃんが色白で若いだけという理由では説明できない程元気があるという事は紛れもない事実なのだ。それを唯に聞いたところで素直に教えてくれるとは思わないけれど、後でこっそりと聞いておこうかな。

「じゃあ、最後に一回だけで良いんで海の中で息止め競争しましょうよ。千雪が勝ったら明日からもお兄さんに遊んでもらうって事でいいですか?」

「俺が勝った場合はどうなるの?」

「お兄さんが勝った場合ですか。そんな事にはならないと思いますけど、そうなったら千雪がお兄さんと遊んであげてもいいですよ」

 それはどっちが勝っても同じなんじゃないかと思うんだけど、それを言ったところでそれは全然違うとか言ってきてその主張は曲げないんだろうな。悲しいことに俺はこんな小さな中学生の女の子と言い合いをして勝てるという自信は無いのだ。多少は遠慮して言いたいことも我慢してしまうという事もあるのだろうけど、俺はなぜか千雪ちゃんに対して強気に出ることが出来ないのだ。相手が髑髏沼愛華だったなら素直に思ったことを言えるのだけれど、なぜか千雪ちゃんが相手だとそうもいかないのだ。千雪ちゃんと唯の顔が似ているとかは関係なく、千雪ちゃんには言いたいことを全然言えずに最終的にはしたがってしまっている事が多いのだ。

「じゃあ、海に入ってから勝負ですからね。お兄さんがいっぱい遊んでくれたことはおばあちゃんにも教えないといけないですし、お姉ちゃんにも報告しときますからね。二人とも喜んでくれると思うんですけど、千雪が勝ったって報告の方が喜んでもらえると思うんですよ。ね、お兄さん」

 俺の手を引いて千雪ちゃんはそのまま海に飛び込んでいった。手を繋いだままの状態なので俺も同時に海に引きずり込まれてしまうのだが、こればかりは何度経験しても慣れることは無く海に入った瞬間は何が何だかわからない状況に陥ってしまっているのだ。こんな経験を人生で何度もしてたまるかという気持ちはあるのだけれど、今日一日だけでも両手で足りない位海に飛び込まされているような気はしているのだ。

 海から飛び出て死にそうになっている俺を見て千雪ちゃんは本当に楽しそうに笑っているのだけれど、さすがにこの状況の俺を見て笑うのは良くないのではないかという思いもある。しかし、楽しそうに笑ってくれている千雪ちゃんが見れるのならこれも良い事なのではないかという考えも少なからずあったりはするのだ。

「ちょっと、必死過ぎますって。ここは膝立ちでも大丈夫なくらいの深さなんですからそんなに慌てないでくださいよ。千雪の方が悪いことしてるんじゃないかって思っちゃいそうですもん。そんな風に千雪に心配させて気を引こうとか考えちゃダメですからね。そんな事しなくても、こうしてたくさん遊んでくれたんだからお兄さんの事はほんの少しだけいい人なのかもしれないなって思ってきたところですから。安心してくれていいですからね」

 ほんの少しだけいい人だという言葉はちょっと引っかかってしまうけれど、嫌われていないという事がわかっただけでも良しとしようかな。

 明日からはもう少しマイルドに遊べるといいなと思いつつも、今日が最後だという思いで俺は千雪ちゃんとの息止め競争に挑むのであった。勝っても負けても結果は何も変わらないと思うのだけれど、せめて一回くらいは男らしいところを見せて勝てるといいなという思いはあったのだけれど、その思いは簡単に破られてしまうのであった。

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