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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第五十一話 政虎はやはり嫌われているんだな

 政虎が殴られたのを見たのは久しぶりだった。最後に俺が見たのは愛華が政虎を殴った場面だったのだけれど、その時は憎しみからくるものではなく冗談に近いものであった。まあ、その時は愛華を挑発した政虎が悪いと思ったので問題はないと思ったのだけれど、今の状況では政虎は悪くないと思われる。ただ、政虎が相手に対して言わなくても良いような余計な一言を言ってしまったんじゃないかと思ってしまう俺もいたのだ。

「さすがに殴るのは良くないと思いますよ。助けに行った方が良いですよね?」

「助けに行った方が良いとは思うけどさ、政虎の様子を見ていたら今はその段階じゃないような気もするんだよな。ほら、あいつもそんなに気にしてないみたいだし」

 殴られて気にしない人間はいないと思うのだけれど、政虎は殴られたとは思えない位平然としていた。さすがにあいつらだって本気で殴り飛ばそうと思ってはいないと思うのだけれど、それにしても平然としすぎだとは思う。普通であれば多少はやり返してやろうと思うものだろうとけど、政虎は殴られた頬を押さえて男たちを黙って見ていたのだ。

「お、お前が悪いんだぞ。俺だって殴るつもりなんて無かったし、お前が俺達を怒らせるようなことを言うから悪いんだからな」

「そうだそうだ。お前が余計な事言うから悪いんだ。俺達は悪くないからな」

 人を殴っておいてその言い草は無いだろうと思って見ていたのだけれど、俺の隣にいる新しい彼女も俺と同じことを考えているようだ。仮に政虎が悪いのだとしても暴力はいけない事だろう。それは小さな子供でも分かるような事だとは思う。

「図星だったからって暴力は良くないと思うな。そんなに痛くはなかったけど、そういう問題でもないしな。でも、これで自分が持てない理由ってのがわかっただろ。右近はお前らみたいに短気じゃないからこの程度の事で怒って殴ったりなんてしないからな。お前らがモテない理由がよくわかったよ」

「モテない理由ってなんだ。お前に俺達の何がわかるっていうんだ」

「そうやって気に入らないことがあるとすぐに暴力に走るところだろ。それに、右近と比較して見た目も良くないしな。中身と見た目が一致してるからモテないんじゃないかな。もう少し人間性をどうにかしたら少しはモテるようになるのかもしれないぞ。ただ、この年になるとそう簡単に変わる事なんて出来ないと思うけどな」

「お前にだけはそんなことを言われたくない。俺達はお前みたいに性格だって悪くない」

「確かにな、性格の悪さだったら俺の方が悪いかも知れないな。それは俺も自覚はしているよ。自覚はしているさ。でもな、そんな俺でもいきなり人を殴ったりなんてしないさ。そういうところがあるからやっぱりお前らはモテないんだと思うよ。普通はそんな暴力的な事したりしないからな」

「てめえが挑発してこなければいいだけの話じゃないか。俺達のせいにしてんじゃねえよ」

 人を殴っておいて逆切れをするなんてどうかしてると思うのだけれど、俺の隣にいる新しい彼女もあの男たちの姿を見てドン引きしていた。どんなことがあっても暴力は良くないという考えは共通しているのだろう。

「暴力は良くないって思うんですけど、あの先輩もちょっと言い過ぎだと思いますよね。あっちの人達もモテないとは思うんですけど、右近先輩のお友達がいつもあんな感じだったらモテない理由もわかっちゃいますよね。あんな風に挑発的な事言わなければ殴られたりしないって考えないんですかね。ちょっと信じられないです」

 なんでだろう。今の場面はさすがに政虎は悪くないと思うのだけれど、こんな時でも政虎が悪いって思われてしまうんだな。ここまでくると才能とかそういうのを通り越してそういう運命で政虎は悪くなかったとしても嫌われてしまうのが必然なのではないかと思えてきた。

 それでも、そんな政虎の事を俺は悪いなんて思うことは無く、他の人達とその部分でわかりあえることは無いんだろうなと感じていた。いや、そんな俺の考えをわかってくれる人が一人だけいるのだ。唯だけはどんなことがあっても俺と一緒に政虎の事を信じてくれるはずなのだ。それだけは間違いない。

「そんな簡単に手を上げるような人間だから好きな女に振り向いてもらえないんだろ。そういうところもちゃんと見てるからお前たちはモテないんだろうな。もう少し広い心を持った方が良いと思うぞ」

「俺達が持てないってのは否定できないが、それはお前だって一緒だろ。普通はあんなに持てる男の近くに居たらもっとモテてもおかしくないと思うぞ。それなのにお前は全然モテてないし、それはお前も性格が悪くて見た目も悪いって女が思ってるって事だろ。俺達にそんな事言ってもお前だって俺達と一緒って事だろ」

「一緒ではないだろ。俺は少なくとも相手に対して暴力なんて使わないしな。使ったとしても言葉の暴力だけだ」

「言葉の暴力だって良くないだろ。相手をいつまでも気付付けることになるんだからな。お前が嫌われるのは仕方ないって事だ。お前だって好きな女に振り向いてもらえないんだろ」

「それはそうかもしれないな。でも、俺はお前らみたいに暴力で相手を黙らせようとしたりなんてしないからな。その点だけはお前らより上だと思うぞ」

 政虎が片思いをずっとしている唯菜は政虎に対して恋愛感情は全くないと言っているし、俺がいくら政虎の良さをアピールしても聞いてもらえないのだ。政虎が悪いところもあったのは事実かもしれないけど、それにしては唯菜の意思が固すぎると思う。どうしてそこまで頑なに政虎を拒む必要があるのだろうか。例え好きじゃなかったとしても相手の事を思って少しだけでも付き合ってあげればいいのになと思うのだが。

「やっぱり、私は右近先輩の友達の事が悪くないって思えないんですよね。殴られたのは可哀想だと思うし、殴るのは酷くて違っているとは思うんですけど、どうしてもそんな風に追い込んでいたあの先輩の方が悪いんじゃないかって思うんですよ。右近先輩の友達の事を悪くなんて言いたくないんですけど、どう考えても私はそう思っちゃうんですよね。本当にごめんなさい」

 俺はこの子が言っている事は全く理解することが出来なかった。でも、多くの人がそう感じてしまうんだろうという事は理解出来ていたのだ。政虎は昔から誤解されやすい性格であるし、それを誰も正そうなんてしてこなかったのだ。本人が望んでいないという事もあるのだけれど、俺と唯以外は政虎の事を理解しようとすらしていないんだろうなと思って諦めていた部分もある。

 誰もわかってくれない政虎の事を俺だけがわかっている。そう思う事で特別な関係だと俺も唯も思っているのかもしれないな。

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