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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第四十八話 千雪ちゃんと遊ぶんだけど何をしたらいいんだろう

 ゼミで見かけていた唯ちゃんのいとこの千雪ちゃんと遊ぶことになったのだけれど、どうして私は千雪ちゃんと二人で遊ぶことになったのだろう。別に遊ぶこと自体は問題ではないのだけれど、二人っきりで遊ぶという事にちょっとだけ抵抗はあった。千雪ちゃんは頭も良いし右近たちと話しているところを見ても大人っぽいなと思うところはあるのだけれど、こうして近くで見ているとどう見ても中学生にしか見えないのだ。実際に中学生なのでそれは間違いではないのだけれど、今どきの中学生とどんな風にして遊べばいいのかさっぱりわからなかった。

 それと、本音を言えば右近に遊びに誘われたのは嬉しかったのだ。その時は知らなかったのだけれど、右近と二人ではなくなぜか千雪ちゃんも一緒に遊ぶことになってしまっていた。そこまでは別に問題じゃないのだ。なぜか遊ぶ予定だった右近は自分から誘ってきたくせに、他に外せない用事が出来てしまったとかで一緒に遊ぶことが出来なくなってしまたのだ。それはいったいどういうつもりなのだろうと思ってしまう。

「桜さんって、お兄さんから好かれてるって知ってるんですよね?」

「え、お兄さんって政虎君の事かな。そうだとしたら知ってるけど、それがどうかしたの?」

「千雪はあんまり詳しく聞いてないので間違ってるかもしれないですけど、桜さんの事が好きなのがお兄さんで、お兄さんの事が好きなのはお姉ちゃんって事ですよね?」

「唯ちゃんも政虎君もそう公言してるから間違いではないと思うけど」

「桜さんが好きなのってお兄さんじゃなくて右近君なんですよね?」

「え、そうだけど、それがどうかしたのかな?」

「千雪はゼミの人達から聞いて思ったんですけど、みんなは右近君と愛華ちゃんがお似合いだって言ってるじゃないですか、でも、千雪としては右近君と愛華ちゃんが付き合うよりも右近君とは桜さんが付き合った方がお似合いじゃないかなって思うんですよ。同じカフェでバイトしてるってのもあると思うんですけど、桜さんと話してる時の方が右近君も嬉しそうな感じに見えるんですよね。愛華ちゃんと右近君が話してるのって、どっちも気を使い合っているというか気を許してないように見えるんですよ。そんな不自然な二人よりも楽しそうに自然に話してる右近君と桜さんの方がお似合いだなって千雪は思うんですよね」

「やっぱり、そう見えるよね。みんなは愛ちゃんの方が私よりも右近に相応しいって言ってるんだけどさ、そうじゃないって思うよね。ね、そう思うよね」

「は、はい。そう思いますよ」

 千雪ちゃんとはあんまり話したことが無かったんで勘違いしてたのかもしれないな。全然思っていたよりもいい子じゃない。唯ちゃんは少し話しづらいところもあったんだけど、千雪ちゃんって顔は唯ちゃんに似てるのに全然話しやすいな。私の事も右近の事も理解してくれているみたいだし、正直に言って今日二人で遊びたいって言われた時は戸惑ってしまったんだけど、こうして一緒にお話しできて良かった。

「ちなみになんですけど、桜さんってお兄さんの事どう思ってますか?」

「どう思ってるって言われてもね。同じゼミで右近君と仲が良いんだなって思ってるよ。前に私が困ってた時に助けてくれたことはあったんだけど、その時は助けてもらったことに感謝はしたんだよ。でも、ちょっとやり過ぎなんじゃないかなって思うことはあったかも。政虎君のお陰で問題も解決したし右近が私と同じカフェでバイトするようになったのは嬉しいことだと思うんだけどさ、あそこまでする必要があったのかなってほんの少しだけ考えたんだよね。確かにあれくらいしてくれても誰も悪いとは思わないと思うんだけど、私としてはもう少し穏便に出来たんじゃないかなって思ったりもしたよ。助けてもらったのにそんなことを言うのはおかしいって自分でもわかってるんだけどさ」

「千雪はその状況を見てないのでわからないですけど、お兄さんっていったい何をしたんですか。右近君もお兄さんも何があったかなんて教えてくれないですし、たぶん千雪が聞いても答えてくれないと思うんですよね。桜さんもきっと言いたくないとは思うんですけど」

「あんまり人に言うような話じゃないんだけど、千雪ちゃんだったら言っても大丈夫かな。そういう事もあるかもしれないって気を付けるきっかけになるかもしれないしね」

 私はカフェの常連さんに拉致されそうになったことがあるという事を少しぼかして千雪ちゃんに話してみた。唯ちゃんも愛ちゃんも右近や政虎君が言って無ければ知らない話だろう。

 千雪ちゃんはそんな話を黙って最後まで聞いてくれたのだけれど、私が思っていたよりも反応が薄いように感じていた。

「そういうのってちょっと怖いですね。千雪はそう言った場面に出くわしたことは無いんでわからないですけど、実家に住んでた時の帰り道で同じ方向に歩いている男の人がいた時は少しだけ警戒してましたもん。桜さんみたいに優しくて誰からも好かれる人だったらお客さんに勘違いされちゃうことがあるかもしれないですね。千雪とかお姉ちゃんはあんまり男の人に好かれるようなタイプじゃないと思うんで勘違いとかはされないと思うんですけど、そう言ったことが無いように気を付けようって思います。でも、中学校では先生たちとしか話してないですし、大学ではいつもお兄さんや右近君がそばに居てくれるから大丈夫かもしれないですね」

「右近はいてくれるだけで変な男を遠ざけてくれると思うよ。政虎君は、何かあった時に助けてくれるんじゃないかな。その方法が普通じゃないかもしれないけど、たぶん千雪ちゃんの事を助けてくれると思うな」

 右近はきっとそばに居てくれるだけで安心出来ると思う。

 政虎君の場合は何かあった時に助けてはくれると思うんだよね。怖くて助けを呼べないような場面だったとしても助けてはくれると思うんだけど、どうしてこの状況になるってわかってたんだろうっていう疑問がわいてきちゃうんじゃないかな。最初から分かってたとしたんだったらそうなる前に助けてもらいたいという思いもあるんだけど、それってちょっとワガママなのかもしれないな。でも、何となく政虎君に助けてもらうこと自体が危ない事のように思えてしまうんだよね。助けてもらっておいてこんなことを言うのは間違っているって思うんだけど、政虎君に助けてもらっても助かった心地がしないんだよな。

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