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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第四十三話 唯ちゃんのいとこの千雪と二人きりは少し気まずい

 ゼミが終わった後の空き時間はいつも一人で過ごしているのだけれど、私と同じく授業のない千雪が私のそばを離れようとしない。唯ちゃんはこれから授業があって一緒にいることが出来ないというのはわかるのだけれど、なんで私の方にくるのだろうと思ってしまった。千雪が知っている人でこの時間の授業をとっていないのが私と柊政虎しかいないという事を聞いてしまうとちょっとだけ納得してしまいそうになったのだけれど、一緒にいる相手がいないのであれば家に帰ればいいだけなのではないかと思ってしまっていた。

「私と一緒にいても楽しいことなんてないと思うよ。別にどこかに遊びに行くとかご飯を食べに行くとかする予定も無いし、唯ちゃんの授業が終わるまでどこにもいかないと思うよ」

「大丈夫。千雪もお姉ちゃんの授業が終わるまでする事ないから。お姉ちゃんからずっと聞いてて気になってたんだけどね、千雪は愛華ちゃんと仲良くなれたら嬉しいなって思ってるんだ。千雪が知らないお姉ちゃんの事を教えて欲しいなって思ってるんだけど、愛華ちゃんが知らないお姉ちゃんの事を千雪が教えたいって思ってたりもするんだよ」

 私の知らない唯ちゃんの話は気になるのだけれど、私が千雪に教えられるような唯ちゃんの秘密なんてあるんだろうか。私は唯ちゃんと知り合ってからそんなに日が経っているわけでもないし常に一緒にいるという事でもない。もしかしたらいとこである千雪よりも唯ちゃんと一緒にいる時間が長いのかもしれないけど、唯ちゃんがリラックスしているところをあまり見ていないような気もするんだよな。

「でも、私はお姉ちゃんの事も知りたいけど愛華ちゃんの事も知りたいな。愛華ちゃんって右近君と一緒でモテそうなのに今まで彼氏を作ったことが無いって聞いたんだけど、なんで彼氏を作ったりしないのかな。お姉ちゃんみたいに好きな人がいるってわけでもないと思うんだけど、何か深い理由でもあったりするのかな」

「別に理由なんてものはないけどさ、付き合っても良いなって思うような人がいなかっただけじゃないかな。それに、私が好きだとしても相手も私の事を好きだとは限らないだろ。千雪は好きな人とかいないのか?」

「いないよ。千雪はあんまり他人に興味が持てないんだよね。お姉ちゃんもそうなのかもしれないけど、本当に興味がある人にしか関心を持てないんだよ。今は愛華ちゃんとか右近君がどんな人なのかなって思ってるんだけど、二人ともお姉ちゃんから聞いてる通りにイイ人そうなんで良かったなって思ってるよ」

「私はそんなにいい人ではないかもしれないけど、鬼仏院右近は良いやつだと思うよ。恋人として見たらそうではないのかもしれないけど友達とか仲間として付き合うんだったらいいやつだとは思うな。千雪は右近の事を好きになったのか?」

「ううん、そんなことは無いよ。いい人だなって思ってはいるけど、右近君と付き合いたいって思ったことは無いかな。見てて感じるんだけど、右近君って女の子に興味無いんじゃないかなって思うんだよね」

 私もそれは前々から感じてはいた。鬼仏院右近は常に彼女がいるのだけれど、その誰とも深く付き合ったりなんてしていないと思う。私の知っている限りではあるが、鬼仏院右近が付き合っても次の日には別れているし愛情が長続きしないのだと思っている。それとも、鬼仏院右近と付き合ったとしても次の日には別れたくなるような何かがあるのだろうか。その割には、別れた女の子たちは普通に鬼仏院右近と話をしたりもしているのだ。私は鬼仏院右近と付き合うつもりが無いのでその真相はわからないのだが、何か他の人に言えない謎があるのかもしれないな。

 いや、鬼仏院右近の話よりも唯ちゃんの話を聞きたいのだけれど。千雪は唯ちゃんの話をするつもりがないように感じてしまった。

「私は右近君に子供とは付き合えないって言われたんだよね。私が告白とかするつもりがないのをわかってて右近君は言ってくれたんだと思うけどさ、お互いにそのつもりがないんだからわざわざ言わなくても良いのになって思ったよ。それが右近君なりの優しさなんだろうなって思ったけど、愛華ちゃんも右近君にそんな事言われたりしたの?」

「私も唯ちゃんもそんな風に牽制されるような事は言われてないな。千雪は知ってると思うけど、唯ちゃんはずっと政虎の事を好きだって鬼仏院右近に言ってたし、私もお前とは付き合いたくなって初対面で言っちゃったからな。あの時は周りが勝手に私と鬼仏院右近を付き合わせようとしててイライラしてた時期だったんだよ。その事は後で謝ることが出来たんだけど、向こうも私と同じような感じで周りから囃し立てられていたって聞いてちょっと申し訳ない気持ちにはなったよ」

「二人とも凄くモテそうだもんね。テレビとか雑誌に出てても誰も驚かないと思うよ。私がもう少しミーハーな性格だったら二人の事をもっとよく知りたいって思ってたかもね。でも、何となく二人ってそういう風に見ちゃいけないんじゃないかなって思っちゃった。近くで見るのと遠くで見るのって、やっぱり違うんだなって思ったよ。お兄さんは近くで見ても遠くで見ても変わらないって思うけどね」

 私も鬼仏院右近も見た目でどうこう言われたり決めつけられることが多いのだと思う。今でこそ理解してくれる人たちも増えてきてはいるけれど、大学に入りたての頃は上級生も多かったという事で今以上に話しかけられることも多かったし、今以上にナンパをされることも多かった。

 鬼仏院右近も柊政虎も私に対して恋愛感情を向けてきた事なんて一度も無いし、二人とも私の事を女として見ていない節が多々見受けられた。だが、今まで一度も私はそんな事を感じた事が無かったので少しは嬉しいと思っていたりもした。柊政虎は一途に片思いをしているからだというので納得できたのだけれど、鬼仏院右近の方はその理由がわからなかった。私みたいに単純に異性からそういう目で見られ続けて嫌になったからというわけではないようだし、その理由が何なのかはいまだにわからないのだけれど、二人が私の事を女だと認識していないという状況は素直に過ごしやすいとはお思っている。

 だが、それを差し引いても柊政虎の事はあまり好きになれそうになかった。私の親友の唯ちゃんが柊政虎の事を好きだから好きになることが出来ないという事もあるのだろうけど、なぜか柊政虎の事は生理的に受け付けないのだ。

「私も柊政虎に関しては出会った頃から似たような印象を持っているかもしれないな」

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