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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第三十九話 俺にはいつも主導権なんて無い

 老若男女問わず優しく接している鬼仏院右近とすぐに仲良くなった鵜崎千雪はいつの間にか一緒にご飯を食べる約束をしていたようだ。俺としてはこの二人が仲良くなってしまったところで何の興味もないので好きにすればいいのではないかと思っていたのだけれど、鵜崎千雪が中学一年生であるという事を考えると非常によろしくないことになってしまうという事に気付いてしまった。ただ、さすがに鬼仏院右近もその事には気が付いていると思うので本当に二人が交際するようなことは無いと思うのだけれど、唯菜ちゃん以外とだったら誰とでも付き合えると公言している事もあって少しだけ不安な気持ちを抱えていたのだった。

 俺はそのまま教室を出て行ったん自分の家に帰ろうかと思って鞄を持って立ち上がったのだが、俺の様子を見た鬼仏院右近が鵜崎千雪が話しかけているのにもかかわらず俺に向かって声をかけてきたのだ。女の子に話しかけられている時はそっちを優先しても良いのになと思いながら立ち止まって見たのだが、鬼仏院右近の方を見ると当然視界に鵜崎千雪の姿も目に入ってくるのだ。さっきまでご機嫌な笑顔で話していた鵜崎千尋の表情は明らかに俺に敵対心をもっているように見えるのだが、見る人によっては俺に物凄い殺意を向けているようにも見えてしまうかもしれない。それくらい険しい表情を浮かべていたのだ。

「おい、帰るんなら俺にも声かけてくれよ。次の時間は授業ないんだからいつもみたいに遊ぼうぜ」

「いつもみたいに遊ぼうぜって言うけどさ、お前はそこにいるチビ鵜崎と昼ご飯を食べる約束をしてるんじゃないのか?」

「約束はしたけどさ、それはあくまでも昼ご飯を一緒に食べるって約束だからな。昼間で一緒に過ごそうって約束はしてないもんな。ねえ、俺と千雪ちゃんの約束ってお昼を一緒に食べるってのだけだよね?」

 鬼仏院右近は付き合っている相手がいてもいなくても変わらない。お昼を一緒に食べる約束をしていたり学校が終わったら遊びに行く約束をしていたりしたとしても、俺の時間が空いていたら約束していた相手を約束の時間まで放置してでも俺と遊ぼうとするのだ。なんでそんな奴がこんなにモテるのにその辺にいるわりとイケていそうな男子はモテないのだろう。生まれ持った顔と性格のアドバンテージはかなり大きいとは思うのだけれど、先に約束をしている自分よりもたまたまその時間まで空いている男友達と一緒にいることを選ぶような人間がこんなにモテるのはおかしいと思う。ただ、その事に疑問を持っているのは俺だけしかいないようだ。みんな鬼仏院右近はそういうところのある男なのだという事を心の底から受け入れているとしか思えない。

「あの、お兄さんたちは何して遊ぶんですか?」

「何して遊ぶんだろう。いつもだったら政虎の家に行ってゲームとかだと思うんだけど、今日はお昼まであんまり時間も無いから漫画読んだりするくらいかな」

「それって、千雪も一緒に行っていいですか。千雪だけだったらダメだって言うんだったら、唯お姉ちゃんも一緒に来てもらうとか。ダメですかね?」

「俺は別にいいと思うけどさ、主催者である政虎がどう判断するかに寄るんじゃないかな。唯の都合もあると思うけど、やっぱり政虎に決めてもらうのが一番だと思うんだよな。な、政虎はどう思う?」

 なぜか俺と鬼仏院右近が遊ぶという事が既に決定事項となっているようで、それを取り仕切っているのが俺という状況になっているそうだ。いつも遊ぶ時もこんな感じで鬼仏院右近が俺のもとへふらっとやってきてふらっと出て行くのだけれど、今回みたいに予め遊ぶという取り決めをするのは珍しいような気がする。

「俺が主催者だって言うんだったら決めるけどさ、別に俺と遊ばないで二人で遊んでご飯食べればいいじゃないか。その方がチビ鵜崎も嬉しいんじゃないかな」

「いや、そういう話はしてないだろ。政虎は俺と遊びたくないって事なのか?」

「そうですよ。右近君とご飯を食べに行くのは決まってるんですけど、それまでは仕方なくお兄さんも一緒に遊んであげても良いって言ってるんですよ。千雪は右近君と一緒にご飯を食べることが出来るのは嬉しいですけど、いきなりそれまでの時間も二人で遊べって言われたら緊張して楽しめないじゃないですか。もう少しそういうところで女心を考えて優しく接してくれた方が良いと思いますよ」

 え、俺はよかれと思って二人で遊んでくればと言ったんだけど。百歩譲って鬼仏院右近から文句が出るのは納得出来るけれど、鵜崎千雪からも文句が出るっておかしくないかな。どうせすぐにご飯を食べるんだからそれまでも一緒に過ごしてたらいいのになって思った優しさなのに、その優しさは間違った優しさだという事なのだろうか。俺にはどうしてそう受け止められるのかが理解出来ないのだ。

「でも、今のは政虎がデリカシーないこと言ったのが悪いと思うな。千雪ちゃんも右近君と遊べるのは嬉しいと思うけどさ、ご飯を食べる約束の前にも二人で遊ぶなんて緊張してご飯どころじゃなくなっちゃうと思うんだよね。政虎に悪気が無いってのは私もわかってるけどさ、中学生の女の子に対してはもう少し気を使った方が良かったんじゃないかなってもうよ」

「そんなんだからお前は女にモテないんだよ。それを理解していたとしてもお前みたいな男がモテるとは思えないけどな」

 どういう理由なのかわからないけれど、俺は鬼仏院右近と鵜崎千雪だけではなく鵜崎唯と髑髏沼愛華にまで軽く怒られてしまったのだ。なんで俺が一方的に悪者扱いされないといけないんだろうと思いつつも、俺はこの五人が俺の家に遊びに来ることを快く受け入れるのであった。

 鵜崎唯が一緒に遊びに来るのはまだ理解出来るのだけれど、髑髏沼愛華は関係ないんじゃないかなと思ってしまうのだが、俺はそれに関しても強く言うことが出来ないのである。髑髏沼愛華に関しては俺が何か言ったとしてもそれ以上の言葉で帰ってくるような気がして何も言えないというのもあるんだけど、そんな事は誰にも言ったりすることが出来るわけもないのであった。

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