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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第三十三話 二人の秘密

 どのタイミングで切り出そうか迷っている間に結構な時間が経っていた。

 勇気を出して聞いてみようと思っていても今一歩踏み出せず、お酒の力を借りようといつもよりも速いペースでグラスを空けているにもかかわらず、その勇気が湧いてくることは無かった。

 俺と唯はある意味戦友でありある意味ではライバルでもあるのだが、今は二人だけという事もあってお互いに助け合う立場ではあるという事は理解しているのだけれど、本当にそんな事を聞いても大丈夫なのだろうかという思いが俺の中に少しずつ芽生えてきている。こんな事になるのであればさっきのファミレスで聞いておくべきだったと思うのだけれど、今更そんな事を考えたって遅いのだ。もしも、政虎と唯の間に俺にはどうする事も出来ないような関係が出来上がっていたらと考えると、俺は唯に肝心な事を聞くことが出来ずにいたのだった。

「今さら聞くのもなんだけどさ、右近君ってどうして誰とでも付き合うことが出来るの?」

「どうしてって言われてもな。俺は告白する事の悩みをわかってるつもりだからな。振られたらどうしようって思っても気持ちを抑えられないってことはあるでしょ。唯の場合は全く抑えてないと思うけど、普通はそんなに簡単に思いを伝えたりできないと思うんだよね。で、そんなに頑張って告白してくれたんだったら付き合てあげても良いんじゃないかなって思うんだよ。でも、付き合った後で自分の気持ちが相手に向いてないってのをより実感しちゃってさ、それを素直に相手に伝えたら大体そこで終了って事になるんだよね。今では俺に告白してくる人もそんなに思い詰めてる感じじゃなくて思い出作りに気軽に告白して付き合って振られるみたいな感じになってるんだよ」

「それだけ聞いてると最低な遊び人にしか聞こえないよね。でも、右近君と付き合ったとしても最後に握手するくらいしかスキンシップとらないって聞いたよ。思い出作りにキスとかしてあげたりしないの?」

「そんな事しないって。唯は本当に意地悪だな。俺の気持ちを知ってるくせにさ」


 俺は小学生の時から女子にはモテていたと思う。女子生徒だけではなく教師からも悪い印象なんて持たれたことは無いかもしれない。実際に何か悪いことをしていたわけではないのでそんな印象を持たれることは無いと思うのだけれど、気付いた時には俺は何もしていなくてもクラスの中心にいることが多くなっていた。

 俺の両親の周りにも自然と人が集まっていて、人間関係なんてそんな風に周りが勝手に築いてくれるものなんだと勘違いをしていたのだ。だが、そんな俺とは対照的に柊政虎は何も悪いことをしていなくても周りから責められたり教師連中からも問題児扱いされているのだった。それでも、政虎はそんな奴らに屈することは無く自分が悪くない時は毅然と立ち向かい、自分が悪い時はそれを素直に認めていた。

 小さい時も大人になった今も俺は周りの意見に流されてしまう事が多い。俺に告白して一日だけ付き合う遊びもそんな俺の性格が招いた事なのかもしれない。俺が頼みごとを断わるのは余程都合が悪いかそれ自体が人の道に反していると思う時だけだと知っている奴が始めた告白ごっこではあるが、たった一日だけとはいえ俺と付き合えたという事がその子の人生の糧となるのであれば良しと思っていたこともある。ただ、俺としてはそれが本当に告白してきた子にとっていい思い出になるのか悩んでいたこともある。そんな事で悩むなんて幸せだなと政虎は俺に言ってくれたことがあるのだが、俺が本当に好きな人とは結ばれることが無いというのを自覚している俺は幸せの意味を完全に見失っていたと思う。

「また一人で悩んでるみたいだけどさ、右近君は昔の事でも思い出してたのかな。それとも、これから先の事で悩んでるのかな?」

「どっちもかな。本当に唯は人の事をちゃんと見てるんだね。そうやって俺の事を理解しようとしてくれるのは唯と政虎だけかもしれないな。あと、愛華も俺の事をちゃんと見てくれているような気がしてるな」

「右近君の事を好きだって言って告白してくる人たちは右近君の事を理解しようとしてなくて、右近君と付き合いたいって思ってない人が右近君の事を理解しているってのは皮肉なもんだね。でも、右近君はそれを望んでいるって事だもんね」

「確かにな。俺に告白してくる人は俺の事なんて理解しようなんて思ってないからな。最初のうちは理解しようとしている人がいたかもしれないけどさ、今はもうそんな人もいないと思うよ。他人の事を理解する事なんて出来ないと思ってたんだけど、なんで唯は政虎の事を色々と理解することが出来てるんだ。普通に考えて、政虎が好む味付けばっかり作る事なんて出来ないと思うんだけど、何か秘訣でもあるのか?」

「秘訣なんて何もないよ。自分が相手に合わせるんじゃなくて、相手を自分に合わせるようにするだけだもん。右近君なら私よりもそれを簡単にできると思うんだけど、今度告白してきた人を完全に自分好みに変えてみようって思ったら出来るんじゃないかな。今までの人達は一日でお別れだったのに、私は他の人と違って一日だけの彼女じゃないかもって、チャンスがあるって思ったら相手の子も本気で変わろうとするかもよ」

 そんなことが出来るのかは疑問ではあるけれど、もしかしたら唯の言うようにそんな風に相手を変えることが出来るのかもしれない。俺に告白してくる人は俺の事を好きかはわからないけれど、俺と付き合っていたという事実は欲しいんだと思う。他の女子にマウントを取られないために付き合おうとする女子なら俺好みの女子になって一日でも長く俺と付き合って他の女子にマウントを取ろうとするかもしれないな。

「でもさ、俺好みの女なんてなれるわけないよ。俺は女性に好みのタイプなんて無いからな」

「だよね。そこが一番の問題だったか。じゃあさ、政虎の好みを自分に合わせる方法を教えてあげようか?」

「ちょっと気になるけどさ、そう言うのは聞かないでおくよ。唯と同じ事をしても勝てないと思うしな」

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