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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第三十一話 俺と唯は秘密の場所で

 親友には出来るだけ隠し事なんてしたくないと誰しも思うことはあるのだろうが、どんなに仲が良くて信頼している関係であったとしても相手に伝えることが出来ないという事もあるのだ。どうしてそんな事を隠しているんだろうという秘密もあれば、例え自分の命が奪われてしまうような状況でも言えない秘密もあるのだろう。俺には政虎に言えないが唯にだけ話している秘密があるのだ。愛華にも唯菜にも言っていない唯だけにしか行っていない秘密があるのだ。

 大学からもバイト先のカフェからも徒歩で行くには少し遠い場所にあるファミレスで俺と唯は誰にも見つからないように二人だけの秘密の報告会を行っているのだ。

「そろそろ政虎も私の料理が無いとダメになってきたんじゃないかなって思うんだけど、右近君から見てどう思うかな?」

「結構いいところまで行ってると思うよ。先月も唯が作った春巻きの残りを全部食べたら政虎が少しムッとしてたからね。何も言葉には出してなかったけどさ、表情には完全に出てたよ。俺が帰った後で全部食べようと思ってとっておいたんだと思うけど、俺はそんなのは気にしないで食べちゃったからね」

「あの春巻きってあんまり上手に出来なかったんだけどさ、そんなに政虎は顔に出てたの?」

「俺が最後の一個を食べようとした時には手を伸ばしてきて邪魔しようとしてたからね」

 それ以降の政虎は大皿に盛りつけるのを嫌がって個別に料理を出すようにお願いするようになっていた。ここまでくれば政虎はもう唯の料理を定期的に食べなければ心の平穏を取り戻せないところまで来ているだろう。どうして唯の料理が政虎にだけ中毒症状にも似たような感じになってしまうのか聞いてみたことがあるのだが、その辺は鵜崎家に伝わる秘伝が関係あるとかで詳しいことは教えてもらえなかった。

 ただ、唯が作る料理を政虎は必ず幸せそうな顔で食べているので気にしなくてもいいのかなとは思っていた。

「政虎から聞いたけどさ、唯は定期的に政虎の家の掃除をする事になったんだってね。そこまでして変な風に思われたりしないのかな?」

「もう大丈夫だと思うよ。少しくらい変に思われたとしてもさ、政虎は私が善意でやってると思うだろうしね。右近君はそう言うことはしたりしてないのかな?」

「俺はそんな事はしてないね。やろうと思えばできるとは思うけどさ、男が男同士でそんな事をしようとするのって政虎的にも無しなんじゃないかなと思うんだよ。俺が逆の立場だったとしても、政虎に部屋の掃除をしてもらうのってなんか嫌だったりするしね。見られて困るようなモノなんて無いけどさ、あんまりいい気分ではないかもね」

「男の子同士だとそういうモノかもしれないね。政虎の部屋を掃除して見て思ったんだけどさ、政虎の部屋ってどこにもエッチなものって無いよね。本もDVDもどこにも見当たらないんだけど、政虎って性欲とかないのかな?」

「どうなんだろうな。そう言った話は今までしたことないけどさ、政虎だって男だし人並みにはそう言った性欲とかもあるんじゃないかな。それじゃなきゃ唯菜にずっと片思いとかしてないと思うしな」

「桜さんね。政虎は桜さんみたいな女の子らしいタイプの子が好きなんだもんね。私ももう少し女の子女の子してたら良かったのかなって思うよ。あ、これは桜さんの事を馬鹿にしてるわけではないからね」

 唯や愛華と比べて唯菜が女の子っぽいというところはよくわかる。唯菜が二人と決定的に違うところは、唯と愛華は基本的に二人だけで行動して時々俺や政虎と一緒にいることがある程度なのだが、唯菜は男女問わずに交友関係も広く誰とでも仲良くなれたりするのだ。それに、政虎以外の人に対しては誰にでも笑顔で挨拶をしたりいろんな人の意見に賛同したりしている。唯も挨拶くらいはしているとは思うのだけれど、誰かと話す機会がほとんどない状況になっているのだ。学校ではあの政虎の事を好きなヤバい女として認識されてしまっているのでわざわざ話しかけるような人は俺や愛華くらいしかいないのが現状だ。

 愛華は愛華で黙っていればモデルや女優なんじゃないかと思えるくらいに凛としているのだけれど、基本的に唯以外の事を人間だと認識していないようなところがあってあれだけ一緒に過ごしているはずの政虎の事もゴミか何かと勘違いしているのではないかと思うような言動を取ることが多いのだ。俺に対しても時々そんな感じの態度で接してくることもあるのだけれど、余程機嫌が悪い時でなければ普通に会話位は出来ているのだ。ただ、それだけ見た目が良い愛華を世間の男子が放っておくはずもなく、勇気のある者は恋人にはなれなくても友達くらいにはなろうとやってくるようなのだが、今のところソレに成功したものは誰一人としていないのだ。俺は唯と友達になったという事で愛華には知り合い以上友達未満として認識はされていると思う。

「唯菜は政虎の事なんて何とも思ってないんだよな。バイトの時にも何回か政虎の話題を振って見たことがあるんだけどさ、その度に無言になって何とも言えない時間を過ごすことになっちゃうんだよね。今の感じだとどうあっても政虎と唯菜がどうこうする未来は見えないんだけどさ、万が一何かがあって唯菜の気持ちが変わったりしたらどうするの?」

「え、どうするって言われても何もしないよ。私が何かしなくても桜さんが政虎と仲良くなりそうになったら誰かが邪魔してくれると思うからね。だいぶ前にあった桜さんを好きになった常連の人みたいに誰かに余計な事を言われてその気になっちゃう人がまた出ちゃうかもしれないからね」

「そうなるかもしれないな。でも、そんなに都合よく勘違いする人なんてもういないと思うけどな。あの人だって最初は唯菜を見てるだけで満足してたと思うんだけど、人間って色々と欲深くなってしまうもんだろうしな」

「そうかもしれないね。でも、私達はそんなに欲深くならないでじっくりと待つことにしないとね。あんまり焦っても良いことなんてないんだからね」

 俺は空になったグラスを二つ持ってドリンクバーへと向かうことにした。真っすぐにドリンクバーへは向かわずに店内を軽く見まわしてみたのだけれど、運のいい事に俺の知っている人は誰もこの店には来ていなかったようだ。

「もう一つ話したいことがあるんだけどさ、今日って右近君はバイトじゃないよね?」

「ああ、今日は休みだよ。唯はどこか行きたい場所でもあるの?」

「うん、ちょっとだけ飲みたい気分なんで、お酒でもいいかな?」

「少しくらいだったら大丈夫だよ。お互いにそんなに飲める方じゃないと思うけどね」

「そうなのよね。でも、お酒に酔ってしまったら人に言えないような話も出来るような気がしてるのよね」

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