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何でも出来る親友がいつも隣にいるから俺は恋愛が出来ない  作者: 釧路太郎


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第二十八話 以前とは違う鵜崎唯の部屋

 何とも言えない空気に包まれたまま始まった授業はいつもよりも遅く終わったような気がしていた。俺が何かしたというわけではないのだけれど、クラス中の視線が俺達の席に向いているような気がして何とも言えない思いをしていた。それは気のせいだったのかもしれないけれど授業が終わったと同時に教室から出て行った鬼仏院右近の姿を見送った後には誰も俺達に注目している人はいなかったようだ。

「午後の授業まで二人は何か予定でもあるの?」

「私は何もないからいったん家に帰ろうかと思ってるよ」

「俺も特に何もないから家に帰ってゲームでもしてようかなと思ってるくらいかな」

「そうなんだ。それじゃあさ、二人ともちょっと付き合ってもらえないかな。スーパーで飼いたいものがたくさんあるんだけど、一人じゃちょっと持てそうもないんだよね。助けてくれたら嬉しいな」

「そう言うことだったら手伝うよ。いつも唯ちゃんには美味しいご飯をご馳走になっている事だしね。私に出来ることだったら何でも言ってくれていいからね」

「俺も手伝うよ。荷物を運ぶことくらいだったら俺でも出来ると思うしな」

「二人ともありがとうね。また美味しいご飯たくさん作ってあげるからね」

 実際に俺が鵜崎唯に出来るお返しなんて遊ぶことと買い物に付き合うことくらいなんだよな。それ以上の事をしてしまうと今の関係が壊れてしまうような気がしているし、出来ることなら今のような関係を保ったまま大学を卒業してもこのままいつまでも遊んでいられるような関係を続けていきたいものだ。

「右近君ってなんであんなに急いでたんだろう。何か知ってる?」

「いや、全然知らないな。今日の朝の事は聞いていたけどさ、今なんで走って出て行ったのかは聞いてないな」

「二人とも何も聞いてないんだ。何でかわからないけど、駅まで親を迎えに行かないといけないって言ってたな。午後の授業には間に合うと思うって言ってたけど、お昼は遺書に過ごせないかもって言ってたけどね。本当に二人は何も聞いてなかったの?」

「うん、私は何も聞いてなかったよ。政虎は何か聞いてた?」

「俺も右近からは何も聞いてなかったよ。なんで愛にだけそう言う話をしてるんだろうな。もしかして、二人ってそういう関係になったのか?」

「何言ってんだお前は。変な事言ってると本当に殺すぞ」

「そんな怖いい方したらダメだよ。政虎も変な事言っちゃダメだよ」

 鵜崎唯が俺と髑髏沼愛華の間に入ってくれたおかげで険悪なムードになることは無かったけれど、俺は何となく怖くて髑髏沼愛華の顔を見ることが出来なかった。ずっと鋭い視線は感じているのは気のせいではないはずだ。


 三人で買い物を終えて荷物を鵜崎唯の家まで持っていくことになった。一人ではこれだけの量を運ぶのは無理だろうけど三人だと苦も無く運べるくらいの食材や日用品を言われた場所に置いているのだけれど、以前きた時と違って鵜崎唯の家に魔法陣らしきものは見当たらなかった。

「そんなにじっくり見られたら恥ずかしいな。何か気になるものでもあるのかな?」

「いや、そう言うわけじゃないんだけど、前に来た時と印象違うからちょっと気になってね」

「政虎が前に来たのって結構前だもんね。その時から何回か模様替えしたからそれで雰囲気違ってるのかもね」

「唯ちゃんは結構模様替えするの好きだもんね。私も今の部屋の感じは好きだから参考にさせてもらってるよ」

 前に来た時は部屋の中心に魔法陣があってその中心にぬいぐるみが置いてあって少し怖いと思ってしまったけれど、今の鵜崎唯の部屋はそれほど物も多くなくてこじんまりとしている割にはまとまりがあって女性っぽい印象も受けた。少し大きな鏡の前に置かれている化粧品とベッドわきに置かれているぬいぐるみがそう言った印象を与えているんだろうな。

「前来た時はそんなにじっくり見たわけじゃないんだけどさ、今の感じって前よりも落ち着ける感じがするな。やっぱりこだわりとかってあるの?」

「こだわりか。あんまりないけど、物は置きすぎないようにはしてるよ。あんまり物が多いと落ち着かないんだよね」

「そう言うもんなんだ。でも、前よりはいい感じに落ち着けるよ」

「お前は唯ちゃんを褒めてるみたいだけどさ、あんまり女子の部屋でキョロキョロするのって良くないと思うぞ。なんかいつもよりも変態っぽく見えるからな」

「別に見てくれても良いよ。変なものとか無いし。そうだ、二人ともお腹空いてるでしょ。何か作るから待っててね」

 鵜崎唯のご飯が食べられるのは素直に嬉しい。なぜだかわからないけれど俺は鵜崎唯の作るご飯をとても美味しいと思っているのだ。毎日でも食べたいという思いもあるのは事実だし、普段一緒にいて楽しいことが多いのも事実なのだ。だが、それをかき消すように恐怖を感じていたりもした。今は無いけれど、以前ここに来た時に見た部屋の中央にある謎の魔法陣を見て関わってはいけない人だったのかと思ってしまったこともあったのだ。

 あの魔法陣が何のためにあったのかいまだに聞けてはいないのだけれど、こうして普通の部屋になっている今はあえて聞く必要もないだろう。変な事を聞いて嫌な空気になるのも嫌だしな。

「お前さ、さっきも言ったけど、あんまりキョロキョロするのは良くないと思うぞ」

「そんなにキョロキョロしてるかな?」

「ああ、明らかに挙動不審だぞ。何か探し物でもしてるのか?」

「いや、そう言うわけじゃないけど」

「なに、政虎は何か探してるの?」

 ワンルームにキッチンがある作りになっているので当然の俺達の会話は鵜崎唯にも聞こえているのだけれど、俺は別に何も探してなんていないのだ。もしも魔法陣なんて見つけ出してしまったら今みたいに落ち着いている事なんて出来なくなってしまいそうだしな。

「もしかして、私の下着を見たいって事なのかな。ベッドの下に収納してるけど、そんなに見たいって思ってくれてるの?」

「え、ちょっと待って、そんなの見たいなんて思ってないけど」

「うわ、そんなこと思ってるのか。男子の性とはいえちょっと引いてしまうな」

「待ってくれ、そんな事なんて思ってないって」

「あ、使用済みが見たいって事なら洗濯機に入ってるけど、さすがにそれはちょっと恥ずかしいかな。でも、どうしても見たいって言うんだったら見ても良いよ。見るだけで匂いとか嗅ぐのはダメだけどね」

「いやいやいや、そんなこと思ってないししないって」

「そうだよね。今私がどんなのを付けているか見たいって事だよね。愛華ちゃんがいるけど見せてあげても良いよ。でも、ご飯が出来てからにしても良いかな?」

 どうしよう。鵜崎唯の言葉はいくら否定してもより悪い方向へと向かってしまっているような気がする。俺も男なので興味がないかと言われたら興味が無いとは答えられないけれど、それでも今みたいな状況で見たいなんて言えるはずがないだろう。

 さっきまで俺を睨みつけるように見ていた髑髏沼愛華の視線が怒りを通り越して憐れみすら感じさせるように思うのだが、俺は鵜崎唯の下着を見たいなんて言った覚えはないのでそんな目で見るのはやめて欲しい。

 鵜崎唯は嬉しそうに鼻歌を歌いながら料理をしているのだけれど、俺は以前とは違う居心地の悪さを感じ始めていたのだった。

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