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第4話

終業と始動




あれから2週間。気づけば夏休み開始前日。

……俺は退屈な日々を過ごしていた。


 これから邪鬼を巡って、想像を絶する戦いが繰り広げられる……。そう、思っていたのに。

 相変わらず平和に授業を受けているというわけだ。代り映えのしない日常に眠気が抑えられない俺。


 その一方で神楽寺蘭子じんらくじらんこはというと・・・相変わらずお嬢様ぶっていた。いつ見ても凛とした空気が漂っている。

邪鬼を滅された時のことをぼんやりと思い出しながら蘭子のほうを見ているとふっと目が合う。

にこっ・・・いい笑顔だ。


こうしていると、あの出来事が本当に夢だったのだと思ってしまう。いつもの様に他愛ない妄想に考えを巡らせていると授業はいつの間にか終わり。外は陽が沈みだしていた。

どうやら居眠りをしてしまったらしい。


「あら、目が覚めたのね。丁度良いわ。少し付き合ってもらえるかしら」

目の前に立っているのは、もちろんあの神楽寺蘭子だ。


「遅いんだよ。声かけるのが」

俺は待ってました!とばかりに声を張る。


「乗り気みたいで助かるわ。じゃあ決まりね」

お嬢様然とした微笑を浮かべている蘭子は嬉しそうだ。


「で、何をすればいい?」

これから始まる物語に期待しつつ俺は尋ねる。


「取りあえず歯磨きセットを用意することね。少し長い旅になると思うから」

「なんだそりゃ?」

冗談か本気かわからないことを言いながら蘭子は楽しそうな笑みを浮かべている。何がそんなに面白いのか・・・。


「海に行くわよ」

「え?」

俺は思わず腑抜けた声を発してしまう。


「今、なんて?」

不信感を込めて問う。


「聞こえなかったかしら?海に行くわよ」

「二度いわんでも聞こえとるわ!!どうしてそうなった!!!」


「話すと長くなるからひとまず今日は家に帰りなさい。明日迎えに行くわ。ちゃんと1週間程泊っても大丈夫なように準備しておいてね」

「1週間もか?」

「まぁもっと短くなるとは思うけれど、一応ね。気持ちの問題よ」


「にしても急だな」

「てっきり私は妹さんから聞いていると思っていたのだけれど」

「ん?それっておかしくないか?どうして妹から旅行の話を聞くんだ?」


「妹さんも誘ったからに決まっているでしょう?」

「先に俺に確認しろよ」

「あなたは断っても、無理やりにでも連れていくつもりだったし、関係ないわね」


「悪魔め」


というわけで俺は神楽寺蘭子と妹と一緒に海に行くことになったのであった。


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