#02 商売ギルド
発令所を出てすぐの所にある垂直梯子を登り乗船用ハッチを開けて外に出た艦長のノヴェラス・ディルスは小汚い3つの袋を担ぎ帆船係留橋を歩いていた。
「お前さん、見ない顔だな。どこから来た?」
帆船係留橋の上で釣りをしていた男性がノヴェラスに気づいて声をかけて来たので、「海のむこうです」と簡単に答えた。
「ふーん、そうか。あ、ところで商売ギルドを探しているならコルド通りにあるからな」
「ああ、感謝します」
2人の男性は知らないだろう、“鉄鯨”――アディス級潜水艦の艦長だという事を。
帆船係留橋からコルド通りに出ると商売繁盛で活気のあふれた商店街路だった。
○○〇
「安いよ~、安いよー。なんとこの金10銅貨!さぁ、寄っていって‼」
活気がある商店街路を歩いていると、豪勢な建物が見えて来た。金銀財宝で彩られた建物こそ商売ギルドである。中に入ると、すぐに専任受付嬢のエリーが俺を見て近寄って来た。
「あ、ノヴェラスさん!半年ぶりですね、ようこそとお帰りなさいませ。エウランド皇国エラルド交易都市商売ギルド本部に」
3年前。俺がまだ各大陸を歩いて移動商売していた頃、この皇国で初めての専任受付嬢になったのがエリーだ。彼女は、転移者である俺を何の疑いもない眼差しで真っすぐ見つめてくれた初めての女性だ。3年前に聞いた齢は15だったから、今は18だな。
しっかり者だ。
「久しぶりです、エリーさん。今日は、これらをお願いするよ」
袋を机の上に置いて紐を引くと、中から砂糖や塩が12本ほどの透き通った1リットルぐらいのガラス瓶に収められていた。
「うわぁ・・・!すごい、透明だわ!」
「丁度、海岸を歩いていたら塩を作ろうと思ってさ。つい夢中になって、気が付けば150個ぐらい制作してしまって――」
嘘じゃない、潜水艦内でヒッソリと塩を作っていたンだ!
エリーは俺の話を浅く笑いながら砂糖を13銀貨4銅貨に換金してくれた後で、塩を20金貨15銀貨に換金し受付に持ってきた。
「はい、左が砂糖の分で右は塩の分。合わせて20金28銀4銅よ」
「ありがとう。ああ、そうだった!」
「ん?」
「今度来るのは、7カ月後ぐらいになりそうだ」
「・・・わかりました、待って居ますね?」
「ああ、すまない」
商売ギルドを出て速やかにアディス級潜水艦が待つ帆船係留橋に帰ってくると、男性達が居なかったので乗船用ハッチから中に入って行った。