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業壊編
——自分を優れていると思った事は決して無い。
——何一つ、成し得てこなかった。
——何一つ、守れやしなかった。
——周りを見てりゃ、皆が普通に生きれていて。
——だから不安が募って仕方ない。
——だから怯えて、疑って、勘ぐって、突き放して、間違えて。
——独りになって。
——なぁ神様、もしも俺が……俺も神様を信じられていたなら——
——何も考えないで、素直に人を愛せていたのなら——
——何度も傷つき泣き喚きながらも、幸せになれただろうか。
——馬鹿みたいに守りたかった何か一つでも救えていたんだろうか。
——そう……時々、馬鹿みたいに考えるんだ。




