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全裸女性のブロンズ像に萌える魔王の話

作者: 守 秀斗

 私は魔王だ。

 この世界を支配していることになっている。

 まあ、実際に支配しているのはお妃様である嫁のほうだけど。

 嫁は私より圧倒的に強いからな。


 政治は嫁にまかしている。

 私はだだっ広い魔王の間の大げさな椅子に偉そうに座っているだけだ。


 さて、以前にも言ったが、わたしは女性の体のくびれが好きである。

 つーか、女性の体のラインが好きなんだな。

 大きな胸と盛り上がったお尻、引き締まった腰。

 男のようにごつごつとしていない、まろやかな体の曲線。

 このS字状の曲線美はまさに芸術だな。

 神様、女性を作ってくれてありがとう。

 って、なんで魔王が神に感謝せねばならんのじゃ。


 それに、実際のところ世の中の女性全てがスタイルがいいとは限らないしね。

 我が嫁も寸胴体型だったが、今は魔法を使って抜群のスタイルになっている。

 それはいいのだが、本当は嫁以外のいろんな女性の裸体も見たい。

 しかし、いかんせん我が嫁は嫉妬深い。

 ちょっと他の女性に視線をやっただけで、私は嫁にボコボコにされてしまう。

 やれやれ。

 

 しょうがないので、これも以前言ったが、大きい砂時計を眺める毎日だ。

 なぜ砂時計かと聞かれれば、丁度中央の辺りが狭くなって女性の腰を連想させるからである。

 情けないですね。


 さて、魔王の間でぼんやりと砂時計を眺めていると、部下が飛び込んできた。

「勇者たちが魔王城に乱入してきました!」


 また勇者か。

 ヒマな連中だな。

 もう戦うのも飽きたぞ。正直言って、退屈だ。

 まあ、これも仕事か。

 仕事ってのは退屈なもんですかね。


 魔王の間に現れたのは、男四人に女一人の五人組。

 全員、剣士だ。

 どうでもいいけど、パーティのバランス悪くないかい。

 まあ、魔王らしく私は大袈裟に空中に浮かんで見栄を張る。


「ハッハッハ、かかってこい勇者たち」 

「魔王、死ね!」と勇者たちが襲いかかって来る。


 ドシュ!


 私の攻撃で勇者たちは吹っ飛ばされて、着ている服もボロボロ。

 そこにダメ押しで魔法攻撃、連中はあっさり全滅した。

 たいしたことない奴らだったな。

 今回は魔法で全員をブロンズ像にしてやった。

 石化魔法をちょっとアレンジしたものだ。


 さて、ブロンズ像になった勇者の連中を窓から放り出そうとしたのだが、おお、よく見ると紅一点のこの女剣士、すげースタイルがいいぞ。さっきの私の攻撃で着ていた服も脱げてほぼ全裸状態。まさに芸術作品。

 うーむ、捨てるのがもったいなくなった。

 とは言え、嫁に怒られるからあきらめるか。


 なに?

 他の女はブロンズ像でもダメなのかって? そうなんだよ、本当に嫁は嫉妬深いんだ。

 いや、待てよ。

 閃いた。

 そうだ、この勇者パーティのブロンズ像を全部残しておけばいいのではないか。

 

 部屋の隅にブロンズ像になった勇者たちを並べる。

 前列三体、後列二体。

 女剣士はなるべく目立たないように後ろに配置した。


 そんなことをやっていたら嫁が魔王の間に入ってきた。

「なにやってるの、あなた」

「いやあ、さっき勇者たちが乱入してきたんだがあっさりとやっつけたよ。魔法でブロンズ像にしてやった」

「そんなものさっさと処分すればいいじゃないの」

「こういう連中は見せしめとして、晒し者にしてやろうと思ってな。ワッハッハッ!」と私は笑ってごまかす。

「変な趣味ね。まあ、いいわ。私は視察に行って来る」と嫁はブロンズ像には興味がないのかさっさと部屋を出て行った。


 また支配地域の視察ですか。

 仕事熱心ですね。


 さて、嫁が出かけたのでゆっくりと鑑賞するか。

 もちろん、男の裸のブロンズ像なんて興味は無い。

 女剣士のブロンズ像の方である。

 よく見ると、この女剣士、裸と言っても膝まであるニーハイブーツは履いたままだな。

 それにしても、この大きな胸、引き締まった腰、そこからの太もものライン。

 いいですなあ。


 思わず触ろうとしたが、おっと、嫁が外から魔法で監視しているかもしれないなと気が付いた。

 そこで、「うーむ、飾り方の配置がよくないなあ」とわざとらしく独り言を言いながら、ブロンズ像を移動する。

 

 移動しながらさりげなく女性のブロンズ像の腰から膝をなでる。

 素晴らしい。

 むっちりとした白い肌の太もも。

 温かい。

 ん、白い肌? 温かい?


 ブロンズ像の目が開く。

 いつの間にか顔が嫁に変わっているではないか!


 私はビックリして腰を抜かす。

「なんで、お前がブロンズ像に化けてんだよ!」

「あなたが浮気しないかどうか、魔法で変身してたのよ」

「ブロンズ像と浮気なんかできるわけないだろ!」

「私以外の女に興味を持つのが許せないの!」


 このままだと、嫁にボコられて千年間ベッドで寝た切りだ。

 私は恐怖にかられて魔王の間の隅っこに逃げ出した。

 怒った嫁がゆっくりと近づいてくる。


 しかし、嫁はニーハイブーツを履いただけの全裸姿。

 なんとエロい姿なんだ。

「おお、お前、なんと美しく、そして妖艶な姿なんだ」

 私は思わず嫁の腰にすがりつく。

 戸惑う嫁をその場で押し倒そうとすると、

「ちょ、ちょっと待って、あなたどうしたのよ。とりあえず寝室に行きましょうよ」



 それにしても、ニーハイブーツだけ履いていると、全裸より女性が色っぽく見えるのはなぜだろうか?

 それに嫁の方も興奮しているような感じがしたぞ。

 案外、女性もそういう恰好を見られたいんじゃないのかね。


 え? それはお前の妄想で、たんにお前が変態なだけだって?

 それはどうもすいませんでした。


(終)

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