タッグその2
ハイゴブリンナイトがスケルトンのダスケに油断することなく放った渾身の一撃を自らの防御の高さを有効に使ってダスケは見事に受け止めた上に抑え込んだ。
「コツコツ(ババデ!今だ!)」
元々はダスケが防御を担当してバビデが『爆砕』(物理)で攻撃する予定だった。
しかし、ババデを助けるために身体操作魔法を使って先行したダスケにバビデが追いついていないため変わりにババデに攻撃を担ってもらうことにしたのだ。
「おう!俺の全筋力の一撃を受けてみろ!『筋肉入魂』!」
ハイゴブリンナイトがダスケに抑え込められた一瞬を逃すことなくババデはその巨体からは想像できないほど大きく飛び上がった。
つばぜり合いで力負けをしたことから自分の筋力だけではハイゴブリンナイトを倒せない可能性があると思い確実に一撃で倒すために重力を味方に付けた一撃をお見舞いすることにしたのだ。
ダスケの様子から長くはハイゴブリンナイトを相手どることはできないことはババデにも分かっていた。
だからこの一撃で全てを決めるつもりなのだ。
「グギャッ」
ババデの一撃は全筋肉の力を十全に発揮し完璧に重力味方に付けた完璧な一撃だった。
ただ悔やむべきはハイゴブリンナイトはただの魔物ではなかったことだろうか。
生まれたときからハナゴブリンナイトであったわけではない。
ゴブリンとして生まれ幾多の強敵との戦いを経てハイゴブリンナイトと至ったのだ。
ボンボンの騎士ではなく実力で騎士になったハイゴブリンナイトなのだ。
だからババデが飛び上がって斧を振り下ろすわずかな時間でスケルトンに自分の大剣をつかみ取られた驚きから立ち直っていた
その上、ババデの狙いが頭だったのも悪かった。
もちろん、ハイゴブリンナイトも頭は急所でありババデの渾身の一撃を喰らえば絶命するだろう。
しかし、どんなに強力な攻撃であっても当たらなければ意味がない。
ラスボスへの最後の一撃をミスすることはゲームではよくある。
そしてその後ボスの特殊攻撃で全員瀕死になるのが目に浮かぶ。
冷静になったハイゴブリンナイトはダスケに大剣を掴まれた状態ではババデの攻撃を完全に避けるのは無理だと理解していた。
だから、十分に攻撃を引き付けてただ頭を動かしたのだ。
「なっ!しまった!」
ババデの斧はハイゴブリンナイト左肩に深々と刺ささった。
ハイゴブリンナイトの左腕は完全に動かなくなり大剣を手放してダラリと垂れ下がった。
大ダメージを与えてはいるが片腕が使えなくなっただけで片腕での戦闘はできる。
頭に決まればそれで終了だったことを考えれば大失敗だ。
「グギャァァァ!」
怒りで痛みを感じていないのか大剣を手放した右手でババデを殴りつけた。
「クソ!」
ババデは両手を交差させて何とか防御姿勢をとることができたがそのまま地面に叩き付けられてしまう。
「コツコツ(ババデ!生きているか!)」
「ゴフ、なんとか。」
ダスケがハイゴブリンナイトに殺されることはないが、攻撃役がいなくなったことでハイゴブリンナイトを倒すこと出来なくなった。
「コツコツ(これは困った。)」
片腕になりバランス感覚が狂った状態で無理に右腕で攻撃したためにハイゴブリンナイトは完全に態勢が崩れており攻撃のチャンスなのだが攻撃手段がない。
「コツコツ(ん?)」
影がハイゴブリンナイトの頭上から落ちてくると同時に頭が粉々に吹き飛んだ。
「コツコツ(え?)」
「みたか!これぞビビデバビデ様の魔法『爆砕』だぞ!」
「コツコツ(バビデか)」
元はダスケが防御、バビデが攻撃を担当する作戦だったから問題ないのだが少しだけバビデに代わって攻撃役をやってくれていたババデに申し訳なく思うダスケだった。




