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みんなでギャルゲー(前編)

ギャルゲー編です。双六編の時と同様に、今回も会話文ばかりになっているのでゲームプレイ時は話している人物が混同しないように「」の横に人物名を入れています。


また、テレビ画面に表示されているテキストは『』、登場人物のセリフは「」、というようにカギ括弧を使い分けて表現しています。


それではお楽しみください。

-side 田島亮-


 ゲームをセットし、テレビの電源を入れると『らぶ☆らぶハーレム生活』のタイトル画面が俺たち4人の目の前に映し出された。


「ねえダーリン、このゲームのヒロインってどんな感じの子なの?」


 するとアリス先輩がゲームを始める前に俺に『らぶ☆らぶハーレム生活』のヒロインについて尋ねてきた。


「すいません、実は俺もヒロインについてはあまり把握してないんですよ。相川さんの足元にゲームのパッケージがあるからそれ見ればヒロインの事については分かるかもしれないです」


「なるほどね。じゃあ瀬奈ちゃん、ちょっとパッケージの裏側を見てヒロインの子がどんな感じなのか私たちにザックリ教えてくれない?」


「了解であります!」


 そしてアリス先輩の指示を聞いた相川さんは足元のパッケージを拾い上げ、ヒロインについての説明を始めた。


「えーっと、『メインヒロインの名前は広田 院子(ひろた いんこ)。主人公と同じ学校に通う同級生の黒髪ロングヘアーの美少女。校内ではジャグラーのように男たちを手玉に取ることで有名。同級生の女子たちから陰で『クソビッチ』と呼ばれている』と書いてあるのであります」


「なんだそれ...ツッコミどころが多過ぎる...」


 まず名前が安直過ぎる。それと設定が明らかに普通のギャルゲーのヒロインとかけ離れている。普通メインヒロインは清純派にするだろ。なんだよ、クソビッチって。


 まあクソゲーだし諸々の設定がおかしいのは覚悟していた。でもこのゲームにはタイトルに『ハーレム』という言葉が入っているからな。もしかしたらサブヒロインは少しはマシな設定になっているかもしれない。


 よし、今度はサブヒロインについて聞いてみるか。


「ねえ、相川さん、他のヒロインについても教えてもらっていい?」


「他...? どういうことでありますか?」


「え? メインヒロインについて書いてある欄の下あたりにサブヒロインについて書いてあったりしない?」


「メインヒロインについて書いてある欄の下には『これは院子1人を愛し抜く物語だ!』としか書いてないのであります」


「...え!? ハーレム要素どこ行った!?」


 えぇ...タイトル詐欺もいい所じゃねえか...設定の段階で矛盾生じてるぞ...1mmもハーレム要素無いじゃねえか...ただ1人のクソビッチを愛し抜くゲームなんて聞いたことないぞ...


「ヒロインについては大体分かったからとりあえずゲームを始めたいアル」


「リンさんすごいな...今の話聞いてもやる気が失せないなんて...」


 まあ一度やると決めたゲームだ。明らかにクソゲーだけどプレイするか。むしろどんなストーリーなのか興味湧いてきたし。


 そして俺はコントローラーのボタンを押し、『らぶ☆らぶハーレム生活』を始めることにした。



ーー---------------------------


『名前を入力して下さい』


亮「まあ最初はベタに名前入力か。名前ね...どうしようかな...」


リン「田島! 名前入力はワタシがしたいアル! コントローラー貸してほしいアル!」


亮「いいよ。特につけたい名前も無いし。なんなら名前入力した後もリンさんがコントローラー持ってていいよ。はいどうぞ」


リン「ありがとうアル!」


亮「どんな名前にするの?」


リン「それは後のお楽しみアル」


亮(なんか普通の名前になる気がしないな...)


『入力が終わりました。それではゲームスタートです!』


アリス「お! 始まるみたいね!」


瀬奈「ワクワクするのであります!」


亮「お、画面が切り替わって背景が校舎になりましたね」



-----------------------------

主人公『俺の名前はマサ◯タウンのサトシ。この春から第1高校に通う1年生だ』

-----------------------------



亮「ちょっとリンさん! なんて名前つけてんだよ!」


リン「ポ◯モンゲットアル!」


亮「いやこれそういうゲームじゃないから!!」


リン「そんなの分かってるネ。ちょっとふざけただけアル」


アリス「うふふ、リンちゃんはお茶目ね」


瀬奈「リンらしいネーミングであります!」


亮「頼むからアンタらもツッコんでくれよ...」



-----------------------------

マサラタ◯ンのサトシ『今日は待ちに待った入学式だ。よーし、高校では彼女作ってスケベなことするぞー!』

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亮「コイツ思考が思春期全開だな...」


アリス「ねえ、ダーリンもいつもスケベな事考えてるの?」


亮「そんなわけないでしょ!」



-----------------------------

◯サラタウンのサトシ『お、あそこにかわいい子がいるぞ! 声をかけよう!』

-----------------------------



亮「ヒロインとの出会いがナンパかよ...もっと偶然性を出せよ...」


リン「ワタシこの主人公嫌いアル」


亮「嫌うの早くない!? まあ確かに今のところはただのナンパ野郎だけど!」



-----------------------------

マサラ◯ウンのサトシ『ねえねえ、そこの彼女! 君名前何て言うの?』


広田院子『私の名前は広田院子よ! 皆は私の名前を略して『ヒロイン』って呼んでくれてるわ!』

-----------------------------



亮「あだ名も安直だな...」


瀬奈「ねえねえ田島くん、この人たちはいつになったら陶芸を始めるのでありますか?」


亮「ごめん、多分ギャルゲーに陶芸するシーンは無いと思う...」



-----------------------------

ヒロイン『あなたのお名前は?』


マサラタウ◯のサトシ『俺の名前はマサラタウ◯のサトシ! これから3年間よろしくな!』


ヒロイン『へぇー、君の名前マサラタウ◯のサトシ君っていうんだー。じゃあこれからよろしくね! マサシ君!』

-----------------------------



亮「なんか勝手に名前略された!?」


アリス「でも略されたおかげでそれっぽい名前になったわね」


亮「た、確かに...」



-----------------------------

マサシ『その後ヒロインと意気投合した俺はなんやかんやで彼女と付き合うことになった。今俺たちは明日のデートの行き先について屋上で話し合っている』

-----------------------------



亮「ギャルゲーにあるまじき進展スピードじゃねえか!! まだ会話中の選択肢すら出てきてないのに早速付き合ってんじゃねーよ!」


アリス「屋上で2人きりってなんか憧れるわ! ねえダーリン、今度私たちも屋上に行きましょうよ!」


亮「お断りします...」


アリス「ダーリンのいけずぅ! でもそんなところも大好きぃ!!」


亮(まさかギャルゲーしながら告白される日が来るとは思ってなかったな...)



-----------------------------

マサシ『明日ヒロインをどこに誘おうかな? ①水族館 ②映画館 ③自動車工場見学 ④ラブホテル』

-----------------------------



亮「やっと選択肢が出てきたか...まあ明らかにおかしい選択肢が2つあるから実質2択だけど...」


アリス「そうね。実質2択ね」


リン「確かに2択アル」


瀬奈「2択であります!」


亮(良かった...ちゃんと認識を共有できてるみたいだな...)


亮「じゃあ皆さんに質問です。『①水族館 ②映画館 ③自動車工場見学 ④ラブホテル』さあどれにしますか?」


瀬奈「③であります!」


リン「③アル!」


アリス「④しかないでしょ!」


亮「なんでそうなるんだよ!! アンタらさっき実質二択って言ってただろ!」


瀬奈「え? ③と④の二択ですよね?」


リン「そうだよネ。①と②は普通すぎてつまらないアル」


アリス「実は私は④一択だと思ってたわ! 会話を重ねるより体を重ねた方がお互いの気持ちが通じ合うはずよ!」


亮「もうツッコミ入れるのも面倒になってきた...」


亮(はぁ...一瞬でもこの人たちと認識を共有できたと思った俺がバカだったな...)


亮「じゃあヒロインの好感度下がりそうですけど③にします。④は下手したらゲームオーバーになりそうなのでやめときましょう」


アリス「まあダーリンがそう言うなら③でいいわよ」



-----------------------------

マサシ『なあヒロイン、明日のデートは自動車工場の見学にしないか?』


ヒロイン『工場見学!? 何それ楽しそう! 実は私車とか大好きなの! さすがマサシ君! いいセンスしてるわね!』


〈ヒロインの好感度がかなり上がった。ヒロインの好感度がMAXになった。〉

-----------------------------



亮「いや、ヒロインチョロ過ぎるだろ!! なんで1回目の選択肢で好感度カンストしてるんだよ!」


アリス「私もダーリンへの好感度は最初からMAXだったわよ! もちろん今もMAXよ!」


亮「アリス先輩、さすがに照れるのでゲーム中に告白してくるのはいい加減やめて下さい...」


アリス「やっぱり私のダーリンはかわいいわね。抱きしめたくなってきちゃった」


亮「今抱きしめるのだけはマジで勘弁して下さい...」



-----------------------------

マサシ『翌日、俺とヒロインは自動車工場を訪れた。俺たちは工場に入ると係員の人から安全のためにマスクと保護メガネの着用を義務づけられた。そのせいでヒロインの顔が全然見えない。チクショウ、誤算だったぜ。ああ、早くスケベしたい』

-----------------------------



亮「コイツ実はホテル行くの諦めてないだろ...」


アリス「マサシ君たちはどこの自動車会社の工場に来たんだろ? やっぱりト◯タかな?」


リン「いや、ニッ◯ンの可能性もあるネ」


瀬奈「いやいや! ランボル◯ーニの日本支社の可能性もあるのであります!」


亮「いや今別に会社名気にする必要なくね!?」



※「みんなでギャルゲー(後編)」へ続く

申し訳ありません! 文量の都合上中途半端なところで前編を終わらせてしまいました!


振替休日編は次回で完結する予定です!

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