どうしてこうなったの...
連載の方のアイディアが出てこないので息抜きに書きました。
ひたすら愚痴を聞くだけです。
あら?、あなた見かけない顏ね。
その黒髪と黒い瞳はもしかして最近新人の魔術師が魔法陣の実験で間違って異世界から召喚されたって人?。
奇遇ね、実は私も異世界から来たのよ。
私はユイカ・アーベル。。本名は田代結花よ。ユイカでいいわ。
少し私の愚痴に付き合ってもらっていい?。
私がこっちの世界に連れてこられたのは8年前、私が16歳の時よ。
春から高校生になってさあ夢にまで見たJKライフが始まるって思って楽しく高校生活を満喫していたのよ!。
あぁあの日を思い出してきただけでなんかイライラしてきたわ!。
放課後に友達とカラオケ行ってて友達と駅で別れた後に最寄りの駅から家まで帰り道で今日の晩御飯は何だろうって考えながら歩いてたら急に地面が光って魔法陣があらわれたのよ!。
思わず目をつぶって次に目を開けた時にはこっちの世界にいたの。
そりゃ焦るわよ。さっきまで路地を歩いてたはずなのに気が付いたらどこかわからないところににいたんだもん。
こっちの世界に来てから話を聞いてみると何でもこの国では黒い髪と黒い瞳を持つ女性は聖女って言われていて聖女がいる限りこの国が安定するらしいの。
私が来たときはこの国には聖女がいなくて飢饉の影響で色々国の中がガタガタになってたらしいの。
それで藁でも縋るつもりで黒い髪と黒い瞳を持つ女性を異世界から召喚して聖女にしようって話になったらしいわ。
ふざけんなって話よね。日本なら黒い髪と黒い瞳を持つ女性ならそこらへんにいっぱいいるのに寄りにもよって何で私が選ばれたのよって思ったわ。
しかも元の世界に戻る方法はないらしいのよ。ふざけるなって話よね?。
まあそういう理由で私はこの世界に連れてこられたのよ。
それからは聖女っていうことで色々優遇されたわ。豪華な食事に派手なドレス、身の回りのことははメイドさんが全部やってくれる。
確かに今まで日本で過ごしてきた生活と比べれば雲泥の差があるわ。けど私はのんびり日本で高校生活を過ごしたかっただけなのよ?。こんな豪華な生活は逆に息がつまりそうになったわ。
こっちの世界に来てから色々めんどくさいことがあったけどその中でも一番めんどくさかったのがこの国の王太子、カイルがこの世界に来てからずっと私に好意を抱てきたってことね。
確かにカイルはスラっとした顔立ちでイケメンだけど私はわあイケメンだって思うくらいなのよ。
何だろう、好意よりも前に関わったらめんどくさそうって考えになったわけ。
けどカイルは私の気持ちはお構いなくアタックしてくるの。こんな地味な私のどこがいいのかしら?。
カイル曰く私がこの世界に召喚されたときに一目ぼれしたらしいの。ああ、めんどくさい。
まるで金魚の糞みたいにずっとついてくるし私が少し息抜きで散歩してるとどこからともなくひょっこり現れてくるのよ。ストーカーかっつうの。
まあそんな色々慣れない生活を何とか過ごしながらも頭の中ではこの息がつまりそうな王城からどうやって逃げ出そうって考えてたの。
せっかく異世界に来たならこんなお城の中に閉じこもってないで色んなものを見てみたいなって考えたわけなのよ。
けど来たばっかりじゃこの世界のことは右も左もわからないからとりあえず半年は王城にいることにしたわ。その間にこの世界の事や言葉について学びながらこっそり裏では逃げ出す準備をしていたの。
この世界に来てから半年たったころにはこの世界について一通りわかったし聖女として渡されていたお給料も結構たまったからついに逃げ出したのよ。
とりあえずこの世界で黒い髪の毛は目立つから金に染めて色々なところを旅したの。
一番最初に目指したのは隣国のカストリアね。きれいな海があるってこの世界について学んでる時に先生から聞いてたからずっと気になってたのよ。
予想を裏切らないきれいな海で水は澄んでいて足元まで見えるし夕日は海面が反射して最高だったわ。
他にもいろいろな場所や国を回っていたわ。雪景色に覆われた山脈、森の奥にある古代文明の神殿の遺跡、日本のような島国にはいままで見たこともないような動物をたくさん見れたわ。
他にもたくさんの景色や人を見れて最高だったわ。
しかもこの世界にはパスポートっていう概念がなかったから国境を越えるのも楽で私が聖女ってこともバレずに旅行することができるのよ。
じゃあ何で今旅をしてないでここにいるかって?。話を聞いてればすぐにわかるわ。
まあそうやって色々なところを旅していると気が付くとこの世界に来てから2年たっていたわ。
そんなある日ふと思い出したのよ、私がこの世界に連れてこられたのはガタガタだった国を何とかするためにって。
少し罪悪感があったわ。いくら無理やり連れてこらてたって言っても私一人のわがままで逃げ出したから、もしかしたら藁にも縋るつもりで呼び出した聖女がいなくなったあの国は崩壊してしまったかもとも思ったわ。
宿屋とかで噂を聞く限りでは崩壊したって話は聞かなかったけど少し自分の目で今どうなってるか見てみようって考えたわけ。今思うとその考えが迂闊だったわ...。
その頃は髪の毛は金髪にしてたし見た目じゃ私が聖女だってわからないでしょって考えちゃったわけ。
それでこの国に一旦戻ってみることにしたのよ。
戻ってみて一番最初に感じたことは私が逃げ出した1年半前よりもずっと良くなってたことね。
街はたくさんの人がいて活気づいてたし、道行く人たちも見た限りだけどそんな飢えたり貧乏だって感じじゃなかったわ。
まあ私がこの世界に来た頃は飢餓で結構悲惨だったらしいけどね。
それが私が来た2年まえから飢餓とか景気が一気によくなったらしいから聖女様のおかげだって街の人達が口を揃えて言ってたけど絶対聖女の力とかじゃないよね?。普通に乗り越えただけよね?。
少し話がずれたわね、話を戻すわ。
まあそんな感じで街の人たちから色んな噂とかを聞きながらこの国の色々な町を回ってたわ。
それである日、夕方になってその日泊まってた宿屋に戻ったのよ。そしたら部屋にカイルがいたのよ!。
反射的に逃げ出そうとしたけど腕を引かれてそのままベットに座らされたわ。
あの時のカイルのしたり顔!、今でもあの顔を思い出したらムカムカするわ!。
しかも何で私の居場所が分かったのかって聞くと魔法でずっと見てたって言うのよ。しかも私が逃げ出した時から!。ほんとストーカーとしか思えないわ...。
まあそんなことがあってまたこの王城に連れてこられたのよ。
しかもカイルは満面の笑みを浮かべながら「結婚しようね」って言ってきたのよ!。
普通の女の子ならあんなイケメンに言われたらキャアって言って泣いて喜ぶと思うけど私はまっぴらごめんよ!。
豪華な食事とか煌びやかなドレスとかいらないから普通に過ごしたいだけなの!。
せめて聖女として生きるのは良いからのんびりとどこか田舎でゆっくりと過ごしたかったわ。
だからまた王城から脱走しようと何度も試みたわ!。けどカイルは勘がいいのか、それとも魔法を使ったのかはわからないけどすぐに見つかったわ。
ある時は逃げようとして忍び込んだ搬出の馬車の御者台に座ってるし、ある時はこっそりトンネルを掘っていていくらか掘り進んだと思ったらある日落盤していて、私が悲しみに暮れていたら気が付いたら後ろに立っていて残念だねってまるでいたずらが出来て喜んでる子供みたいな顔をしながら言ってきたのよ!。
絶対あんたが落盤させたでしょ!。
まあそんなことじゃ挫けずに何度も根気強く脱走しようとしたわ。そしていつもカイルに見つかってまたの私の部屋に連れ戻される、そんなことを何度も繰り返していたのよ。
そんな感じで過ごしていたある日、私はメイドに変装して逃げ出そうとしたわけ。
準備しておいたメイド服に着替えて黒い髪を結んで帽子に隠してドアからだと護衛の人たちにバレちゃうからこっそりと窓から部屋を抜け出したわけ。
それでメイド服のままで門を通るのはおかしいから物陰でまたまた準備しておいた普通の街の人たちが着るようなシンプルなワンピースに着替えようとしたのよ。
そしたら肩を叩かれて恐る恐る後ろを向くとカイルが立ってたわけ。
もうカイルに脱走しようとしているところを見つかるのは半分私の中じゃ日常になってたからまた見つかっちゃったとしか思わなかったわけ。
けどその日はなんかカイルの様子がおかしかったのよ。いつもは余裕たっぷりの笑顔だったんだけどその日は顔が笑ってても目が笑ってなかったのよ。
それで無言で腕を引っ張られて私がトボトボとカイルの後ろを歩く。まあそこまではいつも通りだったのよ。
けどカイルに連れていかれたの私の部屋じゃなくてカイルの部屋だったのよ。
あれ?なんかおかしいなってやっとそこで気付いたのよ。自分でも鈍すぎると今思い出すと思うわ。
それでカイルが部屋のドアを閉じてこっちを向いたと思ったら「そんなに僕の元から逃げようとするなら絶対に逃げられないようにしてあげる」って言ってきたの。まあそこからは大体想像できるわよね?。既成事実ってやつよ。
それから半年後には私とカイルの結婚式が挙げられたわ。盛大にね。完全に外堀が埋められて私は逃げられなくなったわ。おかげさまで私は大きなお腹を抱えてウエディングドレスを着る羽目になったわ。
今じゃ24歳にして三児の母よ。どうしてこうなったのよ...。
しかも今はお腹の中には4人目までいるし...。もう完全に逃げられなくなっちゃたみたいね。
あなたも気を付けてね。この国の人は男女問わず恋愛に対して少し強引な人が多いから。
それじゃあ私は子供たちの様子を見てくるわ。
そう彼女は言うと子供たちの声がする部屋に小走りで向かっていった。
その後、カイルとユイカの間には合計7人もの子供が出来て幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。
この愚痴を聞いてた主人公が禁忌を犯したとして処刑されそうになっていた自分をこの世界に召喚した魔術師を連れて逃げたのはまた別のお話。