絶望
あけましておめでとうございます。しばらく更新できておらず申し訳ありません。
時というものはあっという間に過ぎ行くもの。
少年は青年となり、16歳になった。
天翼はその美しさを年々上げ、白く輝かんばかりの光を持っていた。
その頃、天翼を持つ青年は不思議な能力を操り、国家権力を凌ぐ力を持ち合わせていた。
しかし、青年は平穏を望み、あの豪華絢爛な邸宅で毎日を過ごしていた。
青年は学校には通わず、専任の家庭教師を雇って勉学に励んでいた。
驚くことに彼の学力と集中力、理解力は凄まじいもので、高校一年生である今にして大学院生以上の学力を持っていた。
そして、政府の極秘機関でも研究が行われていた。
しかし、それ最終段階に入っていた。
その日は、彼の16歳の誕生日だった。
毎年、彼の誕生日には100を超えるプレゼントが自宅に贈られて来ていた。
もちろん、彼にとってはそれが日常だったのだから、それを受け入れていた。
しかし、この日は違った。
いつも通りの誕生日パーティを終え、彼は自室に戻る。
いつもなら真っ暗闇が青年を迎えるのだが、なぜか今日は明かりが付いていた。
不思議に思いながら、青年は部屋にはいる。
そこには、異様な光景が広がっていた。
青年は唖然とし、目を見開く。
そんな青年の背後から、聞きなじみのある声がした。
その声は青年の両親のもので、彼が振り返ると、そこには満面の笑みの二人がよ寄り添って立っていた。
彼らは、今だ茫然自失の青年を見つめ、言った。
彼女達は、皆、君の奥さん達ダヨ………
その言葉を合図にしたかのように、ずらりとならんだ六人の女性が青年に抱き着いてくる。
青年の瞳から光が消える。彼の瞳に最後に映ったのは、二つのつくりものののアルカイックスマイルだった。
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次の日。
気味の悪い感触を追い払うように青年はシャワーを浴び、パーカーを羽織る。
自室を後にして、すこしはだ寒い風が弱々しく吹くベランダに出た。
そこですこしだけ風に当たり、青年は口を開いた。
「人間も………この翼も大嫌いだ。」
低い声が小さく空気を揺らす。
朝日でのびた影から人影が生まれる。そして、それはすこしずつ実態を持ち、髪の長い女性へと形を変える。
「結局俺は、ただの種でしかなかったんだ…………」
悲壮な声が消えていく。
人影から生まれた女性が、深々と頭を下げる。
青年はキングベットで眠る女性達に酷く冷たい視線を向ける。
そして、右手をかざし、言った。
「こんな醜い欲望は俺の中から何もかも消えてしまえばいい。………せめてものあがきだ。」
彼の瞳が赤く染まり、女性達の体がそれぞれ様々な光に発光する。
そして、元の色に戻った青年はクローゼットの扉を開けた。
それから二日後、日本中が再び震撼した。
人々は新聞を手にし、スマホの画面を覗き込み、テレビを凝視し、ビルに設置された大型スクリーンに視線を向けていた。
【奇跡の翼を持つ青年、姿を消す!彼は一体何処に!?】