月
ちらほらと
まっしろなゆきがふっていた
まどのそとでしろいつぶがひらひらとちじょうにおちていて
おもわずかじりついたまど
がらすがしろくなったけど
それにきづかないくらいゆきにむちゅうになっていた
これは なに?
これは だれのきおく?
おぼえのないそのおもいではやけになつかしくて
とても
さびしい
いろみのない
さびしい
さびしい
さびしいおもいで
なんで
このこはこんなにえがおなのに
わたしはさびしいと
かんじてしまうのだろう
きみはどうしてわらっているのに
どうしてそんなにいろがないの
どうして
そんなにさびしそうなの?
ゆきみたいにまっしろなきみのはだに
くらやみとつきのひかりがよくはえて
かわいいとか
かっこいいとか
そんなことばじゃあらわせなくて
ただ「きれい」
っておもった
あなたほどきれいなものはきっとなくて
しろいしろいゆきだってかなわない
とうめいだけどはかないきみは
きみが
手がうごかない
とまってしまった思い出に
わたしはどうすればいいのだろう
いま
わたしにできること
それはきっと祈ること
それはきっと想うこと
そんなことしかできないおろかなわたしに
かみさまどうか
どうか
ばつをください
体はいしのようにうごかない
羽もおもうようにうごかせない
そんな中でたしかにじかんはうごいていて
少しずつからだもせいちょうして
だけどからだはうごかなくて
いろをなくしたせかいを
しまを
みつめつづけるこのじかんは
一体なんなんだろうか
きおくが
わたしのしらないだれかのきおくが
私の中でながれている
ゆきがきれいだと思った
つきがしろいときづいた
はなをしずかにめでていた
このおもいでは
だれのもの?
さみしそうに朝日をみつめるあなたを
なにもいえずにみつめていなければならないわたしを
かみさま
どうか
許してください
この静かな
寂しい檻の中で
私は祈りを捧げる。
大好きなあなたを待って
少しずつ戻っていく元の時間に
私は祈る。
きっとあなたは訪れる。
そして
私を連れ出してくれる。
そう
信じてるから。
忘れていたはずの感情が
あなたのせいで戻ってくる
いつの間にかそこにいたあなたを
私はゆっくりと感じた
なにもいらない
なにもかんじたくない
なにもほしくない
なにもたべたくない
なにもしたくない
その「ない」を与えたのは
あなたのはずなのに
それを戻すのも
あなたなんだね………
ねぇ