雪
私のひらがなだけでかいてみたというシリーズを応用したものです
読みにくい方は読み飛ばしていただいてもかまいません
あのよるは
とてもつきがきれいだった
からすみたいにまっくろなそらにぽつんとうかぶつき
そのひ つきがしろいことにはじめてきがついた
じめんからみたときにはきいろかったのに
ちかくからみたらしろいことにびっくりしたのをおぼえてる
きみもおどろいて
ふたりでかおをみあわせてわらったっけ
だけど
つぎのひのあさ
もうきみはいなかった
あたりにひろがるのはひろいひろいそらだけ
ねえ
どこ?
どこにいったの?
だけど
あたりにひろがるこうけいでぜんぶさっして
がたがた ってからだがふるえて
だけど
ふしぎとなみだはでてこなくて
あはは ってなんでかわらってて
はじめて
自分が
こわいなっておもった
ぼくは外のせかいにでた
外はひろくて
「こんなところがあるんだ」って思った
いつもみていた低いそらじゃなくて
もっと
もっと
もっと
ひろいそら
むねがどきどきして
羽がばたばたして
すぐにでも飛んでみたい
そう思った
わくわくがとまらない
何もかもがいやになってたぼくにとって
このとき
このそらほど
自由にかんじたものはなかった
ああ
ぼくは
なんでこんなにすばらしいことを
忘れていたんだろう
あのひろい空
きみの笑いがお
白いつき
なつかしい思い出
大好きなきみにもういちど会いたい
あいたいよ………
ひろい
ひろい
ひろいそら
しろい
しろい
しろいつき
かわいい
かわいい
かわいいえがお
もし
僕がつみにまみれていたとしても
きみは僕に会ってくれますか?
たった たった一度でもいいから
きみと笑わせてください
おねがい
神様………
こんなことを忘れていたんだ
こんな大事なことを…
おれは
俺は……
きみと会いたい
逢いたい
俺だけのものにしたい
俺だけがきみを見ていたい
そんなことかなうわけないってこともしっているけど
どうしても願ってしまう
もし
きみが俺のことを忘れてしまっていたとしても
いつまでも
俺は
君のことを
つきかを
月香のことを
忘れない。
黒と白が交差する世界に
一本の光がさす
きっとそれはきみへの道
出口であり入口である
その光の道を
俺は真っすぐと進む
光が強くなり再び瞼を閉じる
まぶしい……
瞼の裏が暗くなり
俺は目を開く
そこには廃墟があった
そして
廃墟の中心には色を失いつつも独特な存在感を放つ巨大な樹がそびえていて
俺は静かに息をのんだ
そして
ゆっくりと感じた
あそこに月香がいる………
不思議とそう感じた
俺は色彩のない廃墟の国に足を踏み入れた