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6.見習い将校ミリア、極秘採掘所へ着く

ミリアの最初の命令は、艦長代理を集めて話し合いをすることだった。

「私は一番階級という理由で総指揮官に選ばれました。故に私だけでは誤った指示をする可能性があります。そのために艦長代理を招集し、話し合いの場を設けることにしました。」

「了解しました、総指揮官殿」

ミリアの周りに歴戦の戦士が並ぶ。


「では、まず私たち残存艦隊の行く先を考えましょう」

「そのことについてですが、前艦隊長官より伝言がございます。残存艦隊はダンツィヒから南西方向93マイレンほどにある魔石採掘所へ行けとの事です」

「そんな所に魔石の採掘所かあるんですか?聞いたことないですね……」

「私も直接見たことは無いのですが、軍極秘の採掘所だと聞いております。どうやら採掘所に付属する魔導船ドックや移住区などもすべて地下にあるようです」

「まさに今の私たちに最適な場所ですね。私はここへ艦隊を移動させるべきと思うのですが、宜しいでしょうか?」

艦長代理達は各々に頷く。

「では決定させて頂きます。あともう一つ、艦長代理は艦長に格上げとし、階級は少佐とします。また、私も総指揮官として准将に階級を上げようと思うのですが、宜しいでしょうか?」

艦長代理達は先程と同じく頷く。

「では階級についても決定しました。ひとまず今回の話し合いはこれで終わりです。自艦に戻り決定した事を伝えてください。艦隊自体は今から1時間ほど後に移動を開始させます。移動時には魔導回線を切り、敵に察知されぬよう高高度を航行します。」

「了解しました、デーニッツ准将殿。」


1時間後、暗闇の中の複数の光点が動き始める。

独特の低い音が辺りへ響き、地面を揺らす。

それらは徐々に上昇していき、雲の上へと消えていった。



「指揮官殿、もう間もなく採掘所へ到着します」

ミリアはその声で目を覚ます。

いつの間にか眠ってしまっていたようだ。無理もない、極度の緊張の中1日以上起きていたのだから。

「分かりました。民間船から中に収容するよう、伝達してください」

もう朝だ。地平線から太陽が顔を覗かせようとしているのが窓から見える。


真下には一面黒色の森。それらは目の前の山の麓まで広がっている。

徐々に魔導船が山に近づく。

「あら、あれは何かしら」

ミリアは山の麓に一つだけ開く穴を見つけた。


ダンツィヒが保有する秘密採掘所、それは地下基地と言っても過言ではないほどの規模である。今から20年程前に貴重な魔石を独占してダンツィヒに供給するため、莫大な予算をかけ作られた。他国から隠遁するため、巨大な自然洞窟をベースに鉱山の地下に築かれたのだ。


「まさかここまで大きいとは……話には聞いていましたが予想以上です」

艦長の一人が驚きを漏らす。

「こんなにも巨大な施設をよく何十年も隠し通せたわね……ここなら魔導船を動かす魔石にも困らない、それに地下作物栽培施設もあるらしいわね。素晴らしいわ」

「まったくです」

ミリア率いる艦隊は、新たな安住の地に辿り着いたのであった。



「一体何事なんだ……」

早朝、自室で眠っていた採掘所の所長アメイズは巨大な音で目を覚ました。

それと同時に部屋に部下が駆けこんでくる。

「大変です、所長!本国の軍艦と数隻の民間船が来ました」

「一体こんな朝から何の用で……」

「それが所長、」

「ダンツィヒが帝国軍に占領されたわ」

少女が部下の声を遮り告げる。

「あなたが所長ね、初めまして」

「……今何と言った、聞き間違えたかもしれぬ」

「ダンツィヒが落ちたのよ、帝国軍の手によって」

アメイズは驚く。

「そんな馬鹿な、本国には私の家族がいるんだぞっ!」

「残念ながら、国民のほとんどは砲撃によって亡くなりました。一部の技術者は帝国に連れ去られたそうですが」

絶望がアメイズの心を染める。


「そういう訳だから、艦隊をこの地に停泊させるわ」

少女は無駄に高圧的である……舐めているのか。

「お嬢ちゃん、君の名前はなんて言うんだい?」

出来るだけ怒りを抑え尋ねる。

「ダンツィヒ軍総指揮官デーニッツ准将よ、子供扱いしないでくれるかしら」


じわりとpvが伸びてて嬉しいですね。

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