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41.新天地

「エルンスト・ヴォルクマン少尉であります」

「ヴィルヘルム・ビットリヒ大将だ、ここで師団長をしている者だ。よく来てくれた、第2装甲榴弾兵師団、ダス・ライヒへ。君の戦功はよく耳にしているぞ」

「光栄であります。私は第2装甲連隊第2中隊に配属と聞いておりますが、間違いないでしょうか?」

「その通りだ、君は第2中隊で第1戦車小隊の隊長をしてもらう。君はまだ戦車に乗ったことなど殆どないだろうが……暫く師団は再編中だ、存分に訓練したまえ」

「了解しました。では失礼します」

エルンストは一礼し、師団長室を出る。

そしてふっと一息つき、案内人に着いていくのであった。



「しかし此処は広いなぁ……」

エルンストが配備されたダス・ライヒ師団はドイチュラント国南部に位置するモントーバン駐屯地にて再編を行っていた。周りには美しい丘や青い森が広がっており、偶に小鳥の囀りが聞こえてくる、そんな田舎であった。

「……美しい」

彼が戦争が今この時起こっていると信じられない程、素晴らしい場所であった。。

しかし、一気に現実へと引き戻される。


無骨なデザイン、グレーに塗装された機体。

「これが自分の戦車か……やはり大きいな」

エルンストは支給されたPz.kpfw IVを見て一言呟いた。

すると戦車の中から一人の青年が飛び出してきた。

「あ、もしかしてヴォルクマン少尉殿ですか!?」

「ああ、そうだが……」

「やっぱり!自分はこの戦車の砲手となりましたアウレール・ヴォル上等兵であります。まだまだ未熟者ですが、これからよろしくお願いします!」

「未熟者は自分だって一緒さ、戦車に乗った事すら数度しかない。まあこれからよろしく頼む」

「しかしかの戦車殺しと一緒に戦えるとは……夢のようです」

「そ、そんなに有名だっけ、僕」

「そりゃあ生身で戦車を合計20両近く撃破したとか、本当に死神じゃないですか!」

「まあ……生き残るために自然に体が動いただけさ。むしろ何かを強く考えているときほど想定外の事態に耐えられない」

「ふむふむ、為になります」

「あ、メモを取るまでの事じゃないさ……」



「ところで、君以外の乗員は今いないのかい?」

「丁度昼食時ですからね……僕はさっさと食べて来たんですけど、他はまだ食べてると思います」

「そうか……僕もまだ昼食を摂っていない事だし、食堂まで案内してくれるかな?」

「勿論であります!」

こうしてエルンストは食堂へと向かった。


「ふむふむ、ここが食堂か……」

「結構いいでしょう?」

駐屯地の食堂、そこは真新しく、食欲をそそる匂いが充満する場所であった。

「ああ、前線とは大違いだ」

「まあ……あれは酷いですよね」

二人は旨味を感じないスープと固いパンを思い出しながら、食事を受け取りに向かう。


エルンストに渡されたのは、トマトの煮込み、そして白パンだった。

「ふむふむ、基本的なメニューは変わらないんだな」

「そうですね、でもこっちの方が具も多めできちんと調理されているので遥かに美味しいんですよ」

「ふむふむ、頂こうか……旨いな。ちゃんと旨く感じる、きちんとした食事だ」

「まあ物資が足らない上に殆ど缶詰を煮ただけですからね……あれは」

これは良い所へ配属された、とエルンストは確信したのであった。



「ところで他の乗員は見つかったか?」

「えーっと……あそこにいますね。おーい、エトガー、ユルゲン、それにオットー」

「なんだアウレール、ってそちらの方は?」

「今日から第1小隊の小隊長となるエルンスト・ヴォルクマン少尉だ、よろしく」

「あ、私はユルゲン・ハンス伍長です!無線手をしています」

「自分はエド―ガー・クライン上等兵であります。操縦手です」

「わ、私はオットー・フェラー一等兵です、装填手です……まだ新入りですが」

エルンストは彼らを見渡す。

「ふむ、今日からは私に命を預けてもらうことになる。よろしく頼むぞ」

「了解であります!」


こうして、エルンストの戦車長初日は終わった。


エルンスト編、まだまだ続きます<(_ _)>

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