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27.弱気な彼は地獄で頑張る

‘‘母さんへ、僕は元気です。もうすぐクリスマスですがそちらはどうお過ごしですか?こちらは……いいとは言えませんね。戦場は寒くて死の気配が迫り辛いですけど、僕はSPRSSの兵士です。国の為に、総統の為に死ぬ仕事です。それに仲間といると辛さが半分に、嬉しさが二倍になります。最近は僕だって隊の中で一目置かれる存在になったんですよ。僕の仕事が機関銃を撃つこととは前にも話しましたが、ようやくちゃんと命中させることが出来るように、きちんと仲間の支援を出来るようになりました。……母さんはこんなことを言うと悲しむかもしれません。でも僕が生き残るためには仕方ないのです。一生懸命働いて早く戦争を終えて母さんの元へ帰ります。そうだな、母さんのいつもの煮込みが食べたいかな、こちらじゃ冷たい食事ばかりで……話が逸れてしまいましたね。最後にもう一度、僕は元気です。母さんもお元気で。では。

937年12月7日 あなたの息子 エルンストより’’


「これでよし、早く出さないとクリスマスまでに返信が来ないからね」

青年はペンを置き、手紙を封筒へ入れる。

「こらっ、ヴォルクマン上等兵。早く支度をしないか!あと10分で第9中隊の移動が開始するぞ!」

「はいっ、小隊長殿。すぐ行きます」

「この間の戦いでいい気になったかもしれんがな、お前はまだひよっこさんだ。忘れるなよ」

「勿論であります」

青年は急いで手紙を大隊の郵便係へと渡しに行く。次にいつ手紙を送れる機会があるか分からないのだ。


「すみませーんっ!手紙を出したいんですけどーっ!」

無事臨時郵便所へと着くも、不幸な事に郵便係がいない。

急いで探すも、非常に時は過ぎてゆく。

「ヴォルクマン上等兵っ!もう時間だぞっ!こっちへ来い!」

「うそ…だろ……」

青年は虚しく小隊長に連れてかれて行くのであった。



彼の名はエルンスト・ヴォルクマン。SPRSS連隊ドイチュラント第3大隊第9中隊所属の機関銃手であるSPRSS上等兵だ。

彼は共通暦933年にSPRSS連隊に入隊し、数か月間基礎訓練を受けて第3大隊に配属され今に至る。やや臆病なものの先日の戦闘で戦功を上げ、兵長に昇進するかも、と言われている。とはいえ未だ20歳のひよっこ兵士である。


エルンストら第9中隊は右に森を眺めつつゆっくりと平原を前進していた。

「いい景色だなぁ……左には何処までも広がる草原が、右側には青く美しい山がいくつも。そして空は青く澄んでいる。まるでハイキングみたいだ」

「上等兵、ここも戦場だぞ!お遊び気分で来るなら帰れっ!」

「す、すみません小隊長殿」

たまには戦場という事を忘れさせてくれよ、そう彼は思いつつも、しょんぼりとしたふりをして歩き続けた。


1~2マイレンほど歩いただろうか、エルンストの隣で急に爆発音がする。

「不味い、敵の伏兵かっ!第9中隊、総員森の中まで走れっ!ここでは奴さんのいい鴨だっ!」

中隊長の叫ぶ声が前方から聞こえる、と同時に中隊の兵士が一斉に右側の森へと走り出す。エルンストはやや遅れつつも、何とか森へと走っていく。

そんな彼らを敵の砲兵は無慈悲にヴァルハラ送りにしてゆく。次々と兵士が千切れて空を舞い、地面に叩きつけられる。

エルンストは食らうまいと必死に森へと走る、走る。

「あと少しっ!」

そう叫んだ瞬間、彼の至近距離で爆発が起きる。

「あ……」

彼の体は空を舞う。


あ……小隊長が凄い顔をして僕を見ているな。


そう思いつつ、エルンストの意識は薄れていった。


とある兵士編です。暫くミリア達は出てきません<(_ _)>

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