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16.ローゼンハイム一揆

時は少し遡る。

戦勝国とはいえ、バイエルン王国以外は悲惨な物であった。例えばポーレン共和国では働き手が非常に不足するなど人口バランスの崩壊が起き、前線付近の共和国に至っては人口が大量に減少した挙句、インフラはほぼ壊滅状態、資金も殆ど残っていないという状況になった。


他の戦勝国に比べ被害の少なかったバイエルンは共和国同盟の各国に対し、鉄道の復旧や魔導船港の築港などの支援を行った。これは名目上は支援という形で行われたものの、実際には大量の金が比較的資金に余裕のあったポーレン共和国からバイエルン王国へ流れた。

この裏資金を使いバイエルン王国は未だ国内の工業地帯にしか敷かれていなかった鉄道を全土に敷設、国民の移動を活発にさせた。


こうして更なる発展を見せたバイエルン王国に、人と富が集まり始める。

人口は他国からの移民を迎え入れたことで増大、それと同時に多くの資本家や企業がバイエルン王国に移り、バイエルン王国はさらなる発展を遂げた。



しかし、順調に見えるバイエルン王国にも、少しずつ問題が現れ始めた。

それは人口の増加の代償である治安の低下である。王国は多数の警官を用い治安を何とか維持しようと試みたものの、予想以上の人口の増加に追いつく事が出来なかった。

それ故にRächer、復讐者等といった帝国移民に紛れた反王国組織の国内への浸透を許してしまう。


そして共通暦916年11月8日、遂にローゼンハイムにて反王国組織が帝国からの移民、特に元帝国兵の一部と決起する。女王ミリアはこれに激怒、首都ミュンヘンの第一師団に鎮圧を命じる。

反乱軍は11月11日、ローゼンハイムからミュンヘンに進軍を開始するも、ミュンヘンから13マイレン程離れた場所で、街道付近で待機していた第一師団からの攻撃を受ける。いくら武装していたとはいえ最新式装備の第一師団に太刀打ちできるはずも無く、半日で壊滅する。


女王ミリアはこのような事態が二度と起こさぬ為に、軍を用いた反王国組織の一掃を行う。

これによってバイエルンから反王国組織は消え去ったように見えた。



夜、旧帝都ベルンの端の方にある煌びやかな地区。

その裏路地の入口、闇と光が交差する場所で娼婦と男が話していた。

「ローゼンハイムで決起した軍が壊滅したですって!?」

「そうだ、ミリア。残念なことに王国軍に殲滅された。」

娼婦は怒りで顔を赤く染める。

「何故?ローゼンハイムに軍はいなかったはずよ!私の情報が間違っていたとでも言うの?」

「それがだな、反乱軍の指揮官が勝手に王都ミュンヘンへと進軍させたらしいんだ。そこを王国軍に突かれた」

「手筈ではローゼンハイムを占領後、ベルンでの虐殺に対しての交渉の席に王国を着かせる筈だったのに……あんな男に指揮官を任せるべきでは無かったわ」

男は静かに頷く。

「それに……反乱が失敗したのなら首都の支部の無事ではないでしょう?」

「ああ、軍によって全員が射殺ないしは拘束された。支部にいた会長も含めて」

「じゃあこれからどうするのよ、私達。組織のトップがいなくなってしまったのよ」

「今は俺が会長代理を務めている……が組織は分裂しつつある。もうお終いだ。私も命を狙われる身でね、しばらく地下に潜る」

「……じゃあお別れね、カール。また会いましょう」

「君こそ身を大切にね、ミリア。ではまた会おう」


男は闇へと消えていき、後には娼婦が一人残るだけである。

娼婦は少しだけ涙を流した後、煌びやかな世界へと戻っていった。


文が短くてすみません<(_ _)>

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