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15.そして復讐は繰り返す

魔導船による爆撃後、帝都ベルンは機動軍によって占領された。

機動軍の兵士がベルンで見た光景、それはまさに地獄であった。

建物は完全に破壊され、道には穴が開き、道の脇に死体が転がっている。また未だに小規模な火事が続いている。

家族を失ったのであろうか、泣きわめく住民や呆然と座り込む住民、それにバイエルン軍に恨みの視線をぶつける住民が街のあちらこちらにいる。


「なぜここまでむごい仕打ちをする必要が……いくら何でもひどすぎる」

機動軍所属のとある青年士官は人知れずこう呟いたのだった。



首都ベルンを占領された神聖帝国に最早経戦意思は残っておらず、ベルン陥落から3日後に共和国同盟及びバイエルン王国に対し降伏した。

講和に当たって、神聖帝国には非常に厳しい要求が突きつけられた。まず共和国同盟の要求の1つ目は、神聖帝国東部の共和国同盟と接する地域を独立させ、同盟に組み込むというものである。実質的には併合と何ら変わらない条件である。

2つ目は多大な賠償金の要求である。神聖帝国の国家予算3年分ほどの大金を、共和国同盟は神聖帝国に要求したのである。

3つ目は軍の保有に制限をかけるというものである。これにより神聖帝国は国境防衛隊をなんとか編成出来る程度の陸軍と、ほとんど意味を成さない程小型の魔導船しか保有することが出来なくなった。

最後に、共和国制への移行である。これは帝国制が共和国同盟に反するイデオロギーであり、イデオロギーの対立はそのまま国家の対立と成り得るからである。


これに比べ、途中から参戦したバイエルン王国の要求は些細な事であった。

それは表向きには僅かながらの賠償金とダンツィヒの返還、そして裏側ではベルン爆撃による民間人殺傷の責任を問わないという要求であった。


共通暦918年11月9日、神聖帝国はこれらの要求を飲み、国は分裂し神聖帝国は終焉した。



今はかつての帝都の見る影もないベルン。

その端に、一人の少女がいた。

彼女は前線で父を、爆撃で母と姉を失い、僅か9歳という歳で自立して生活をしなければならなかった。

彼女は進駐してきた兵士等に対して靴磨きをするなどして、何とかその日その日を生きていた。

ある日、その少女は靴磨きの客として来たとある若い男に気に入られる。彼は富豪であった。富豪は彼女を風呂に入れ、服を着せ、温かい食事と彼の豪邸の一室を与えた。富豪は薄汚れた姿に潜む彼女の美しさに気が付いたのだ。

ただ、富豪もただ彼女に親切で衣食住を与えたのではない。幸か不幸か、彼は

ペドフィリアであったのだ。彼女は毎晩男の下に組み敷かれた。彼女は沢山の美しい服を着させられ、十分な食事が与えられた。その変わり、毎晩男に抱かれる。果たして、靴磨きの仕事をしていた頃とどちらが幸せであったのだろうか。


1年もすると、富豪は彼女だけでは物足りなくなったのだろうか、別の少女を邸宅に連れてきた。そして毎晩2人で男に抱かれた。そして又次の年には1人増え、夜の人数も増えていった。

7年が経った頃、16歳の彼女は完全に女になっていた。彼女に完全に飽きた富豪は彼女に少しばかりの金を渡し、邸宅から追い出した。彼女は特に手に職を持たず、教育も十分に成されていない。自分の体を売ることしか、生きていく方法を見つけることが出来なかった。幸い、彼女は美しかったため高級売春宿に引き取られることとなった。


ある日、彼女は売春街の裏路地で1人の男に声を掛けられた。彼は、自分をRächer、復讐者という組織の一員であると話し、彼女に組織に入らないかと誘った。その組織は前の戦争でベルンを爆撃し、多数の市民を虐殺したバイエルン王国及び女王への復讐を目指す組織であった。彼女は二つ返事で承諾した。自分の家族を、何の罪もない家族を殺したバイエルンが憎かったのだ。

彼女はベッドを共にした高官から、捜査の計画や軍の動向を聞き出すよう組織から依頼される。彼女は積極的に高官と寝、多くの情報を組織に流していた。


皮肉なことに彼女の名もまた、ミリアといった。


ようやく前書き終わりました。

感想、評価お待ちしています。

p.s. 年代が分かり難いので共通暦導入しました。今までの投稿分にも少しずつ追加していきます。

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