表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/56

14.見習い女王ミリア、復讐を果たす

戦線を突破されバイエルン方面軍の主力の大半を失った神聖帝国は大幅に戦線を下げざるを得なかった。神聖帝国軍はバイエルン王国国境より44マイレン後方にあるダニューブ川まで突破された戦線を下げることにした。これによって全体の戦線をU字型にし、敵の主力を突出させる。そしてバイエルン王国の戦線が伸び切った所で、U字の先端部で主力を用い突破し、包囲しようというものであった。

これは大きな賭けであった。バイエルン王国軍を必ずしもダニューブ川で止めることの出来る保証が無いからである。王国軍には強固で何重にもなった塹壕を一瞬で突破できる新兵器があるためだ。もし最終防衛線が突破された場合、帝国の主要な工業地帯及び首都を敵に占領されてしまう。

しかしもし包囲作戦が成功したならば敵の主力を一度に撃破する事が可能である。

この作戦の肝は如何に自然に戦線を後退させ、相手に気付かれないようにU字型の戦線にする事、そしてダニューブ川で必ず敵の主力を止めることである。



戦線を突破し進軍を続けていたバイエルン王国第1機動軍の指揮官は驚いていた。予想以上に敵が弱い。戦車を前に出すだけで蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

「まっこと帝国軍は弱いのぅ、奴らは赤子の集まりなのか?」

指揮官は豪快に笑いつつ副官に語る。

「本当に弱いですねぇ、少将どの。このまま奴らの首都まで進撃してやりましょうぞ!」

副官も指揮官と同じく帝国軍を完全に舐めていた。

それが自分たちの首を絞めるとは知らずに。



王国軍がダニューブ川を越えようとする事、U字の先端部には出せる最大の帝国軍が集結していた。帝国軍はこの一手に賭けていた。最終防衛線にはほとんど兵を置かず偽装工作をし、多数の兵が立てこもっているように見せている。王国軍は気付いていないはずだ。

日付が変わる頃、帝国軍は闇に紛れて進軍を始めた。


「機動軍の奴等はいいよなぁ、あんなに敵を蹴散らせて。俺も志願するんだった」

「まったく、訳の分からない兵器に命を預けられるかとか言っていたのは何処のどいつだ」

国境付近にとどまっていた王国軍のとある兵士は談笑していた。彼らは帝国軍から全く攻撃が来ないのを見て、完全に油断しきっていた。

「しっかし暇だなぁ」

片方の男がそう言おうとした瞬間、爆発音が聞こえる。刹那男は赤い液体を流しつつ、地面に倒れる。

もう片方の男が敵襲と司令部に伝えようとするも、魔導通信機を掴んだ瞬間砲撃によって吹き飛ばされてしまった。



王国軍は突如起こった帝国軍の反抗によって混乱の渦に叩き落された。

王国は予備兵と魔導船を用い、王国内に侵入してきた帝国軍を全力で叩いた。

歩兵であったため進軍速度は遅く何とか対処できたため、結局帝国軍の反抗作戦は失敗し、帝国軍は主力を失った。しかし王国側の被害もかなりの規模であり、ほぼ同数かそれ以上の兵士を失ってしまう。これは兵の少ない王国軍にとって非常に重大な被害であった。



帝国軍の反抗が失敗した後、バイエルン王国の機動軍は帝国の最終防衛線を容易に突破。帝国の首都ベルンに迫っていた。


ミュンヘンのとある部屋で女はニヤリと笑みを浮かべていた。

「もう少しで奴らを血祭りに上げる事が出来るわ……魔導船でベルンを爆撃させて何もかもを壊してしまうのよ」

「陛下、本当に宜しいのですか?何も罪のない市民を殺してしまって」

横の男が尋ねる。

「勿論よ、すべては奴らに同じ思いをさせてやるため、地獄を見せる為よ。ダンツィヒの何の罪もない市民が奴らにどのように殺されたかあなただって覚えているでしょう!」

「……分かりました。私は陛下に従います。」

「じゃあブリュンヒルドの出航用意をさせなさい。私もこの目で見に行くわ」



3日後の夜明け前、ベルン上空付近には多数のバイエルン王国の魔導船が集結していた。その中にミリアが乗るブリュンヒルドの姿もある。

丁度太陽が上る頃、艦隊はベルン上空へと移動を開始した。そしてベルン上空に差し掛かかった頃、多数の爆弾が魔導船より落とされた。十秒程経った頃だろうか。ベルンの市街地にいくつもの火球が出現する。火球に巻き込まれた建物は一瞬の内に灰色の煙をあげて崩れ去る。一瞬にしてベルンの街が灰色の煙に覆われる。

3回ほど爆弾を投下して艦隊はベルン上空から去った。

既に華やかな帝国の首都の面影は無い。


「ふふふふふ……ようやくこれであいつらを、帝国の民を地獄へと突き落としてやったわ。ようやくよ!」

ブリュンヒルドの艦橋で、一人の女の声が響いた。


感想、評価お待ちしています。

相変わらずミリアが下衆いですね・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ