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8ページ目「訪れた医者。」

「リンカァァァァァァァッ!!」

不思議なことにリンカの身体に外傷はなかった。

しかし倒れたリンカは苦しそうな表情だった。

「さよなら、生き延びれたらまた会いましょう」

そう言うと女は姿を消した。

「リンカッ!リンカァーッ!」

「英・・輔・・・」

「リンカッ!大丈夫か!?」

「恐らく・・・このままでは・・・・・死ぬ」

「そんな・・・・!」

「魔術関係に詳しい奴を知らないか・・・?」

「・・・」

英輔は必死に考えたが思い当たらない。

そもそも最近まで魔術すら知らなかったのだ。

知っている方がおかしい。

「とりあえず家まで運ぶぞ!」

「すまない・・・・」

英輔がリンカをおぶった時だった。

「う、ううん・・・」

「森田!」

淳が目を覚ましたのだった。

「桧山君・・・・?い、磯野さん!どうしたの!?」

「ああ、少しやられた・・・」

「やられたって・・・・」

「とりあえずお前も帰れ。俺は今からリンカを家に連れて行く」

「僕に、何かできることある?」

「早く帰って俺達を安心させてくれ」

そう言って英輔は微笑んだ。

「う、うん・・・。お大事に」

そう言うと淳は走って帰って行った。

「行くぞリンカ」

「あ、ああ・・・」

英輔は急いで家に向った。

流石に走りはしなかったが、リンカは非常に軽かった。

こんなに軽い・・・

強気だった彼女が今ではこんなにも弱くて、軽い。

「絶対なんとかしてやるからな・・・・」

リンカは英輔の背中の温もりを感じていた。

弱い人間のくせに、こんなにも温かくて大きな背中・・・。

リンカは英輔の背中に顔をうずめた。

あの女のせいで苦しいのに、温かくて気持ちが良い。

少しだけ、このままでいたいとも思えた。

「死ぬなよ・・・リンカ・・・!」

 しっかりしろよ・・・リンカ・・・!

不意にリンカの脳内に古い記憶が蘇る。

英輔と、懐かしい誰かがダブって見えた。

「あ・・・」

「どうした?」

「兄・・・上・・・」

「リンカ?」

英輔はリンカが何を言っているのかよくわからなかったが、とりあえず今は家に戻ることを優先した。

数分後、ついに英輔は家に着いた。

「着いたぞ!リンカ!」

「すま・・・ない・・・」

英輔はソファーにリンカを寝させた。

「休んでろ」

「あ、ああ・・・」

「熱とかあるか?」

英輔はリンカのおでこに手を当てる。

「熱ッ!」

こんなに発熱してんのかよ・・・!

英輔はビニール袋を取り出すと、中に氷と水を入れ、リンカのおでこに乗せた。

「これでもちょっとはマシだろ。他に何かして欲しいこと、ないか?」

「・・・。英輔・・・」

「どうした?」

「少し眠る」

「そのまま起きないなんてのはナシだぜ?」

「さあな」

「何弱気なこと言ってんだよ!お前は絶対死なせない!」

「お前・・・何故そんなに・・・必死に・・・」

「目の前で死にかけてる奴を必死で助けるのは当たり前だ!」

トントン

不意に玄関のドアを叩く音がする。

インターホンを鳴らせば良いのに、奇妙な客である。

「どちら様・・・?」

英輔がドアを開けると、そこには1人の男が立っていた。

長身で、眼鏡をかけた男だった。

年齢は20代後半くらいに見える。

「やぁ、君が桧山英輔君か」

その言葉を聞いた途端、英輔の顔付きが変わった。

「誰だ・・・?何で俺の名前を知っている・・・!?」

「そう身構えなくて良い。私は敵じゃない・・・。味方でもないけどね」

「・・・」

「それより彼女は・・・リンカちゃんはどうかしたのかね?」

そう言うと男は靴を脱ぎ始めた。

「少し上がらせてもらうよ」

「な・・・!?勝手に・・・!」

英輔の言葉を無視して男はズカズカと家に上がりこむ。

男はリンカに近づくと、彼女の胸に手を当てた。

「ちょ、おま、リンカのどこを触って・・・!?」

「そういったことばかり考える下等な人間は好きになれないな」

リンカはそんなことも知らず、うなされながら眠っている。

「ふむ、彼女の中に幾つか霊魂の存在を感じる。寄生し、宿主から生気を吸い取るタイプの霊だ。こんな物が幾つも寄生していればこうなるのは当たり前だな」

「アンタ・・・一体何者だ?」

「私はヴァーム。そうだな・・・。人間以外専門の医者とでも言っておこう」

「医者・・・?でも、何でそんなアンタがこんなとこに・・・?」

「気まぐれさ。苦しそうな悪魔の少女をおぶった人間を見かけたものでね」

「その、アンタなら・・・治せるのか?リンカを・・・」

ヴァームはコクリとうなずいた。

「じゃ、じゃあ・・・」

「しかし条件がある」

「条件・・・?」

「これから肉体強化剤を使用した私と戦ってもらう」

ヴァームはポケットから一本の注射器を取り出した。

「・・・はぁ?」

「ポケットの中には体内に寄生している霊を強制的に徐霊する丸薬が入っている。これを私から奪って見せたまえ」

ヴァームはポケットから小瓶を取り出した。

中には血のように赤い丸薬が1つ入っていた。

「・・・・・・・」

「良いぜ。やってやるよ・・・!!その丸薬、効かなかったら承知しねえからなッ!」

「威勢の良い人間は嫌いじゃないな」

ヴァームはニヤリと笑った。


To Be Continued

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