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6ページ目「教室の霊。」

西瓜すいかとの戦いから数日後の月曜日。

リンカはついに英輔の高校へ編入してきた。

英輔も非常に驚いたのだがリンカの学力はかなりのもので、編入テストも余裕で合格した。

「磯野リンカだ。よろしく」

「磯野って・・・・」

英輔が聞いてみたところ、リンカには名字がないらしい。

流石にそれはまずい気がするので適当に決めておけと英輔が言ったところ、この間見たアニメに出てきた名前をそのまま使ったのであった。

「席は・・・」

「英輔の隣、空いてるだろ?」

空いているというより存在しない。

「英輔・・・?桧山のことか?」

「ああ。私の知り合いは英輔だけなんだ。頼む」

「まあそういうことなら仕方ない。学級委員、後で席を持って来てくれ」

「はい」

HRが終わると同時にリンカはクラス中の生徒から質問攻めにあっていた。

「どこから来たのー?」

「何で名前カタカナなのー?」

「ハーフ?」

「レベルはー?」

レベル!?

普通の質問から妙な質問まで、様々な質問が飛び交う。

「お、おい英輔、何とかしろ」

「あ、あのさお前ら、コイツまだ転校してきたばっかで緊張してるんだよ。そっとしてやってくれ」

「緊張してなどいないッ!」

「じゃあどうしろってんだよ!?」

数々の質問と、リンカと英輔の口ゲンカでチャイムがなるまで教室は騒がしかった。



放課後、英輔とリンカが家に帰ってしばらくしてからだった。

「悪いリンカ、忘れ物した。ちょっと取って来る」

「し、しょうがないな。私も行ってやろう」

「別にめんどくさいなら家で待ってても良いぞ?」

「う、うるさい!とにかく行くぞ!」

英輔とリンカが学校に戻り教室に行くと、1人の少年がまだ残っていた。

「ん・・・。森田か?」

森田淳もりたじゅんだった。

英輔自身とは直接関係はない、ただのクラスメイトである。

少し暗いが成績は良い。

あまり目立たない少年だった。

「あ、桧山君」

「何してんだよ」

淳はボーっと一点を見つめていた。

教室の隅。

「何かいるのか?」

「・・・・」

「っつかずっとココにいたのか?」

「ううん。部活の後だよ」

「で、結局何してんだよ?」

口ごもる淳。

「おい」

「は、はい?」

「森田とかいったな」

「そうですけど・・・・」

「放っておけ。ソレはお前が気にするような存在じゃない」

「・・・。でもこの、震えてる。何かに怯えてるみたいだよ」

「どちらにせよお前には関係ない。そして、私にもな」

リンカも淳と同じ場所を見つめ始める。

「おい、お前ら何の話してんだよ?」

「良いか森田。ソレは放っておけ。お前まで何かに巻き込まれるぞ」

「・・・」

「だから何の話をしてんだよ!?」

「森田、すぐに帰れ」

リンカはピシャリと言うと教室から出た。

「行くぞ英輔」

「おい待てって!」



「なあ、お前森田と何の話してたんだよ?」

「お前もしつこいな」

「悪かったな」

「霊だ」

「・・・霊?」

それを聞くと英輔は怪訝そうな顔をした。

「霊ってあの・・・アレだよな?死んだ人間の・・・」

「そうだ。あの森田という少年、見えていたんだ」

「霊がか?」

「ああ。お前、見えてなかったのか?」

「見えるワケねーだろ!」

「まあそんなことだろうと思ったが・・・」

リンカは少し考え込むと立ち止まった。

「どうした?」

「やはり気になる」

「森田か?」

「戻るぞ」

そう言うとリンカは学校に向って走り出した。

「わ、ちょ、待てよ!」



「・・・」

その頃淳は未だに霊を見つめていた。

透けていることを除けば普通の女の子だった。

淳と同じくらいの歳の少女が教室の隅で膝を抱えて震えているのだ。

ブルブルと。

何かに怯えるように。

不意に淳は話しかけてみたくなった。

通じるかどうかはわからないが何か声をかけたくなった。

「ね、ねえ・・・」

「何をそんなに震えているの?」

少女の霊は淳の声に気づいたのか、淳の方を向いた。

「大丈夫?」



「なあリンカ」

「何だ?」

「森田に言ってたけど何かに巻き込まれるってどういうことだよ?」

「そのままの意味だ。アレには関わるべきじゃない」

「見えない俺にはワケわかんないな」

「お前は集中力が足りんのだ。多少でも魔力があれば見ること自体は不可能じゃない」

「あの霊・・・。危険だ」

そう呟くとリンカは走るスピードを上げた。



「ダイジョウブダヨ」

「!?」

声が聞こえた。

女の子の声。

淳は驚いていた。

この少女に淳の意志が伝わり、この少女は淳に意思を伝えようとしているのだ。

「じゃあ、何をそんなに震えているの?」

「コワイノ」

「怖い?」

「アナタガシンジャウノガコワイノ」



「危険ってどういうことだよ?」

「あのレベルの霊になると思考も行動も支離滅裂になる。下手に干渉すれば何をし出すかわからない」

「何でそんなのが教室にいるんだよ!?」

「どこかから流れて来たか・・・誰かに意図的に連れて来られたか・・・だな」

「意図的に連れて来られるって・・・・」



その頃、すっかり暗くなった学校の屋上で1人の女が不適に笑っていた。

「来てる来てる。誰だか知らないけど私達『星屑ほしくず』の邪魔はさせないわ」

「あの、あの霊相手にどこまでやるかしら・・・」

女は校門を通り過ぎたリンカを見てクスリと笑った。


To Be Continued

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