表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/53

51ページ目「2人の炎。」

「ハァァァァァァ!!」

リンカの周囲で炎が燃え盛る。

リンカの魔力が漏れ出しているのだ。

呪文スペルは既に完成した。

後は……

後は目の前のあの男に、クレスにぶつけるだけ…!

リンカはクレスに向かって右手をかざした。

クレスも同じようにリンカに右手をかざす。

直感でわかった。

クレスは自分と同じ魔術を使うつもりだ。

大方、自分に完全な敗北を悟らせるためだろう。

「兄上ェェェェッッッ!!!」

ゴォォォォッ!!

リンカの腕から膨大な量の炎が放射される。

一見普通に出せそうな炎だがこれ程の量となると流石に呪文スペルが必要だった。

この魔術は呪文系魔術の基礎である。

リンカならもう少し複雑な呪文も使えるのだが…

クレス相手に小細工が通用するとも思えない。

この基礎的な魔術に、今持てる力全てをぶつける。

「リンカ………ッッ!!」

ゴォォォッ!!

クレスの右手からも膨大な量の青い炎が放射される。

そして、2人の間で激しくぶつかり合った。

かなりの密度の魔力がこの一室に充満している。

互いに一歩も譲らない。

炎は互いに中心でぶつかり合ったまま、どちらにも傾かなかった。

「おおおおおおおッッッ!!!!!」

リンカは更に力を込める。

ほんの少しだが炎がクレスの方へ傾く。

「兄上……ッ!私は……私は貴方を止めるッッ!!!」

「止めれるものなら………止めてみろォッ!!」

「ッ!?」

ゴォォォォォッ!!!

クレスの炎の勢いが急激に増す。

再び互いの炎が中心に戻ったかと思えば、凄まじい勢いでリンカに傾く。

「どうだリンカ……ッ!無駄だというのがわかったかいッ!?」

クレスの炎は更に勢いを増し始める。

「く………ッ!!」

もうクレスの炎はリンカの目の前まで迫って来ていた。

リンカが更に力を込めても、炎は尚リンカの方へ傾く。

「もう……ダメか…ッ」

リンカの腕から力が抜けかけたその瞬間だった。

ガッシリと。

リンカの腕が掴まれる。

温かな感触。

そして枯渇しつつあった魔力が再び供給される。

だがこれは自分の魔力ではない。

「しっかりしろよッッ!!!」

「英輔……!」

英輔は背後からリンカの腕を一層強く握る。

「行くぞリンカ……ッ!!アイツに…アイツに災厄をもたらせてやろうぜッ!!」

英輔の言葉が、リンカを力強く押した。

「「おおおおおおおおッッッ!!!!」」

2人の声と魔力が重なり、リンカの炎が勢いを増す。

「何……ッ!」

クレスの表情が焦りで歪む。

何だこの膨大な量の魔力は……

2人分だなんてものではない。

単純な魔力の量で言えばあの少年は……

英輔はリンカの数倍の力を持っている可能性がある。

負けるのか…?

この僕が……ッ!

「このクソガキどもがァァァァァァッッ!!!」

ゴォッ!!

クレスの炎の勢いが増す……が、今のリンカの炎には到底及ばなかった。

「ふざけるなァァァッ!!!」

ゴォォォォォォッッッ!!!!!

膨大な量の炎が、リンカと英輔の炎が……

クレスの身体を包み始める。

「冗談じゃない……ッ!!この僕がァァァ−−−−ッ!!!!」

燃える。

燃える燃える燃える。

クレスの身体に2人の炎が灯り、焼き尽くさんと燃え上がる。

クレスはその場に倒れ、身悶える。

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!」

「ふざけるな……ふざけるなァァァッッ!!」

クレスは身を焼かれながらも醜く叫び続けた。

「僕が……僕が負ける訳がないんだァァ!!アイツが、アイツが僕の中にいる限りィィィッッッッッ!!!」

「アイツ…?」

クレスの言葉を聞いてリンカは訝しげな顔をした。

「アイツを封じるために……そのために僕はァァァッッ!!」

「ッ!?」

クレスの周囲をどす黒い光が包む。

禍々しい魔力が辺りに充満し始める。

「来るな……ッ!!来るなァァァ!!」

「リンカッ!アイツ何言ってんだ…!?」

「わからない。だが、何かある……!!」

「オオオオオオオオオオオオッ!!!」

その叫びを最後に、暴れていたクレスの身体がピタリと止まる。

「ッ!?」

最初は死んだのかと思ったが、どうやら違う。

クレスの身を包んでいた炎は一瞬にして消えた。

そして、クレスが何事もなかったかのように立ち上がる。

「な……ッ!!」

あまりの出来事に、英輔達は後ずさる。

何だこれは…

これはクレスではない。

英輔もリンカも本能的に理解する。

この男は既にクレスではない。

「貴様ごときが……我を封じるなどとは笑止千万ッッ!!」

クレス?はニヤリと笑う。

「フハハハハハハハハハハッ!!礼を言うぞ小娘共ッ!!よくぞクレスを倒してくれたッ!!」

これまでのクレスからは想像も出来ないような声質である。

「何なんだコイツは……ッ」

「兄上じゃ……ない」

リンカさえも状況を把握しきれず、動揺している。

「さあ、礼をするぞ小娘共…。我の永久奴隷か?それとも我の手によって滅せられるか?好きな方を選ぶが良いッ!!」

その男は傲慢に笑った。



To Be Continued

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ