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落ちていた魔導書。  作者: シクル


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48/53

48ページ目「意外な助っ人。」

ヒュンッ!

少女の刀が風を切る音がする。

いや、この空間に風など吹いてはいないのだが…

ガッ!

英輔は剣でそれを受けると剣を振り、弾いた。

「っと」

多少よろけた少女に向かって英輔は思い切り斬りかかる。

だが少女はすれすれで剣を刀で受けた。

ギギギギギギギギ……!

英輔は何とか押し切ろうと剣に力を込める。

しかし少女も負けじと刀に力を込め、押し返そうとする。

ガキンッ!

互いに後ろに少しよろめく。

「やるじゃないか」

少女は態勢を整えると英輔に向かって斬りかかる。

すかさず英輔は受ける。

しばらくそんなやりとりの繰り返しだった。

斬りかかっては受け、斬りかかっては受けの繰り返し。

刀と剣の触れあう音がこの白い空間に鳴り響いた。



「リンカ、お前は知っているハズだ。お前の未熟な魔術じゃ僕の足元にも及ばないと」

クレスの言うことは本当だ。

確かに英輔や雅に比べればリンカの魔術の熟練度は上だが、相手がクレスとなると話は別である。

彼の魔術の才はリンカを上回る程であり、過去に何度か比べ合ったが勝てたためしがない。

「そうかもしれません……。ですが、どうにもならない実力差をむりやり埋める奴を…私は知っています」

リンカは横たわる英輔をチラリと見た。

「良いだろうリンカ。君が偉大な兄上様には敵わないということを身を持って知らせてあげよう」

ボォッ!

クレスの手にも炎が灯る。

だが、その炎はリンカとは違う物だった。

青い炎。

リンカとは対照的な色であった。

「さて、始めようか」

そうクレスが呟いた時だった。

「待ちなさい」

ガチャリと扉が開く。

「お前……」

振り返ったリンカが見たのは死霊使いだった。

「やっぱり、思った通りだったわ」

「お前、何故ココに……。まさかヴァームは……!」

「いいえ、彼は無事よ。それに今の私は敵じゃないわ」

そう言うと死霊使いは横たわる英輔に歩み寄る。

「何をする気だ?」

死霊使いはポケットから小瓶を取り出した。

「ヴァームの…兄さんの白衣に入っていた小瓶よ。昔私が怪我をした時に飲ませてくれた薬と同じものよ」

「それを…英輔に?」

「ええ。貴方達への罪滅ぼしもかねて…ね。でも、こんなことだけじゃ足りないかもしれないけど」

死霊使いは英輔の身体を抱き起こすと、小瓶のふたを開け、中の液体を英輔の喉に流し込んだ。

「これで傷の方は幾分かマシになったハズよ。後は……彼の気力次第ね」



「おおおおおおッ!!」

ガキィンッ!

英輔の剣と少女の刀が力強くぶつかり合う。

もう何十分もそうやって戦っていた。

何十分…とは言ってもこの世界には時間の概念などなさそうだが……

「ハァハァ……」

長時間にわたる戦いのせいで、お互いに呼吸を乱している。

「アンタがアイツを送り込んだとは思えないんだが……」

肩で息をしながら英輔が言うと、少女はニヤリと笑った。

「ああ、嘘だからな」

「な………!?」

「でもまあ……」

少女につられて英輔もニヤリと笑った。

「「もうそんなことはどうでも良いッッッ!!」」

ダッ!!

お互いに思い切り駆け出し、そして斬りかかる。

ガキィンッ!

刀と剣が激しくぶつかり合い、互いの武器が弾かれ、手から離れた。

「引き分け……か」

少女はその場に座り込む。

「だな……」

少女につられて英輔もその場に座り込んだ。

「なあ、アンタ結局何者なんだ?」

「さあな……。俺にもよくわからねえ」

「わからねえって……。名前とかもか?」

「名前……ねえ」

少女は感慨深そうに呟いた。

「あるにはあるが俺の名前じゃないしな。それに、俺がこの世界にいるのも奇跡みたいなもんだ。たまたま俺の記憶メモリーの残骸が残ってて、たまたまこの世界で具現化された……ってとこかな」

「……よくわからない…」

「だろうな。俺も訳わかんねーもん」

少女は屈託なく笑った

「っつかそろそろ行けよ」

不意に少女の表情が一変する。

「お前のことを待ってる娘がいるんだろ?」

「……」

「大丈夫だ。今のお前ならきっと守れるさ。さっきは悪かったな、倒せないだなんて言って」

少女は立ち上がると、英輔の肩をポンと叩いた。

「お前の信念も大切な人も、全部全部守り切れ。お前にはそれが出来る」

そして少女はまた笑った。

「さ、行ってこい」

不意に、何もなかったハズの空間に扉が出現する。

英輔はその扉をまじまじと眺めた。

「色々ありがとな」

英輔は立ち上がると、扉を開いた。

「じゃあな」

「おう」

英輔はゆっくりと扉の向こうへと進んで行った。

「ふぅ…」

少女は英輔が去って行ったことを確認すると安堵の溜息をついた。

「しっかりやれよ。英輔」

そう言って少女はもう一度その場に座り込んだ。

「流石にそろそろ俺も終わりかな……」

少女はボソリと呟いた。



To Be Continued

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