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33ページ目「現われた西瓜。」

リンカ達が目を覚ます前に、自動人形の少女はアジトの中へと去って行った。

主様とやらの所へ帰るらしい。

それから数分後、リンカ達は目を覚ました。

「……これは…?」

目を覚ましたリンカ達はまだ多少混乱しているらしく、不思議そうに辺りを見回していた。

「どうやら我々は幻術にかかっていたようだな」

起き上ったヴァームが眼鏡の位置を直しながら言う。

英輔はリンカ達にこれまでのことを説明した。

「ほう、貴様にしては上出来だ」

「うっせえ、素直に褒めろアホ雅」

「しかし私としたことが幻術に気づけないとは…」

リンカは悔しそうに歯ぎしりをする。

「まあ何にせよ、全員無事で何よりです」

そう言ってアルビーは胸を撫で下ろした。

「今度こそ中に入るぞ…」

そう言ってリンカは扉に手をかける。

「ああ」

キィィィィィ

薄気味悪い音と共に、扉は開いた。

「……なんだこりゃ…」

中は英輔達の想像を絶するものだった。

背の高い木が幾つも並び、地面には草が生い茂っている。

湖等もあり、昆虫が飛び交うこの部屋はまるで縮小されたジャングルであった。

「このアジトは野生動物でも飼っていますの…?」

アクネスが辺りを見回しながら言う。

「飼っているのは野生動物ではなく、植物よ」

不意にどこからか声が聞こえる。

「この声……」

聞き覚えのある声だった。

リンカと英輔が出会って、初めて戦った人外。(4ページ目参照)

あの女、西瓜は部屋の真ん中辺りから真っ直ぐとこちらを見据えていた。

「あら、鼻血に貧乳じゃない」

西瓜は英輔とリンカの姿を見つけると、まるで友人に会ったかのような様子でそう言った。

「だ、誰が貧乳だッ!」

「相変わらず成長しないのね。ぺったんこじゃない、さらしでも巻いてるのかしら?」

「な、な……ッ!」

あのリンカが完全におちょくられている。

普段冷静な分、顔を真っ赤にして怒っているリンカが英輔にとっては新鮮でもあった。

「私の爪の垢でも煎じて飲んでみる?」

そう言って西瓜はわざと胸をゆすった。

ふくよかな脂肪の塊が、胸の上で跳ねる。

「ぶっ!」

耐えてはいたのだろう。

英輔は勢いよく鼻血を吹き出し、その場に倒れた。

「阿呆が…」

雅は呆れて倒れた英輔を見下ろした。

「なに、人間の雄として非常に正常な反応だ。どれ、私もデータをだな…」

「録画中だろうがその携帯をしまえヴァーム。怒るぞ?」

リンカは西瓜に携帯を向けるヴァームにゆっくりと近づくと、その携帯をしっかりと握りしめた。

「これは研究用だ。邪魔しないでくれたまえ」

「鼻の下が伸びてるぞムッツリ博士」

グシャッ!

リンカは携帯を握り潰した。

「……。非常に残念だ」

ヴァームは携帯の破片を地面に捨てると、眼鏡の位置を直した。

「で、アンタ達は何しに来たの?」

西瓜はわざとらしく胸をゆすりながらリンカ達に問う。

「言わずともわかるだろう?さっさとそこをどけ脂肪女」

「脂肪女ですって…?小娘が」

牛乳うしぢち女が。今年の干支かお前は」

「ねえ、そろそろ胸に巻いてるさらし外したら?苦しいでしょう?それとも何もしないでその胸かしら?」

「お前体重何キロだ?どうせ胸にのっかった無駄な脂肪の塊のせいで重いんだろう?」

「つま先から胸までガリガリの未発達小娘には言われたくないわね…。ちゃんとご飯食べてる?」

「うるさいな乳女が。どうせお前の取り柄は胸だけだろう?」

「あの、リンカさん。ホントに何しに来たのかわからなるのでその辺にした方が良いかと…」

仲裁に入った雅をリンカは軽く睨みつけた。

「ま、まあそうだな…」

「まあ何にしても、この先には行かせられないわね」

「仕方ない。この腹立たしい牛女を焼き殺して…」

「待ちなさい」

リンカが言い終わらない内にアクネスが割って入る。

「この女は私とアルビーにお任せ下さいませ」

「アクネス…」

「リンカ…。貴女はこんな所で止まっている場合ではないのでしょう?この糞女は私が片付けますわ。先に行ってなさい」

リンカはアクネスの言葉に心底驚いた…といった様子だった。

「確かに得策だな」

ヴァームはしきりに頷いている。

「英輔様!そろそろ起きて下さいませ!」

パンパンパン!

アクネスは英輔にまたがると、英輔の頬に往復ビンタを喰らわせた。

「痛たたたッ!」

激痛で英輔は跳ね起きた。

「さあ、英輔様も起きたことですし、早く行きなさい!!」

「すまん。先に行くぞ!」

その場にアクネスとアルビーを残し、リンカ達は走り出した。

気絶していたため、あまり状況を把握出来ていない英輔も少し遅れて走り出す。

「ちょ、待ちなさいッ!」

ボゴォッ!

慌てて追いかけようとする西瓜の前に土の壁が出現する。

「土…?」

「追いかけさせる訳には行きません…」

アルビーである。

「……仕方ないわね…」



一方英輔達は部屋の奥で、魔方陣のような物を発見していた。

「これは…」

青白く光る魔方陣を、英輔はまじまじと見つめる。

「恐らく転送用だろう。入るぞ」

「ああ」

リンカを先頭に、英輔達は魔方陣の中へと消えていった。



To Be Continued

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