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27ページ目「現われた複写物。」

アクネス達との戦いから数週間。

英輔の傷も完治し、無事学校へ復帰出来ていた。



「すまん英輔、先に帰っててくれ」

放課後の教室、HRの直後のことだった。

「何でだよ?」

英輔が問うと、リンカは気まずそうな顔をした。

「いや、その…こいつらがな…」

「こいつら?」

リンカの指差す方向を見ると、クラスの女子グループの1つがリンカを見ていた。

「女テニの奴らか…。そういやあいつら…最近リンカと仲良いよな?」

「ああ、何でも他校から練習試合を申し込まれているらしいんだが、メンバーが1人足りないらしいんだ」

そう言えば1人足りないような…。

「で、お前が代理を頼まれたワケか…」

「そういうことだ。すまんな」

最近のリンカはクラスにかなり馴染み始めていた。

今まで会話をするのは英輔くらいだったのだが、いつの間にやら女子グループと打ち解け、昼休憩も彼女達と喋りながら楽しんでいる。

それが英輔には嬉しいようで寂しいのだが…

リンカのクラスでの評価は非常に高く、勉強も運動も出来るため馴染みさえすれば人気者だった。

そんな彼女の運動能力を高く評価した彼女達がリンカに代理を頼んだようだ。

「わかった。先に帰ってるよ」

そう言うと英輔は1人で教室を出て行った。

リンカは英輔が教室を出たのを確認すると、女子達の元へ歩いて行った。

「ねえ、磯野さんと桧山って付き合ってんの?」

女子達の内1人が冗談半分にリンカに問う。

「な、何を言っている!?別に私は英輔と付き合ってなど…」

と、真っ赤になって答えるリンカを女子達が笑いながらからかっていた。



「代理…ねえ」

英輔は1人帰りながら考えていた。

リンカは元々そんなキャラではなかった。

基本的に不機嫌そうで、話しかけづらい印象だったのだが…

何があったのか今はクラスに馴染んでいる。

思えばリンカも丸くなったと思う。

初めて会った時とはまるで印象が違う。

「……」

懐かしい。

あの時から随分と経った気がする。

まだそんなに経っている訳ではないのだが…

あまりにも色々あり過ぎた。

西瓜。

死霊使い。

ヴァーム。

雅。

白。

アクネス。

アルビー。

本来なら出会うハズのなかった様々な人物と出会った。

「ココは…」

あの場所だ。

いつもの帰り道の途中。

1つだけいつもと違った場所。

全ての始り。

「魔導書が落ちていた場所…」

ココであの魔導書を拾わなければ英輔は平凡な毎日を送っていただろう。

この偶然に感謝すべきなのかそうでないのか…。

英輔は思う。

少なくともリンカと出会えたことに関しては感謝するべきなのだろう、と。

ピチョン

「…?」

首筋に冷たい感触。

水滴でも落ちたのだろうか…

しかし英輔が上を見上げても、水滴が落ちてくるようなものなどなく、ただ青い空が広がっていた。

「エイスケ」

不意に背後から声がする。

英輔が振り向くとそこにはリンカが立っていた。

「おい、お前試合はどうしたんだよ?」

「……」

リンカは何も答えない。

ただ黙ってこちらを見ていた。

「おい…」

不審に思った英輔がもう一度呼びかけた時だった。

ダッ!

「ッ!?」

リンカは英輔に向かって突然走り出した。

「おい!?」

ガッ!

リンカは軽く跳び、英輔の頭部に回し蹴りを喰らわせる。

リンカとの鍛練のせいかもあってか、咄嗟に右腕でガードすることが出来た。

「何すんだよ……ッッ!?」

英輔の声は戸惑いと怒りに満ちていた。

リンカは着地し、こちらを見ている。

「エイスケ」

違う……?

最初から違和感があったのだが姿があまりにそっくりなので気づけなかった。

「リンカじゃない……ッ!?」

「エイスケ」

リンカ…ではなくリンカの姿をした何かはゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。

「エイスケ」

ただその一言だけを繰り返し、こちらへ歩み寄って来る。

「気味悪いな…」

ボォッ!

リンカもどきの右腕に炎が灯る。

「魔術も使えるのかよ……ッ!?」

ダッ!

リンカもどきは再び英輔に向かって走り出した。

「マジかよッ!?」

炎の灯った右拳が英輔に向かって突き出される。

英輔はスレスレで避けると右手に魔力を集中させ、リンカもどきに向かって手刀を喰らわせる。

ゴッ!

見事に右肩に直撃した。

バチバチバチッ!

リンカもどきの身体に電流が走る。

リンカはそのままドサリとその場に倒れた。

「やっぱ偽物だな。リンカはこんな攻撃じゃやられねえしまず喰らわねえ」

英輔がニヤリと笑ったのも束の間だった。

リンカもどきはドロリとその場で溶ける。

「ッ!?」

そして粘土のように形を変える。

その光景はアルビーがゴーレムを造り出す行程と少し似ていた。

「こりゃまたたちの悪い変形だな…」

霧島雅。

今英輔の前に立っている男はまさに霧島雅だった。

「エイスケ」

「ご丁寧に声まで変えやがって…!」

英輔は目の前で立っている雅もどきを睨みつけた。



To Be Continued

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