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23ページ目「訪れた宿敵。」

「アルビー、ココで本当にあってますの?」

「はい、姫様。確かにこの町でございます」

真夜中の商店街を歩く奇妙な2つの人影。

1人は非常に小さく、小学生くらいだろうか・・・?

もう1人は対照的に背が高く、170は優に越えているだろう長身のスリムな男のようだ。

「ふふふ・・・。我が永遠の宿敵ライバルリンカ・・・!今度こそ決着を着けますわよ・・・・ッ!おーっほっほっほっほ!」

「姫様、お言葉ですが今は真夜中。大きな声は近隣の住民の迷惑になるため避けた方がよろしいかと」

「お黙りなさいアルビー。正論だけどお黙りなさい」

なんと理不尽な言い草だろう。

「申し訳ございません姫様」

「まあいいわ。リンカ・・・・!首を洗って待っていなさいッ!!」

真夜中の商店街に、少女の甲高い声が響いた。



「・・・・ッ!?」

「どうしたリンカ?」

登校中、リンカは急に悪寒を感じた。

「いや、なんでもない」

白の事件から一週間、とりあえず英輔達は平穏に過ごしていた。

が、昨日の夜からリンカは嫌な予感がしてならなかった。

過去に何度も感じたことのある感覚。

あっちらの世界にいた頃の感覚・・・。

「なんでもないんなら良いんだけど・・・」



「アルビー、これがリンカの通っているがっこうというところですのね?」

「はい、確かにこの場所でございます」

リンカの通う高校の校門前に、少女と男は立っていた。

少女は仁王立ちのまま辺りを見回すとニヤリと笑った。

「ふふふふ・・・。まずはこのがっこうという建築物を破壊して、リンカに不意打ちを・・・・」

「姫様、学校には彼女以外の人間もいます故、生徒や教員、更には町にも多大な迷惑をかけることになるため、やめた方がよろしいかと」

「お黙りなさいアルビー。正論だけどお黙りなさい」

やはり理不尽である。

「申し訳ございません」

「まあ貴方がそう言うのならやめますわ・・・。しばらくは様子を見ることにします」

「それがよろしいかと」



「・・・・」

リンカは自分の机の中をみて心底驚愕した。

昼休憩、食堂へ行っている間に誰かが入れたのだろう。

リンカの机の中には見覚えのない紙が1枚入っていた。

「どうしたリンカ?」

横から英輔がリンカの持っている紙を覗きこむ。

「・・・。なんだこれ」

「まさかここまで来るとはな・・・・」

紙には縦書きで「今夜二十二時、学校の校庭に来られたし」と筆で書いてある。

そして左下には小さく「アクネス」と書いてある。

「知り合いか・・・・?」

「ああ。知りあいと言うよりは・・・・宿敵ライバルだな」

「ライバルって・・・・リンカの?」

「・・・・ああ」

そう言ったリンカの顔はとても懐かしそうだった。



「ふふふふ・・・。ついにこの日が来ましたわね・・・アルビー」

21時50分頃、校庭で仁王立ちで腕を組んでいる少女と横に立っている細身の男。

「今宵こそ決着を着けますわよ・・・リンカ・・・!」

アルビーと呼ばれた細身の男は少女を見ながら困ったものだ、と心底思っていた。

彼女と出会ったその日から、アルビーは彼女の様々なわがままで振り回されていた。

ある時はワニの肉が食べたいとジャングルへ連れて行かれ。

ある時はピラミッドが見たいとエジプトまで行かされ。

またある時は北極熊が見たいと北極まで連れて行かされ。

そして今度は昔の宿敵ライバルに逢いたいと遥か遠くの日本まで行くはめになった。

わがままな姫君だ。

そう思いながらもアルビーは彼女と行動を共にしている。

どんなにわがままでも。

どんなに理不尽でも。

抜け殻のようだったあの時の自分に生き甲斐をくれたのは彼女だった。

アルビーは彼女と初めて出逢った頃のことを思い出す。

彼女は今と変わらずわがままで、自己中心的で、理不尽な理由でアルビーを従わせた。

「アルビー」

「何でしょう?」

「今日までよく付き合ってくれましたわ」

「ありがとうございます」

「相変わらずかたいのね」

「申し訳ございません」

「アルビー、私がこちらに来た本来の目的はリンカでしたのよ。途中色々と寄り道をしてしまいましたが・・・・」

本当に寄り道し過ぎである。

そう思ったが口にはしない。

彼女の機嫌を損ねるような発現をアルビーはなるべく避けている。

「21時59分・・・・」

「もう少しですわね」



「リンカ、本当に行くのか?」

「ああ。行かなければアイツは何をし出すかわからないからな」

21時55分。

リンカは制服に着替え始めた。

「何で制服なんだよ」

「動きやすいし、着心地が良いからな」

「そんなもんかね・・・」

「行くぞ」

英輔は私服に着替えると、先に行くリンカの後を追った。

宿敵ライバル・・・ね」

英輔は歩きながらどんな奴なんだろと想像を巡らせていた。



To Be Continued

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