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20ページ目「現われた女。」

「何もあそこまで言うことないだろ・・・」

英輔はイライラしながらボソリと呟いた。

ロリコンと言われたことは問題じゃない・・・・訳でもないがそれよりも腹が立つのは白を昨日の襲撃者扱いしたことだ。

あの白がそんなことをするハズがないし、昨日白はリンカと一緒に寝ていたというアリバイもある。

白が犯人な訳がない。

断言出来る。

そのハズなのだが、心のどこかで彼女を疑っている自分がいた。

そんな自分が許せない。

「・・・・・」

考えているうちに落ち着いてきた。

リンカはああは言っているが悪魔で英輔のためを思っているのだ。

そう考えればさっきは少し怒り過ぎたかも知れない・・・。

今はまだ行く気にはなれないが、折を見て謝った方が良いかも知れない。

そんな事を考えていた矢先だった。

ガチャリとドアの開く音がする。

「リンカか・・・?」

立っていたのは白だった。

白は申し訳なさそうな顔で英輔の方を見ていた。

「・・・・どうした?」

なるべく優しい口調で話しかける。

「・・・ごめんなさい」

「何で謝るんだよ?」

「だって、白が悪いんだよね?お兄ちゃんとお姉ちゃんがケンカしたの・・・」

あながち間違ってはいない。

が、英輔はそうは考えない。

というか白はほとんど悪くない。

今回のは英輔とリンカの相互理解が不足していたせいだ。

白のせいではない。

英輔は白の方へ歩み寄るとしゃがんで目線を白と合わせた。

「そんなわけないだろ」

そう言って英輔はニコリと笑うと、白の頭に手を乗せた。

「お兄ちゃん?」

英輔はそのまま白の頭を撫でた。

「ちょっと俺が勘違いしてただけだから。大丈夫、今からちゃんと謝りに行く。だから心配すんな、な?」

「・・・うん」

暗い表情だった白が、そこでやっと笑顔を見せた。



「はぁ・・・・」

リンカはリビングで独り溜息をついた。

自分でも酷い言い方をしたと思っている。

自分の考えを伝えるにしても他に言い方があったことは自覚している。

ただ何かイライラしている。

昨日見た夢が原因だろうか?

いや、夢のせいにするのはよそう。

悪いのは自分だ。

どうもこの間から・・・白が現れてから英輔に辛く当っている。

嫉妬しているのだろうか?

あの小娘に・・・。

「・・・!」

そこまで考えてリンカは顔を真っ赤にした。

それはない。

絶対にない。

私がたかが小娘と英輔が仲良くしているくらいで嫉妬するハズがない。

リンカは頭を左右にブンブン振った。

無論、1人で。

まあどちらにせよ、自分にも非があるのは確かだ。

英輔が降りてきたら謝ろう。

そう思った時だった。

「ッ!?」

不意に、異変を感じた。

魔術師的な直観と経験によるものだ。

リンカ、英輔以外の強大な魔力を持つ何かが近くにいる。

近くといってもリンカのすぐ傍ではなく、悪魔で近く。

正確な位置は断定出来ない。

だがそれは集中していない場合だ。

リンカは集中した。

この強大な魔力の出所を確認するために・・・。

「2階・・・。英輔・・・!!」



「・・・・ッ!」

「どうした!?」

白が突然英輔の目の前で苦しみ始める。

明らかに異常な状態だ。

「おい、しっかりしろ!」

「あ・・・ああ・・・・・ッ!」

この苦しみ方は尋常じゃない。

「あら、お久しぶりね」

「ッ!?」

不意に窓側から聞き覚えのある声が聞こえる。

いつの間にやらドアは開け放たれており、冷たい風が部屋の中に吹き込んでいた。

「お前は・・・・・!」

ゴスロリ・・・と言うのだろうか。

黒を基調としたワンピースの所々に白いフリルがついている。

後ろで1つに縛られた長い髪。

豊満な胸。

妖艶な容姿をしたその女を英輔は見たことがあった。

「あの時の・・・・ッ!」

「覚えててくれて光栄だわ」

死霊使い。

女はあの時確かにそう言った。(7ページ目参照)

あの時のことを英輔は忘れない。

「ふふふ」

死霊使いは壺のようなものに乗って宙に浮いた状態で窓の外からこちらを見ていた。

「あの、元気?」

そう言って死霊使いはニヤリと笑った。

バタンッ!

勢いよくドアが開く。

「英輔ッ!」

「リンカ!」

「あら、元気そうじゃない」

リンカは傍で苦しんでいる白をチラリと見た後、窓の外で浮いている死霊使いを睨んだ。

「やはり貴様か・・・・・!」

「ふふふ、どうだった?私のプレゼントは」

「ああ、素敵なプレゼントだったぞ。すぐにでもお返しがしたいくらいだ」

そう言ったリンカの拳は強く握りしめられていた。

「その気持ちは嬉しいのだけれど・・・・・パスさせていただくわ。そんなことより・・・」

死霊使いは英輔の後で苦しんでいる白を指差した。

「その子、私の死霊だから」

「な・・・・ッ!?」

死霊使いは「はぁ」と溜息をついた。

「その子ね、未練がましく現世に残った無様な下級霊の癖にやたらと自我だけは強かったのよ・・・。それであんまり言うこと聞かなくてちょっと目を離した隙にここから逃げちゃったのよねー」

死霊使いはそう言うと自分の乗っている壺をポンポンと叩いた。

「で、気配を追ってみたらなんと貴方達と一緒にいるじゃない?折角だからその子一時的に洗脳して暗殺しちゃおうかと思ったのよー。そしたらこの子失敗しちゃうしー。そろそろ飽きたから回収するか滅しちゃうかしようと思って来た次第なのよ」

まるで世間話でもするかのように軽いノリで死霊使いは話す。

「まあ折角だから、滅しちゃうのもつまんないし、今ここでそこの白ちゃんには2人を殺してもらうことにしちゃいましたー♪」

パチン!

死霊使いが指を鳴らした。

「ああ・・・・ッ!」

白は更に苦しみ始める。

「洗脳率向上・・・。飽きるまでは見ててあげるから、早く殺し合いなさいな」

「テメエ・・・・・!」

英輔は死霊使いを睨みつける。

「私を睨むより、背後の敵に気をつけたらどう?」

「ッ!?」

不意に白は苦しむのをやめた。

と同時に、英輔は背後から明確な殺意を感じた。



To Be Continued

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