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2ページ目「燃え盛る不良。」

「私はリンカ!お前に災厄をもたらしに来たっ!」

「な、何なんだお前は・・・」

「どうした?下等な人間であるお前が私を召喚出来たんだぞ?もっと喜ぶが良い!」

英輔は戸惑っていた。

意味がわからない。

偶然拾った本をめくっていただけで、目の前に光とともに美少女が現れたのである。

戸惑うのが当たり前だ。

「お、お前は一体何なんだ・・・!?」

「さっき名乗っただろ?私はリンカ!悪魔だ。それに、同じ質問をするな、つくづく下等だな人間は」

「あ、悪魔!?」

そんな非科学的な存在がこの世にあるハズがない・・・・。

しかしこの本といい、さっきの光といい、もしかしたら・・・。

「お前・・・ホントに悪魔なのか・・・?」

「何故私が嘘をつかねばならない?」

リンカと名乗った少女の眼は真剣そのものだった。

「その魔導書は私が『あちら側の世界』からこの世界に転送したものだ」

「『あちら側の世界』?」

「そうだ。最近『あちら側の世界』からこの世界へ入り込み、悪事を働く輩が増えたからな。そいつらを『あちら側の世界』へ強制送還するのが私の役目だ」

「なるほどなるほど・・・」

一応は納得した英輔だが、わからないことはまだまだ大量にある。

「でも何でその本から?」

「それが正しいこの世界への転送方法だからだ。奴らは不正な方法でこの世界に来ている」

つまり彼女が言うにはこの世界の他に『あちら側の世界』というのがあってそこからこの世界に不正な方法で来てる奴らが悪事を働いたりしていて、そいつらを『あちら側の世界』へ強制送還するのがこのリンカという自称悪魔の役目だと言う。

「何で俺の家に・・・?」

「決まっている。お前が私を召喚したからだろう?」

確かにそうだ。

「それに、あの魔導書は多少なりと魔力がなければ使えん。お前、魔術師か何かか?」

「んなワケねーだろ!俺は一般男子高校生だ!」

それを聞いた途端、リンカの顔付きが変わった。

「じゃあ何か?お前はちょっぴり魔力があるだけの一般人で魔術師でも何でもないということか!?」

「当たり前だ!つーか、魔術師ってなんだよ!?そんなのいるワケねーだろ!?」

「ハァ・・・」

そんな英輔の様子を見て、リンカは深く溜息をついた。

「なんということだ・・・。私は一般人に召喚されてしまったのか・・・。これではまともに戦うことも出来ないではないか・・・」

「何でだよ?」

「召喚されたものは召喚したものの魔力の分だけ戦うことが出来る。でもお前ごときに召喚されたんじゃまともに戦えるわけないじゃないか・・・」

リンカは使えない家畜動物でも見るかのような眼で英輔を見る。

「文句あるんなら『あちら側の世界』とかに帰れよな、俺だって好きで召喚したんじゃない」

「・・・・」

さっきまでの強気な態度とは裏腹に、うつむくリンカ。

「俺は魔術師何かじゃない、ただの高校生だ。わかったら帰ってくれ」

「・・・・・」

ダッ!

リンカは家を飛び出して行った。

「まったく、何なんだよ・・・」

英輔は「ふぅ」と溜息をつくと宿題をやり始めた。



「何なのだアイツは・・・!」

その頃リンカは英輔の家の周りを歩いていた。

飛び出してはしまったものの、やはりまだ気になるのである。

「何故あんな奴が魔導書を・・・」

ドン!

不意に何かにぶつかる。

「前を見て歩け愚か者ッ!」

「前を見て歩くのはてめえの方だろ・・・!」

目の前にいたのはいかにも不良といった風貌の三人の男だった。

英輔と同じ制服だった。

「な、何をするのだ!?」

リンカの腕をつかむ二人の不良。

「お、中々かわいいじゃねえか」

「触るな愚民共ッ!殺すぞッ!」

「言葉は選んで使えよお嬢ちゃん」

「ふざけるなよお前ら・・・!」

あれ・・・・?

魔術が使えない。

そうか、私はアイツに召喚されて・・・。

そう、英輔が魔力を使う気がなければリンカも魔力を使うことができない。

つまり、今のリンカは悪魔ではなくただの少女だった。

「何だこの女、胸がないぞ」

「男なんじゃね?」

「んだよ女装かよ・・・」

「なッ!?無礼者!私は女だ!胸がないのは・・・その・・・成長途中だからだッ!」

リンカの必死の抗議も彼らは聞いていなかった。

「まあいい、女にしてもこんな糞餓鬼はおしおきしてやんなきゃな・・・」

不良の1人が拳を振り上げた時だった。

「ま、待てお前ら!」

「あぁ?」

英輔だった。

リンカのことが気になったのもあるが、自分の家のまわりで騒ぎがあって気がつかないハズがない。

もしやと思って来てみたのだった。

「お前、何でココに!?」

「そのを離せ!さもないと・・・」

「さもないと何だよ?」

「死ぬぞ・・・多分」

拳を振り上げていた不良が英輔を睨みつける。

少しビビった英輔は後に一歩下がる。

「そうかよ、じゃあお前から死ねよ・・・・!」

不良が英輔に襲いかかる。

「り、リンカァーッ!」

リンカは自分の中に魔力を感じた。

英輔が使う気になったということだ。

「おい、お前ら。感謝しろよ?私が・・・お前らに災厄をもたらしてやるッ!」

ボォッ!

「うおッ!?」

英輔に襲いかかった不良の制服に火が付く。

「何で火が・・・!?」

「黒田さん!」

ボォッ!

「う、うわぁ!?」

残りの2人の制服にも火が付き、燃え盛る。

2人は焦ってリンカを離した。

「リンカ!これは!?」

「魔術だ。かなり軽めのな」

「や、焼け死ぬ・・・・!」

3人は混乱して暴れている。

「はははははははッ!燃えろ、燃え盛れ!」

「あ、あの!向こうに池、ありますよ!」

それを聞いた不良達は英輔の指差した方向に全力疾走していった。

「何で助けるんだ?」

「何も殺すことはないだろ?」

「フン、まあいい」

リンカは不満気に鼻を鳴らした。

「さっきはごめん、悪かったよ。何だかよくわかんないけど、俺で良ければ手伝うよ」

英輔がそう言うとリンカは急に頬を赤らめた。

「ま、まあお前がそこまで言うなら仕方ない。別にお前じゃなくても良かったんだがな。しょうがないから手伝わせてやるよ」

「ああ、よろしく」

「お前、名は?」

「英輔、桧山英輔」

こうして英輔は、化け物同士の妙な戦いに巻き込まれることになった。

後に彼は、軽い気持ちで「よろしく」と言ったことを後悔することになる。


To Be Continued

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