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18ページ目「襲われた英輔。」

「・・・・・・」

リンカは英輔の予想通り非常に険悪な顔で白を見ている。

「その、そういうことだから・・・な?しばらく家で・・・・」

苦笑いしながら説明する英輔を一層険悪な顔で睨みつけるリンカ。

「英輔」

「は、はいッ!?」

恐怖で声が上ずっている。

「何だソレは」

「ソレって・・・・」

リンカの指は確実に白を指している。

状況を理解していない白は英輔とリンカの顔を交互に眺めて不思議そうな顔をしている。

「何って、女の子だよ」

「そういうことじゃない」

「じゃどういうことだよ」

「そいつは・・・・」

と、リンカはそこまで言いかけて止めた。

英輔にはリンカが何を言いたいのかよくわからなかった。

彼女を、白を説明するのに「女の子」以外に適切な表現があるだろうか・・・。

白はどこからどう見ても普通の女の子である。

ただ記憶喪失なのは謎だが・・・。

「もういい。後で話す」

そう言うとリンカは不機嫌そうに自分の部屋行ってしまった。

「・・・・」

「お兄ちゃん?」

「ああ、何でもないよ。お風呂、1人で入れる?」

「うん!」

「着替えは・・・ないか。用意するからお風呂入ってて」

「うん」

白は小走りで風呂場へ向かった。

「さて・・・と」

英輔は白が風呂場へ行ったのを確認すると、リンカの部屋へ向かった。

白の着替えを用意するためと、リンカが何を言おうとしていたのか確かめるためだった。

ガチャ

英輔はゆっくりと部屋のドアを開ける。

「リンカ・・・」

「何だお前か」

中ではリンカが不機嫌そうにベッドに転がっていた。

「その、さっき言いかけてたこと・・・」

「ああ。お前はそんな簡単なことにも気づけないのか?」

「え・・・?」

「あの小娘、霊だ」

「な・・・・!?」

なるほど。

霊なら記憶喪失の理由も納得出来る。

「お前、気づかなかったのか・・・?」

リンカは呆れた、といった様子であった。

「恥ずかしながら・・・・」

「まあいい。とにかく、あの小娘には注意しろよ。何があるかわからん」

「わ、わかった」

英輔は頷きながらも「注意する必要はない」と考えていた。

あの白という少女が自分を騙すとは思えない。

「成仏させてあげなきゃな・・・」

英輔は白用の着替えを持って階段を下りながら1人呟いた。



その日の夜、英輔は中々寝付けないでいた。

大して理由があるわけでもないが、何故か寝付けない。

そんな日もあるだろうと諦めていたが、徐々に苛々し始めた。

時刻は既に午前2時。

ベッドの上で何度も寝返りをうつが一向に眠れない。

結局英輔は諦めて別のことを考えることにした。

何か適当なことを考えていればいつか寝つけるだろう。

「・・・・・・・」

白のことを思い出す。

1人で寝かせるのはどうかと思うが流石に英輔と同じ部屋では寝かせれないのでとりあえずリンカの部屋で寝かせているのだが、今頃どうしているのだろうか・・・?


 あの小娘、霊だ。


リンカの言葉を思い出す。

白が霊・・・・・。

何かの拍子に突然死に、記憶が欠落したまま霊化したのだろうか・・・?

そしてうろついている内に桧山家の前に辿り着いたのだろうか。

何にしても彼女をしっかり成仏させてあげなければ・・・・。

英輔が妙な責任感を感じている時だった。

「・・・?」

廊下から足音が聞こえる。

ゆっくりと歩く音だ。

「リンカ・・・?」

足音は丁度英輔の部屋の前辺りで止まった。

「・・・・」

リンカじゃ・・・ない?

直感的にそう感じ取る。

ガチャリ

ゆっくりとドアが開いた。

刹那。

ビュッ!

「ッ!?」

暗くてよく見えないが何かが英輔のベッドに向って跳んでくる。

その何かは英輔の顔辺りまで来るとナイフを振り上げた。

「んな・・・・ッ!?」

ザクッ!

英輔は瞬時に顔を背けた。

ナイフが枕に刺さる。

「誰だッ!?」

バッ!

何かはすぐに英輔から離れると、異常なスピードで部屋の外へ逃げて行った。

暗い上に速いため、全く目で捉えることが出来なかった。

犯人もわからない。


 あの小娘には注意しろよ。


リンカの言葉が脳裏を過る。

そんなことはない。

英輔は頭の中でリンカの言葉を全否定すると、部屋の外へ飛び出した。

「リンカッ!」

とりあえず彼女の安全を確認しなければ・・・。

そしてそれと同時に白の無罪を証明する。

バタン!

英輔はリンカの部屋のドアを勢いよく開けた。

「何事だ・・・・?」

眠そうなリンカの声が聞こえる。

良かった。

無事なようだ。

「お兄ちゃん・・・?」

続いて眠そうな白の声も聞こえる。

カチッ!

部屋の電気がリンカによってつけられる。

「どうした英輔・・・?」

「いや、無事ならいいんだ・・・」

「・・・?何を言っている・・・?」

「何でもない。すまないな、起こして」

「全くだ。私の安眠の邪魔をするな」

また機嫌を損ねたらしい。

不機嫌そうにリンカはベッドへ戻る。

「もう朝まで起こすなよ」

カチッ!

そう言ってリンカは部屋の電気を切った。

「何だったんだアレは・・・・・」

英輔はそんな疑念を抱きつつ、部屋に戻って寝た。



To Be Continued

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