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落ちていた魔導書。  作者: シクル


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16/53

16ページ目「電流の虎。」

「で、誰なんだよ?特別ゲストって」

昼食を済ませた英輔達はすぐに訓練を始めるべく外に出ていた。

「もう呼んである。そろそろ来る頃だろう・・・」

リンカがそう言った時だった。

ビュオッ!

「!?」

不意に吹き抜ける風。

これだけで英輔はココに誰が呼ばれたのかを理解した。

「まさか・・・・」

その男は上からゆっくりと英輔達の前に降り立った。

「よく来てくれたな雅」

「正直コイツに会うのは嫌ですが、リンカさんが望むのなら・・・・」

雅は英輔の方を見ると嫌そうな顔した。

「ふぅ・・・。リンカさんに頼まれて来てやったんだ。感謝しろよ」

「じゃあ帰れよ」

「俺としては構わないが、そうはいかない。お前の訓練のために呼ばれたんだ」

「よりにもよってコイツと・・・・!」

英輔は拳を握ってプルプルと震えた。

よりにもよって英輔の嫌いな人間ランキングぶっちぎりで1位独走中の雅が訓練の相手になったのだ。

英輔としては腹が立って仕方がない。

「リンカ・・・何でこんな奴を・・・」

「お前の訓練相手にはコイツが最適だと思ってな」

「リンカがやってくれれば良いんじゃないか?」

「そうはいかない。お前、私が相手だと手加減しかねんからな」

「それは・・・」

「その点、雅なら問題ないだろう?」

「まあ・・・そうだな・・・・」

裏を返せば今ココで霧島雅をぶちのめせるということだ。

「そろそろ始めるぞ・・・。俺も時間に余裕があるわけじゃないからな・・・」

「ああ、コテンパンにしてやるよ・・・」



「でもこんな昼間っから道路の真ん中で戦って大丈夫なのか?」

「心配ない。ここ周辺には私の結界が張ってある。ただの人間には見えないし、被害も及ばない」

「なら問題なく霧島をボコれるな」

「出来るのならやってみろ」

「よし、始めッ!」

ダッ!

リンカの掛け声と同時に英輔は雅に向って走り出した。

「おお・・・ッ!」

バチバチバチバチッ!

英輔の右腕に電流が流れ始める。

「魔力が使えるようになったのか・・・・」

「喰らえッ!」

英輔は右腕を雅に向けて思いきり突き出した。

雅はそれをいとも簡単に避けると、ガラ空きになっている英輔の腹部に膝蹴りを喰らわせた。

ゴッ!

「ぐ・・・ッ!」

「魔術を使うまでもない」

ドサリと音を立てて英輔はその場に倒れこんだ。

「フン・・・・。この程度か」

「痛ぇなこの野郎・・・」

英輔はむくりと立ち上がった。

バチバチバチバチバチッ!

先程は右腕だけだったが、今度は全身に電流が流れている。

「もうコントロール出来なくなったのか?」

「うっせえ」

電流は再度英輔の右腕に集まり始めた。

「馬鹿の一つ覚えだな」

「何だとォ!?」

「右腕に集めることしか出来ないのか?」

バッ!

そう言いつつ雅は英輔か距離を取った。

「斬り裂け・・・・」

ビュッ!

3つの風の刃が雅の前に現れ、英輔に向って飛んだ。

「ッ!?」

バチバチッ!

英輔はそのうち1つを右腕で受けた。

「ぐ・・・・ッ!」

何とか相殺出来たようだ。

「ほう・・・。相殺くらいなら出来るか・・・」

「なめんなよ・・・・!」

「どうでしょうか?リンカさん」

「まだだ。もう少しやってくれ」

やめたそうに問う雅に、リンカは首を横に振った。

「ふぅ・・・。仕方がない。悪いがもう少し痛い目にあってもらう」

ゴォッ!

雅の前に大きめの竜巻が形成される。

「げ・・・!」

英輔はすぐに身の危険を感じた。

先日リンカによって相殺されたあの攻撃だ。(14ページ目参照)

流石にアレを喰らってはまずい・・・。

相殺出来るとも思えない。

「やべえ・・・・」

「英輔」

不意にリンカの声がする。

「イメージだ。魔術の基本はイメージ・・・。少なくとも私の教えた魔術はな・・・」

「イメージ・・・・?」

魔術の基本はイメージ。

恐らく雅のアレも雅のイメージの産物であろう。

ならば・・・。

こちらもイメージで対抗するしかない。

イメージするんだ・・・・・!

霧島雅のアレよりも強い何かを・・・!

「終わりだ・・・・!」

ゴォッ!

竜巻は勢いよく英輔に向かって飛んで来る。

バチバチバチバチバチバチバチッ!!!

感じる。

さっきまでより強大な魔力だ・・・。

来る・・・。

これなら・・・。

「・・・・」

リンカは英輔の周りで形を成していく電流を興味深げに眺めていた。

「ああああああああああああッ!」

電流は徐々に何かの形を成していく・・・。

何か生物のようにも見える。

四つの足。

鋭い牙。

「オオオオオッ!」

英輔の魔力によって形成された何かは雄叫びをあげる。

「虎・・・か」

「らァッ!!」

英輔は虎に指示を出すかのように手を前に突き出した。

ダッ!

魔力によって形成された虎は竜巻に向かって行く。

「ッ!?」

「オオオオオオオオオッ!!」

相殺・・・どころではなかった。

虎は竜巻をかき消し、そのまま雅へと突進して行く。

「馬鹿な・・・・!?」

「そこまでだ」

ザッ!

リンカは雅の前に現れ、虎に向って手をかざす。

「リンカッ!」

「は・・・・ァッ!」

リンカは魔力を放出し、虎との相殺を試みた。

「ふむ・・・。思ったより強大だな・・・・」

「リンカさんッ!」

バシュンッ!

テレビの電源を切ったような音と共に虎は姿を消した。

と、同時に結界が消える。

「リンカッ!」

英輔は急いでリンカに駆け寄った。

「問題ない。少し魔力を消費し過ぎただけだ・・・」

「リンカさん・・・コイツは・・・・」

「ああ。予想外の魔力だ・・・。もしかするとコイツ・・・」

英輔は非常に疲れた、といった様子で肩を回している。

「化けるかもな」

リンカはニヤリと笑った。


To Be Continued

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