表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/53

12ページ目「見慣れないクラスメイト。」

妙に久々に感じた。

ここ数日ドタバタしていたせいか、こうして平和に登校できるのが英輔にとって久々に感じた。

「ここ最近色々あったからなぁ・・・」

リンカの出現。

西瓜すいか

悪霊。

星屑。

ヴァーム。

そして麗華。

たった数日で色々なことがありすぎた。

隣にリンカがいるものの、いつも通りの朝が迎えられたのは英輔にとって非常に喜ばしいことであった。

「平和だなぁ・・・・」

「何を腑抜けたことを言っている。『星屑』はこの町のどこかに潜んでいる。いつ襲われてもおかしくないんだぞ」

「まあまあ。あいつらもこんな朝っぱらから人目のつくとこで襲ってなんか来ないだろ。そんな物騒なことは一旦忘れようぜ」

なんともノンキなものだ。

リンカはそう思った。

英輔はやるときはやるのだがどうも稀にこういった腑抜けた部分を見せることがある。

もう少ししっかりしてほしいのがリンカの本音であった。

「まったく、私の魔導書は何故こんな奴に拾われたのだ・・・」

「仕方ないだろ。拾ったんだから」

「ならそれなりにしっかりしてくれ。仮にもお前は私のパートナーなんだぞ」

「へいへい」

ホントにコイツで大丈夫なのだろうか・・・。

リンカは急に不安になった。


英輔が教室に入ると最初に声をかけてきたのは淳だった。

「おはよう桧山君。身体、もう良いの?」

「ああ。こないだはありがとな」

「気にしないで、僕は高島君について行っただけだから」

そう言って淳は微笑んだ。

ガラガラガラッ!

不意にドアが開く。

英輔が振り向くと見慣れない男が立っていた。

髪を肩まで伸ばした美形の男だった。

この学校の制服を着ているが英輔には見覚えがなかった。

「おい森田。あんな奴クラスにいたか?」

「冗談でしょ桧山君。入学式からずっといるじゃないか」

・・・え?

男は空いていた席に座ると鞄の中を整理し始める。

「そ、そうだっけ・・・?」

いたような気はするが、いなかったような気もする。

いたと言われればいたのだろうし、いなかったと言われればいなかったのだろう。

あれ?

何でこんなに曖昧なんだ・・・?

英輔は妙な違和感を感じた。

「クラスメイトくらい覚えておかないと」

「そ、そうだよな・・・。はは・・・・」

霧島雅きりしまみやび君。弓道部で頭が良くてテストで赤点なんて無縁の天才少年だよ。事故でお父さんをなくしてるんだって」

「へえ・・・」

・・・・・?

やはり違和感を感じる。

知り過ぎているのだ。

「なあ森田」

「何?」

「何でそんなにアイツのこと知ってるんだ・・・?」

「・・・あれ?なんでだろう・・・」

「アイツと友達なのか?」

「いや・・・。話したことはないけど・・・」

俺は隣のリンカをチラッと見る。

やはりリンカも異常を感じたらしく、雅を見つめている。

キーンコーンカーンコーン

「あ、じゃあ僕席に戻るね」

そう言うと淳は席に戻っていった。

「リンカ」

「ああ。何かおかしい」

「だな・・・」

「あの霧島雅という男・・・。本当にこの学校の生徒か?」

「・・・。多分、違う」

「曖昧だな・・・」

「すまん」

「まあそれが奴の術だろう。強制的にお前らの記憶の中に自分を割り込ませている・・・。そんなところだろう」

「リンカはともかく何で俺は完全に術にはまらないんだ?」

「お前の中の魔力が抵抗しているのだろう。森田が少しだけ違和感を感じているのもそのせいだ。だが奴の魔力では抵抗しきれなかったようだな」

担任が教室に入ってから数秒後に雄平が駆け込んで来た。

無論、遅刻である。

「よし、出席を取るぞ」

担任が普通に雅の出席も取っているあたり、学校の人間全員に術がかかっているのだろう。

「何者なんだ・・・?」

「さあな」

「『星屑』か?」

「私にもわからない・・・」

HRが終わると雅は突然立ち上がった。

そしてこちらに向かってくる。

「来るぞ」

「ああ・・・」

雅はリンカの席で立ち止まる。

「磯野さん、貴女に話がある」

「私にか?」

「はい。少し付き合っていただけますか?」

「断る・・・と言ったら?」

「無理には言いません」

「ふん、良いだろう。どこで話す?」

「移動する必要はありません」

パチン!

雅が指を鳴らすと同時に世界が変わった。

薄暗くなり、動くもの全てが動きを止めた。

「ッ!?」

その中で英輔、リンカ、雅だけは動いていた。

「何をした・・・!?」

「結界か・・・」

「あまり持たないので手短に話します」

雅はそう言うと英輔を指差した。

「・・・。何だよ?」

「磯野・・・いえ、リンカさん。その間抜けな男と契約を切り、私と来て下さい」

「な・・・ッ!?」

「答えは放課後まで待ちます。それでは」

そう言うと雅はパチン!と指を鳴らした。

世界が元に戻る。

何事もなかったかのように全てが動き始めた。

「何なんだアイツ・・・」

「なるほどな・・・」

「リンカ?」

「それも良いかも知れん」

「なッ!?」


To Be Continued

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ