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10ページ目「現われた妹。〜前編〜」

「ん・・・?」

英輔が目を覚ますとそこは、昨夜リンカが眠っていたソファーだった。

「・・・。そうだ、リンカは・・・?」

英輔はリンカを探して辺りをキョロキョロと見まわした。

「起きたのか」

台所の方から声が聞こえる。

「リンカ!」

リンカは台所の方からこちらに向かって歩いて来た。

「身体は、大丈夫なのか・・・?」

「この通り大丈夫だ」

昨夜のことが嘘のようだった。

英輔の目の前にはいつも通りのリンカがいた。

「その、なんだ・・・」

頬を赤らめてうつむくリンカ。

「ん?」

「あ、ありがと・・・」

「どういたしまして」

英輔はそう言って微笑んだ。

「そ、それでだな、お礼に・・・その・・・私が、お前に料理を作ったんだ・・・」

「・・・料理?」

「おかゆだ・・・」

リンカの気持ちは嬉しかった。

しかし、英輔は同時に嫌な予感していた。

ゴトリ、と音を立てて机の上に茶碗が置かれた。

「あ、ありがたく食べるが良い!」

英輔は驚愕していた。

コレを本当におかゆと呼んで良いのだろうか・・・。

こないだの麻婆豆腐まーぼーどうふのよりはマシになった気はするが・・・。(3ページ目参照)

まず、米が原型を留めていない。

更にケチャップが付着している。

スプーンですくってみるとネバネバしていた。

「何故ケチャップが・・・?」

「隠し味だ。普通に作ったんじゃつまんないだろ?」

つまんなくても普通のものが食べたかった・・・。

心からそう思いながら英輔はその物体を口に運んだ。



「そ、そういえば今日学校は・・・?」

腹痛に耐えつつ英輔が時計を見ると既に12時を過ぎていた。

学校では4時限目が始まっている頃だろう。

「ああ、今日はもう休め。私も休む」

「それは、別に良いんだけど・・・連絡しとかなきゃ」

英輔は腹を押さえつつ学校に連絡した。

2人とも風邪ということで納得してもらえた。

「なあリンカ」

「何だ?」

「聞きたいことがある。答えてくれるか?」

「さあな」

「星屑って何だ?」

「・・・。やはりお前には話しておいた方が良いな」

「・・・」

「奴らはこの世界の、主にこの町の周辺に巣くっている連中だ」

「何でこの町に・・・?」

「さあな。この町に奴らの狙う何かがある。私は星屑を壊滅させるためにこの世界に来た」

「じゃあ、最初に言ってた悪事を働く輩っていうのは・・・」

「ああ、星屑のメンバーのことだ」

「この町にそんな奴らが・・・」

英輔は何年もこの町に住んでいて気付かなかったことに腹が立った。

つまりこの町では人知れず誰かが星屑の奴らに生気を吸われているということだ。

「さあ、この話はもう終わりだ。私は少し外の空気を吸ってくる」

「あ、ああ」

そう言うとリンカは外へ出て行った。

「星屑・・・か」



夕方の4時頃だった。

不意にインターホンが鳴り響く。

「はーい」

英輔が急いで出て行くと、そこには雄平と淳が立っていた。

「高島、それに森田まで!」

「よっ!元気そうだな」

「だ、大丈夫・・・?」

相変わらずな雄平と心配そうな淳。

「ああ、明日には行けそうだよ」

「ばーか何言ってんだ。明日は土曜日だ」

「そう言えばそうだな」

「それと、ほい」

雄平は英輔に数枚のプリントを手渡した。

「げ、宿題かよ・・・」

「まあな。一応これを渡すのが本来の目的だ」

「だよな・・・」

「ん、何だお前ら」

「ッ!?」

英輔が振り返るとそこにはリンカがいた。

「あ、磯野さんッ!」

「どういうことだ桧山・・・!何でお前ん家に磯野さんが・・・・!?」

「ま、まあ落ち着け高島。話せばわかる・・・」



「なるほどね。海外から日本に来たものの、身寄りがなくて親戚であるお前ん家に住んでるってことだな?」

「あ、ああ。そう言うことだ・・・」

「ねえ、磯野さん大丈夫だったの?」

耳元で淳が囁く。

「ああ。何とかな」

「良かったぁ」

淳はそれを聞くとホッとしたように胸をなでおろした。

「それでお前は今日1日中磯野さんに手厚く看病してもらってたってワケだな・・・!?」

「いや、まあ・・・そうなるな」

ただし、おかゆのおまけ付きだ。

「チクショォォォォッ!」

「うわ、暴れるな高島ッ!」

「まったく、うるさい奴らだ」

リンカは呆れたように溜息をついた。



あの後、暴れる雄平を英輔と淳の2人がかりでなだめ、何とか家に帰した。

「はぁ、休んだハズなのに何か疲れたよ・・・」

英輔が一息つこうとした時だった。

トゥルルルルルルルル

電話が鳴り響く。

「もしもし」

英輔が受話器を手に取ると、懐かしい声が聞こえた。

「もしもし、私だよ。お兄ちゃん」

麗華れいか!」

「そんなに驚くことないじゃん!番号登録するの忘れてたでしょ?」

「まあな・・・・」

「それでさ、うち月曜開校記念日なんだよねー」

「おお、良かったじゃないか。それがどうかしたのか?」

「うん。だから時間あるし、今そっち向ってるから」

「・・・ハァ!?」

「明日の昼前には着くかなー」

「おいおいマジかよ」

「マジだけど、何かまずいことでもあるの?まさか女連れ込んだりしてるんじゃないでしょうね?」

あながち間違ってはいない。

「な、ないないないない!是非来てくれ!」

「そう?じゃあ待っててねー!」

プツッ

「・・・・・」

「誰からだ?」

あの麗華のことだ。

家にリンカがいることが知れたら何を言い出すか・・・。

「い、妹だ」

「妹・・・?」

「明日妹が帰ってくるんだよ・・・!」

「・・・は?」


To Be Continued

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