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張り込みのお供は牛乳とパン

「嫌がらせを受けてる?」


昼休み中庭のベンチに冬香に呼び出されると、そんなことを言われた。珍しく真面目な顔でだ。


「お前がか?」


「ううん、私じゃない。ていうか私だったら流石に蓮水は気づいてよ。学校ではずっと一緒にいるんだし。私じゃなくて〜その〜」


これまた物事をはっきり言う冬香には珍しく眼を泳がせ言い澱む。


「霞ちゃんが……」


「なっ!それ本当か!」


「かもね。かも。私もはっきりと知っているわけじゃないんだけどさ。霞ちゃんと同じクラスの友達がもしかしたらって」


「なんともまたふわっとした情報だな……本当かそれ?」


霞は優等生だが目立つ要素はなく、嫌がらせを受ける理由なんてない気がするが。


「なんかノートを隠されたり、汚されたり、落書きされたりしてるみたい」


「……胸糞悪いな」


「それは同感。文句があるなら直接言えばいいのにね」


いや、流石にそれはお前しかできないと思うが。そんな女子ばっかだったら俺は泣くぞ。


「多分、ノートに嫌がらせってのもやり易く他の人にバレにくく証拠の隠滅がしやすいからって理由だと思うし」


「確かにな。いや、嫌がらせなんて考えたこともないからよおわからんが」


「私だってないわよ」


二人同時にため息をつく。なんとなくこの胸のモヤモヤ感をすっきりさせたかったのだが効果は微塵もないようだ。しっかし霞が嫌がらせか…


「でも、やっぱり霞が嫌がらせを受けるような奴とは思えないんだけどな」


「霞は考えすぎ。みんな大した理由があって嫌がらせをしてるわけじゃないと思うけどね。なんかムカつくとかそんなものじゃない?」


「いや、怖っ……」


「それに霞ちゃんは可愛いし、それも理由になり得る。可愛いは罪なの」


「それってそういう意味だったけか?」


まあ確かに霞は可愛い。大しておしゃれをしているわけでもなく可愛いのは確かに反則だ。なぜ俺にもあの顔の整い方がないのか。そしたらモッテモテ生活待ったなしだったのに。


「なんかくだらないこと考えてる?」


「いや、全く。ともかくだ。俺は霞が嫌がらせを受けているならどうにかして止めたい。事実確認を済ませたいとこだが……流石に霞に直接聞くのは悪手だよな」


「まあ、普通は聞かない。蓮水がよっぽど信頼されてるなら別だけど。ね?」


冬香はどうせそうじゃないんだろう?っていう目を向けてくる。な、仲はいいんだからな!確かに今日まで相談とかされたことないけど。


「そんな落ち込まないでよ。私にちゃ〜んと考えがあるから。霞ちゃんが嫌がらせを受けてるかどうかを調べつつ嫌がらせを受けていた場合の犯人探しも兼ねた最適の手段。それは……」


「それは?」


「張り込み♡」



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