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スポーツ漫画の敵側の過去編は正直好きじゃない

これは遠い冬の夢。


***


目覚まし時計の音で目を覚ました。思いのほかパッチリと目が覚めた。どこかで聞いた話だったがレム睡眠の時に起こされると目が覚めやすいとか。……あれノンレム睡眠だっけか。まあどっちでもいいか。ニアピン。ニアピン。しかしレム睡眠か……なんかあれだよねレムの対になるっていうとノンレムじゃなくてラ……やめておこう。みなまで言うなというやつだ。そういえば俺が使ってる目覚ましはジリリリってなるタイプのやつだけど、他にも色々な種類があるよね。クラッシック流れるやつとか心地よさそうだよね。後、お金持ちっぽい。『ふむ今日のモーニングミュージックはショパンか。いいじゃないか』とかね。ちっ……何がショパンだ……失礼。ああ後あれね言葉を吹き込むやつ。あれも何考えてんだろうね。恥ずかしさの極みじゃない。だってそれほぼ毎日使うんだよ。ほぼ毎日聞くんだよ。ねぇ?……………………………………………はぁ、布団から出たくないなぁ。


出ますよ。そりゃ出ますよ。だけどね今じゃない気がするんですよ。まだ気分がいまいち乗り気でないというか。身体が本調子でないというか。頭回らんし。顔目やについてるし。あくびも出るし。まー布団から出れるコンディションじゃないよね。布団から出るってことはとても勇気がある行動でありますから!準備大事。それにあれよ、今布団から出たって1分後に布団から出たってなんら変わりはないわけだ。つまり賢いみんなならもうわかるよね。


「おやすみなさい」


瞼を閉じようとしたその時、バスバスバスと襖をノックする音。どうやら俺はここまでのようだ。


「早く起きて、学校に遅れるよ」


しょうがない起きるか。何回も起こされるのは忍びないし。俺を優しく抱擁をしていた布団から一日分のカロリーを使って抜け出す。そして襖を開ける。


「おはよう、お兄ちゃん」


「おはよう、霞」


立っていたのは既に制服をぴっちりと着た霞だ。おさげで前髪が少し目にかかっている。


「今日も早く行くのか?最近どうしたんだ?」


「ちょっとね。……あ、勉強しようと思って、朝の静かな教室だと集中できるから」


「そうか、霞はすごいな。ただでさえトップクラスなのにまだを上を目指すか」


「じゃ、じゃあいってきます」


「ほいよいってらっしゃい」


***


やべーやべー遅刻だ遅刻だ。朝ごはんをゆっくり食べていたのが仇となったか。美味しい朝食を俺に提供した霞が悪いな、うん。(←最低)


「行ってきます」


誰もいないが習慣となっているので一応言う。じいちゃん?もうそんな存在みんな忘れてるって。


通学路を軽めに走りながら急ぐ。全力疾走をするほど遅れてるわけじゃないのでこれで充分間に合う筈だ。


ほっほっほっと軽快に進む。途中自転車に乗ったやつが余裕綽々で追い越していった時はカバンをぶつけてやろうかと思った。よかったな俺が平和主義者で。ちなみに家から学校までの距離で自転車の使用許可が出る。その基準は他の学校に比べて緩いと言われているが、他の学校のことを知らないにで詳細は不明だ。





「みーーつけた☆」





ん?今何か聞こえたような?あたりを見回すが誰もいない。なんだ気のせいか。


小走りのまま俺が交差点に差し掛かったその時。


「いっけなーい、遅刻遅刻〜」


とテンプレような言葉を言いながらパンを加えた女子中学生が()()()で突っ込んできた。


「危なっ!」


俺は今季一番の俊敏さでバックスッテプ。危うくラブコメのために死ぬとこだった。何このT○LOVEる?いや、どっちかっていうとア○ザー?


自転車はその場でドリフトをして急停止すると、パンをごっくんしたJCはキメ顔でこう言った。


「ときめいちゃった?」


「違う意味でな!」


そりゃもうドキドキしたわ。心臓がキュってなった。


そんな俺のツッコミにハンドルに腕を乗せながらいたずらげに笑うJC。少し茶色がっかたウェーブした髪に着崩した制服。そのくせ赤いマフラーと手袋で防寒をしている。俺は彼女を知っている。


「おはよう、蓮水。乗ってく?」


「乗ってかないよ。おはようーーー冬香」


七瀬 冬香。俺の友達だ。







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