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アニメ◯トに初めて入るときって緊張する。

有言実行の男子コスプレ会。

需要?ちょっと辞書に載ってないです。

 そして週末。


「おお」


俺はあまりの衝撃に声も出なかった。なんというか異様な雰囲気をその場所は発していた。下手な精神のやつが入ったら五分と持たないぐらいの建物。


「これが世界的服飾専門店」


またの名をコスプレの館。俺らの町からほど近いビル街の一角。一つだけおかしな看板があちらこちらに踊っている二階建ての建物だ。


コスプレといえばここしかない!と言われるほどにその品揃えは多岐に渡る。制服系からアニメ系まで全てを店員が自作して売っているという噂のおかしな店だ。


そんな店に俺ら民俗研究部+霞の計7人で訪れた。ちなみに俺のテンションは低い。これからコスプレさせられるのかという謎の疲労感。そして俺は多人数で移動が苦手だ。自分に話しかけられてるのかなとか席に座るときどういう順に座ればいいのかなとか色々考えてしまうからだ。必然的に人数が多くなるに比例して俺のやる気みたいなものは抜けていく。


「では、入ろうか」


鬼無里先輩の号令のもと、どこか緊張した面持ちの俺と実篤と花凛さんと楽しそうなてっちゃんとアリーが店に入る。自分で言うのもなんだが精神的強さが一般人レベルの人と変人レベルの人で分かれた感じだ。


「おお」


店の入った瞬間再び声を漏らす。見渡す限りの服、服、服。置けるだけ置いてやるぜ!ヒャッハー!という気概が伝わってくる。


「これはすごい」


「すっご〜い!」


「…カラフルで楽しそう」


「確かにテーマパーク見たいね」


みんなが思い思いの感想を言う。ん?そういや実篤は?


ふと気になって実篤を見ると何かを全力でチラ見していた。めっちゃ首を振っている。ガン見したいけどそれはちょっとできないというちっぽけな紳士らしさを発揮しているようだった。


「ーーっ!」


咄嗟に声が出なかった自分を褒めたい。実篤が見ていたものは近くのコスプレイヤーさん。ビキニアーマーの。何で試着室で着ていないんだよ。てか、ビキニアーマー実際の現実で見るとすごいな。装甲の薄さが凄い。これじゃあ何も守れないだろうに。


「なあ、蓮水」


「なんだよ。実篤」


「俺ここに来てよかったよ」


「お前のそういうところが彼女できない理由だと思うは」


どこか遠い目をしている実篤を優しく諭す。同感だなんて思ってないから。


***


「それでは、今回のメインイベント二人の燕尾服の選択だね」


本当にするんだ。


連れてこられましたのは燕尾服コーナー。二列ぐらいのハンガーラックに上に着る服が一式まとめてかけられている。その横今度は一列だけズボン系の服がかけられている。というか量が多い。怒られそうだけど、これ同じじゃない?ていうデザインがたくさんあってよくわからんことになってる。


「じゃあ、僕たちは二人の服を相談して選んでくるから適当に時間を潰しててくれ」


「俺たちが選ぶんじゃないんですね?」


「自分で選んだ燕尾服を着たいのかい?」


質問に質問で返されたけど、納得。それはごめんだ。


そして女子チームは燕尾服売り場に突撃していく。


去り際に花凛さんが一言。


「誰かが暴走するようだっら止めるけど…期待しないでね」


その優しい言葉に不覚にもウルっときたが、君たちが嵌めたんだよ俺たちを?


げんなりした顔で花凛さんを送り出した。



ーー30分後



長くない!?女子の買い物は長いって聞くけど自分の買い物じゃなくてもそうなの?


スマホゲームの大富豪がけっこう上手くなりました。


30分かけて決められた服を持って今更衣室にきてます。これかぁ〜これを着るのかぁ〜更衣室で服をバサっと広げる。


絶対似合わない。


まあ、実篤よりはましか。チラッと見ただけだけど、あいつが渡された服の色は真っ白だったからな。


燕尾服をさ仕事着としてきている人っとているのかな。執事なんてもが今時いるのかな。いや、俺にはほど遠い世界の話だからなあ。


そんなこんなで手を動かしつつ、試着完了。一つ言いたいのは、これ暑くない?店内はまだクーラーが効いていて涼しいけど、うちの部室は扇風機しかないんだしきついよな。


「兄さん。まだですか…」


「ちょっと、お前入ってくんなって」


霞が試着室のカーテンから首だけ出して覗いてくる。俺が着替え中だったらどうするつもりだったんだよ。きゃぁ〜霞さんのエッチ〜ってやればいい?というか俺の格好見て目を丸くしすぎだからな。霞さんよぉ。


「はいはい、ちょっとそこどいてな。お披露目早く済ませたいから」


霞を押しのけて試着室からでる。


「おお、蓮水くんやっと出て……」


先輩まで目を丸くしないで。傷つくから。


「「「……………」」」


他の3人も同様だ。


「えっと…何か反応して貰わないとこっちも困るんですけど…」


「兄さん」


ん?


霞に呼ばれてそっちを向く。手に持っているのは銀縁のメガネとワックス。


「失礼します」


ちょ!何してんの…痛いこのメガネ度が入ってるじゃん!目をつぶっていないときつすぎる! おおう!そんなにワックスを髪に塗りたくられても…


霞の作業は2分とかからず終わり。


「完成…!」


なにかに満足したような声を出して、終了する。


うっすら目を開けて鏡を見ると、髪型をオールバックにされたようだ。完全におもちゃだなこれ。で、どうすればいいわけ?立ちポーズを決めればいい?








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