前編後編構成にするのって初めてかもしれない
「では、ゲームを始めよう」
「いや,突然何を言ってんすか?」
鬼無里先輩が開口一番変なことを言い出した。大切な話があるから今日は部活に全員来るように言っていたのに。後,わざわざ言わなくてもみんないつも部活に出席しますからね。
「失礼。つい言いたくなってしまってね。次は真面目に」
そう言って先輩は両ひじを机につけ両手を組み、その手に顔を隠すように配置すると。
「では、人類ほか」
「言わせねぇよ」
つい敬語が崩れてしまうほどの激しいツッコミをした。 やめようよ先輩。俺の中の先輩のイメージが崩れていくからさ。
てっちゃんとアリーにいたってはキョトンとしてるからね。むしろ蓮水はなんで盛り上がってるんだろう?みたいな顔をしてるからね。
「はぁ。先輩。蓮水で遊んでないでさっさと進めましょう。蓮水もいい?ボケてもツッコミ禁止だよ。話が進まないから」
花凛さんがあきれ顔でいった。
一つ言わせてもらうと、俺も怒られたの?
だけど最初にふざけたのは先輩……ああもうごめんなさいね。
ちゃんと心の中でいっている俺エロい。間違えた。俺偉い。
「はっはっはっ。蓮水くんのお茶目はいつものことじゃないか。寛大な心で許してあげようじゃないか」
ええ〜だから俺〜〜?
「今日みんなに集まって貰ったのは学園祭の出し物を決めようと思ってね」
今度は真面目な話題みたいだ。やっぱりこんな文化系最低辺みたいな部活でも出し物をするのか。
「去年はこの地方に伝わる御伽話をレポートにまとめて展示した。一昨年はこの地方の様々なお祭りについて展示した。ちなみにいうとその前もその前もその前も展示だ」
「まあ、こんな部活ですからしょうがないじゃないんですかね。結局今までたいした活動もしていないわけですし」
「甘いな蓮水くん。たいして活動をしてないからといって、文化系の出し物を妥協していい理由にはないのだよ」
「かっこよさげに言ってますが、じゃあ最初から活動をしましょうよ」
「ということでみんなにはこの部活らしくかつ面白い出し物を考えて欲しい」
そんな無茶な。この部活と面白いって結びつけること無理なやつだから。この部活でおもしろいの集まったメンバーぐらいだから。
鬼無里姉弟以外まともな人間がいないところとか。類友すぎる。
「お手元のフリップに書いてくれ。五分後に発表だ」
フリップつうか紙だけどね。様式美だからいっか。 先輩の言葉を境にみんなが黙り込む。
「……ねぇソラ」
「どしたの?何かわからないとこあった?」
「……みんな何をしてるの?」
ガッシャーン
アリーのどこか惚けた言葉に実篤が椅子に座りながらズッコける。花凛さんもどこか困ったような顔をしてアリーを見ている。
「話聞いてなかったの?」
「うん。ハスミの横顔がかわいいなぁって……ずっと見てた」
おうぅ
思わずよくわからん呻き声を出してしまった。不意打ちすぎる。やめて、みんなやめて。無言でこちらに注視しないで。
「そっかそれじゃしょうがないね。今はねみんなで学園祭の出し物を考えてるよ」
「……学園祭?」
「う〜ん。学校中をあげてのパーティみたいな感じかな〜」
「……なんとなくわかった」
「おもしろそうなの考えようね」
「うん」
なんかあれだね。いい風景だね。心が洗われるっていうか。心がくすぐられるっていうか。アリーかわいいっていうか。
女子との会話なんて相手を褒め合うか、誰かの陰口を言うぐらいだと思ったけどこういう会話もあるんだなぁ(偏見)
***
「では、発表していこうか。では花凛くんから反時計回りにいこう」
「了解しました。私の意見はこれです'展示'」
うん。なんか展示以外を考えるって話じゃなかったけ。
「花凛くんは、僕の話を聞いてたのかい」
「聞いてました。やっぱりクラスの出し物もありますし、部活はこれぐらいでいいかなって思いました…そうすれば蓮水と学園祭を一緒に回る時間が増えますし」
「花凛くん。最後何か言ったかい?」
「いえ、何も」
「そうだねぇ。花凛くんの言うことも分からなくはないが……ちなみに花凛くんのクラスは何をやるんだい」
「展示です」
「はい、花凛くんの意見は却下。次蓮水くん」
ぶぅーみたいな顔しないの花凛さん。今のは完全に花凛さんが悪いからね。
この場で求められているのは、民俗研究部に関わっているという体裁を整えられる内容とおもしろ楽しいアトラクション。これまで幾冊ものラノベ・漫画を読み、人とは比べものにならないほどの学園祭を(妄想で)謳歌してきた俺の手にかかれば、この条件を満たしたものなどすぐに考えつくことができるね。わかってますよ。先輩の考えるいることが手に取るようにね。さぁ慄くがいい俺の意見はこれだ。
「"迷路クイズ"」
「「「「「………………」」」」」
「うん?言葉が足りない?迷路作って別れ道に地域のクイズを置いて道を選ばせるみたいな」
どうだ。と言わんばかりのドヤ顔でみんなの方を見る。
「蓮水くん。小学生?」
「蓮水。そんな場所ないから」
「お兄ちゃん。センスがない」
「確かにつまんねぇわ」
「その…………ごめんなさい」
みんなで一斉に頷くと言った。
「「「「はい。却下」」」」




