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エピローグ?プロローグ!

最終章です。

最後まで頑張ります。

学園祭


それは高校生最大の行事といっても過言ではない。中学でどんなにしょぼい学園祭をやろうとも高校に入ったらランクアップするのは確実。


ここで別れ道。学園祭ガチ勢と学校行事不参加勢。どちらになるかで学園祭の楽しみ方は大きく変わる。前者の場合は準備期間から仕事に追われ夜遅くまで仲間たちと絆を深める。本番でもみんなと一緒に様々なアトラクションや出店を周り時には自分も働き充実した学園祭を過ごすだろう。


後者であれば、強制参加以外の準備はほぼサボり。当日も盛り上がれるわけでもなく、アトラクションもせず、昼ごはんに出店だけ行き、ある程度の時間で帰る。そんな無味な学園祭を過ごすだろう。


どちらがいいかはもうかしこい学生諸君にはわかってるはずだ。


俺?


俺はあれだよあれ。クラスに関わらなさすぎて今更クラスと一緒に盛り上がれない……


さ、寂しくないんだからね。


***


「これより遠江 蓮水被告の裁判を始める」


厳つい顔をした鬼無里先輩が開廷を宣言した。ここは放課後の部室。テレビで見るような裁判所風に机と椅子が設置された部室だ。裁判官は鬼無里先輩とてっちゃんとわざわざこっちの高校まで来た霞。検察側には花凛さん。弁護側にはオロオロしているアリー。傍聴席にはニヤニヤしながら座っている実圧。あれ?実篤だったけ?最近出番が少ないから忘れちゃったわ。そしてこの俺、遠江 蓮水は教室の中心で正座させられている。トゲトゲの石の上で。


何で?俺だけ江戸時代なの?



***



何故このようなことが起きているかというと、こないだのアリーの一件で俺がベロニカさんに『愛している』と言ったことが原因だ。俺のその不誠実な発言により霞アンドてっちゃんが大激怒。それを花凛さんと鬼無里先輩にリークして今に至る。


なんで二人きりの会話を霞たちが知っているかというと俺のスマホが霞と通話中のまま繋がっていたらしく、『愛しています』の言葉だけ筒抜けだったみたいだ。それ以降は電波が悪くて聞こえなかったと。


う〜ん。霞と電話中だったけか?そんな記憶はないんだけどさ。


俺とベロニカさんしか知り得ないことを知っているということは、きっと霞たちが言っていることは真実なのだろう。 ああ、それとあれからベロニカさんたちは現れていない。約束を守り国に帰ったようだ。一応アリーにはお父さんの件を問いたださなくていいのか聞いてみたが。


「……いらない。あの人たちを許す気にはなれないけど……何かをする気にもなれない……お父さんもそんなことを望んでない……私はあの人たちより生きて幸せになる……吸血鬼の私だってこんな風に生きれるんだって……見せつける。それが私のお父さんへの弔い……だからよろしくね旦那様」


アリーは悪戯っ子のように笑った。そんな笑い方ができるんだなぁと印象深く覚えている。アリーはどうやら俺たちよりよっぽど人間的に強いらしい。後、お気付きの方もいるかもしれないがアリーには呼び捨てを命じられた。恥ずかしいし最初は断ったけど、泣き落としをされた。


まあ、泣き落としでも首を縦に振らなかったんだけどね。結局、最後は普通に脅された。脅迫が普通になっている俺の人生が悲しい。どんな脅迫かというと吸血鬼の力で呼び捨てにするまで離れないって言って、夜から次の日の一時間目が始まるギリギリまでくっついてた。ほとんど限界までそんなことを断り続けた俺が言うのもなんだけど、そこまでします?


その執念にアリーに何かしらの片鱗を感じたが、気のせいだと信じたい。俺はアリーを天使のごとく育ててやる。けっこう話が逸れたな。逸れたついでにもう一つ。 霞に俺たちの秘密がバレた。


緊急事態だったようで、てっちゃんも隠し通せなかったのだ。霞には俺から詳しい話をしといたが、興味はなさそうだった。話が進むたびにどんどん霞の顔が面白くなさそうになっていたからね。なんか途中から霞がブツブツ唱えていたけど気にしないことにした。


一つ屋根の下にいる以上バレることは避けられないと考えていたが、霞はすんなりと受け入れてくれたようで良かった。


霞には俺みたいな能力が目覚めていないらしいので、子孫全員が俺みたいになるとは限らないようだ。霞と血が繋がっていなかったら話は別だけどね。ありえないけど。



***



「蓮水くん。君はアリーさんという婚約者がいながら、他の人を口説いたと聞いている。間違いはないかい」


「間違いはないです」


うん。言ってることは間違ってない。


ただ、アリーとは婚約者って勝手に決められただけで付き合ってるわけではないとか。 何故そんなことを言うに至ったのかとか。そもそもアリーは弁護側に座ってるんだけどとか色々考慮して欲しい。


「花凛くんなにか言いたいことは?」


「この犯行は女性を手玉にとった悪質な行動と言えます。是非厳正なる処罰を」


グハァ。いや、本当に言っていることは正論だけど。シリアスパートの時にアリーと話して一応おさめた気がするんですが……コメディパートにまで侵食だと。


「アリーくんなにか言いたいことは?」


「えっと、その、あの」


「わかりました」


「何が?」


「被告人は黙る」


本当に待って。この茶番は一体なに?


「では、判決を言い渡します。有罪」


でしょうね。わかってたよ。実篤。爆笑をすんな。その口にデスソースを突っ込んでやろうか。


「蓮水くんには自由を制限させてもらう」


懲役の代わりかな?


先輩もとい裁判長はてっちゃんと霞二人と顔を見合わせるとニヤッと笑って言った。


「具体的には七月二十二日、二十三日の2日間に君に自由はない」


ドンピシャで文化祭の日程ですねわかります。




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