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肉食系女子に狙われています  作者: シュガー後輩
第3章 俺と吸血鬼
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歩道いっぱいに広がって歩いてはいけません

その日の部活は解散になった。まあ、待て。色々言いたいことはあるかもしれないが、鬼無里先輩が起きたら解散の号令を出しちゃったんだからしょうがないでしょうに。


今日の部活。 お昼寝。 どんなゆとり部活だよ。


鬼無里先輩の寝起きの顔も見れるかなって少し期待したけど。ちょっと思ってたのと違った。顔を伏せていた体勢からゆっくりと上体を起こしたと思ったらパッと目が開いた。イメージ的には吸血鬼復活!みたいな感じ。その後も眠たげな様子を見せることはなかった。


ちなみに本物吸血鬼のアリーさんはというと。


めをしぱしぱしていたよ。かわいいお口でふぁ〜アリーさんまじ、きゅーけちゅき。癒されるわ。


てっちゃん?なんか色々アクションしていたけど露骨すぎてバツ。こっちをチラチラ見過ぎ減点。てっちゃんの本物?の寝起き知ってるからね。一緒に寝たことあるでしょ?


ということで優勝は一連の見事な寝起きを見せてくれた花凛さんです。わーわーわー。あれはごちそう様でした。


何の話だっけ?


確か先輩の艶やかな吸血鬼のコスプレがどうとかこうとか。


違うよね。知ってる。




で、帰路。


花凛さんとはすでに別れて今は先輩とてっちゃんとアリーさんと俺の四人で歩いてる。


「そういえば先輩。今日の部活は本当にあれで良かったんですか?」


「別に構わないよ。特に活動することもないからね」


「普通活動を考えません?そもそも何で今日みんなで寝たんですか?俺なんて別に叩き起こしてくれても構わなかったんですけど」


「私としても最初は起こそうと思ったんだけどね……」


「いや〜こう横からチラッと見えるお兄ちゃんの横顔がね何とも気持ちよさそうでね〜」


「……起こすのかわいそう」


どうもお気遣いありがとうございました。そんなに気をつかわれると逆に恐縮しちゃうぜ。部活の活動を妨げないためにもこれからは寝ないようにしよう……部活の活動? よく考えてみると今日に限らずあの部活で活動してなくね。そもそも何をする部活なんだっけ。集まって駄弁ってるか各々が好きなことをするかのどっちかだよな。 まあ、そんな部活も俺は楽だからいいけど。まてよ。そんな怠惰な部活にアリーさんをいさせていいのか? 横を歩いてるアリーさんを見る。俺が見ていることに気がつくと不思議そうな顔で此方を見た後、何かに納得すると手をギュッと握ってくる。


「「「!」」」


何故に?突然の行動にしばしフリーズするが、それもアリーさんの特殊技『天使の微笑み』によって解除される。 湧き上がってくるのは母性。湧き上がっちゃダメか。せめて父性。 それはともかく。


ダメだ。ダメだ。こんなだらしがない俺みたいな奴がいる部活になんかいちゃ。俺はアリーさんを淑女に育てるんだい。即刻変人たちな魔窟から他の場所へ移動させなければ。


「アリーさん。明日の放課後俺に付き合ってください」


他の部活を見に行きましょう。


「「!!!」」


「それはデート?」


近くで空気が騒つくがそれはスルー。無邪気な問いをかけてくるアリーさんに相対する。


「いやデートではないですけど」


「何をするの?」


「他の部活をみにいってみません?」


「他の?何で?ハスミはいないでしょ?」


部活を選ぶ基準にものを申したい。そんなことを言われてしまうのはお父さん冥利(←錯乱)に尽きるのだが。こう部活を選ぶ基準ってもうちょいあるじゃん。俺が言うのも何だけどさ。


「心配しないで」


へ?


「ハスミが色々考えてくれているのはわかってる。けど大丈夫だよ。私はちゃんと楽しい」


ふむ。


思わずといった感じでてっちゃんがアリーさんに抱きつく。


「かわいいすぎる~」


「あうあう」


抱きつかれ頬ずりをされて少し困ったような声を出している。嫌がってはいないようだ。とりあえずてっちゃんは頬ずりしながらヨダレを垂らすのをやめなさい。美少女にあるまじき顔してるから。いいからそこはどきなさい。俺が代わりにアリーさんを愛でます。


そんなほほえましい(犯罪者1歩手前)ことを考えていると。鬼無里先輩が横に並んでくる。


「よかったじゃないか。蓮水くんがしてきたことはきちんとアリーさんに伝わってるよ。きっとそれは誇っていい」


「やめてくださいよ。俺はただの責任を果たそうとしているだけですよ。先輩だってものをかったら消費税を払うでしょう?それをしたって誰も褒めてはくれないんですよ」


「ふふふ。まあ、蓮水くんはそれでいいさ。でもきつくなったら言ってくるといい。前みたいに優しくお姉さんの包容力で受け止めてあげるよ」


え?いいんですか。


食い気味で答えそうになった声を全力で抑える。危ない思わず青い衝動をぶつけるとこだったぜ。


「あー!お兄ちゃんが先輩といちゃいちゃしてるー!」


てっちゃんが頬ずりをやめて片手で未だアリーさんを抱きしめた状態で此方を指差してくる。もう!人を指さすんじゃありません。


「あまりにもそっちがラブラブだったからね。此方も蓮水くんと余り物どうし楽しく話していたところさ」


「お兄ちゃんは残さずいただきます〜余り物は先輩だけですよ」


「ほう、それは一足いや五十足ぐらい遅かったね。もう私はとっくにごちそうさましてるよ。余すとこなくね」


「そんな見え透いた嘘を」


「そういえばこないだ蓮水くんが珍しく家に帰るのが遅い日がなかったかい」


「ありましたけど。何で先輩がそのことを……は!まさか!」


「ニヤリ」


「私としたことがー!」


てっちゃんがふざけ、鬼無里先輩もそれに乗っかってふざける。何だこの漫才。


「二人は一体何の話をしているの」


俺もわかんないよ。アリーさん。










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