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肉食系女子に狙われています  作者: シュガー後輩
第3章 俺と吸血鬼
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セルフ腕枕は顔に跡が付くからやめたほうが良い

先輩とのドキドキ秘密の相談会 in先輩のお部屋から数日が経った。 あんなことがあっても世界は何も変わらず回っているようだ。具体的にいうと定期テストが終わった。


フィニッシュじゃなくてエンドした。得意教科の数学はともかく他は散々な結果だった。俺は日本人なんだよ。英語なんて将来使わねぇよ。という未来への咆哮(負け惜しみ)をしてみたりするが今更どうこう言ってもしょうがない。よし。次のテストがんばるぞい。次のテストもダメなやつだこれ。


あ、日本人だけど現代人だから古典もダメだったお。ちなみに現代文もそこまで点は取れてないと思う。


ダメダメかよ。


そんなこんなでテストの補習に思いを馳せつつ、久し振りの部活である。ちなみにしっかりとてっちゃんとアリーさんも同じ部活に入った。


男子一人に女子四人というラノベのような部活である。実篤?知らない子ですね。


ラノベのような部活とは言ったけど男女比率的にいうと他の部活でもこういうところは結構あるけどね。演劇部とか合唱部とか今年はそんな感じらしいよ。


まあ、そういうとこの男子って女子と友達のように接していて彼氏彼女になることはほとんど無いって聞くけどね。あれ?やだ?僕詰んでる?


頭の中に謎の男の娘キャラが出現した。


とりあえず部室についたから入るか。


「こんにちは」


そこには誰もいなかった。


ちょっと意味深に書いてみたけど単に俺が最初に来ただけである。


俺は部屋の奥の適当な椅子に座る。鞄からペットボトルのお茶を取り出し一口飲んでから、窓の外を眺める。放課後ではあるがまだ日は高く光が射し込んでくる。ふぅ。


眠い。すっごい眠い。テストのための一夜漬けのせいで限界がきてますわ。色々誤魔化そうとしたけどやっぱりダメだった。寝ようかな。


……………


…………


……



***


……ん


……くわぁ……よく寝た


仮眠にしては結構なすっきり感があるな。


「何これ?」


俺が部室を見渡すと全員寝ていた。みんな俺と同じように机に突っ伏して腕を枕にして寝ている。シュール過ぎる光景だ。 先生に見られたらこの部活なくなるんじゃねぇの? もう夕方だし。俺も含めてみんな寝すぎでしょう。


「……むにゃ」


リアルでそんな感じで起きてくる人初めてみた。何『むにゃ』って?それは狙っているでしょう。花凛さん?可愛く寝癖がチョコンとついた花凛さんは、一度あくびをすると体をほぐすためにのびをした。見てないよ。強調された胸なんて全然見てない。それからもう一度あくびをしながらこっちを向いて、目が合う。


「おはようございます」


「ひゃ!「ちょっと待っってください」


思わず悲鳴を上げそうになった花凛さんの口を抑える。


「むー!」


「恥ずかしいのはわかりますけど、みんなが寝てるんで叫ばないでくださいよ」


「むーむー!」


「本当にわかってます?」


「むーーーー!」


「手ですよね。すいません。確かに不躾でした。だから叩かないで。やめて」


無意識とは恐ろしい。咄嗟に女性の口を塞いでしまうとは。俺の犯罪指数いかほどだよ。 あとね花凛さん。女の子のポカポカ殴りは確かに可愛いけど。加減して。痛い。



「はぁはぁ」


花凛さんが寝起きを見られた恥ずかしさ+口を塞がれていた息苦しさで、顔を真っ赤にしながらはぁはぁしてる。 そう言えばさっき俺花凛さんの手に触れてたんだよなぁ。


バッ


ゴシゴシゴシゴシゴシ!


「痛いです。痛いです。花凛さん。自分の手をずっと見つめていたのは謝るんで、そんな強くふかないでください。手のひらが燃えます」


「燃えません!」


一通り俺の手のひらをいじめ尽くして満足したのか。俺の手を解放してくれる。


「えっと。久しぶりだね。蓮水」


「毎日横に座ってましたけどね」


「こうやって喋るのがよ」


「まあそうですね」


そこで言葉が途切れる。花凛さんは目を泳がせ、言葉を探しているようだ。


「あの時の事なんだけど……」


あの時っていうのはやっぱりあの時だよなぁ。花凛さんが正直やらかしたあの日。


「忘れて」


「へ?」


予想外の言葉に思わず気の抜けた声が出る。


「あの時の私はどうかしてた。気が動転しすぎていて頭の中は真っ白になってて、端的にいうと暴走してた。だから忘れて。あの時あったことは一切合切全てオール忘れて」


「わかりました」


こちらとしてもそれは大助かりです。やっぱりあれは雰囲気に飲まれただけだったんだ。そう自分を納得させることができるから。 俺はその時油断した。 そんな俺を見越したかのように花凛さんは特大の一撃を俺に見舞った。


「でも……あの時の気持ちは嘘じゃない」


「だから今度は私らしい態度で。蓮水がどこにも逃げられない状況で。記憶に強烈に刻み込む言葉をあなたに送ります」


花凛さんはこちらの目を真っ直ぐと見る。


「その時は逃さないから」


満面の笑みで言われたその言葉を受けてゾクっとした。何処かをその言葉で縛られたみたいで。 そんな度肝を抜かれた俺を見て、花凛さんは妖艶に微笑んでいた。今まで見たことがない表情で。 目が離せない。











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