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肉食系女子に狙われています  作者: シュガー後輩
第3章 俺と吸血鬼
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防御しかできない俺たちは奴に勝てるのだろうか?(花粉症)

ということでファミレスに来ました。鬼無里先輩と二人きりで。時間帯もあってか家族づれより高校生が多い。ファミリーレストランっていうよりファミリーless トランって感じだ。くだらないこと言ってすいやせんした。


そういえば高校生活が始まって初ファミレスじゃなかろうか。ファミレスって意外に高いからあんまり来ないんだよね。ドリンクバーも割高だしね。そんなに水分取れねぇよ。


しかも部活後直帰が基本の俺には寄り道なんてあり得ないしね。霞の俺に対する教育方針ででお小遣いが少ないんだよね……あれ?なんでよく考えたら妹に財布の紐握られてるの?なんで妹が通帳と印鑑管理してんだ。あれ?


もしかして俺家族から信用されてない?そんなまさかな。 お袋の困ったちゃんを見る目や親父のバカを見る目や霞のゴミを見るような目を思い出す。ほらこんなにも信用されているじゃないか。





店員さんに席に案内される。男性の店員ががこちらを一瞥もしないんだけど、喧嘩売ってんのかな。気持ちはわかるけど仕事しろな。仕事。


二人用の席は空いていなかったらしく四人用の席だ。よこっらせ。え?


「え?」


心の声がそのまま口から出た。


「なんでですか?」


「なんで?とは何がだい?質問が抽象的すぎてわからないな」


いや、わかるでしょー今この状況で何かがおかしいかわかるでしょー


「なんで隣に座ってるんですか?」


鬼無里先輩は俺の机を挟んだ向かいではなく普通に隣に座ってきていた。


「私の隣は嫌かい?」


「まさか、俺の隣の席じゃあるまいし先輩の隣を嫌がるバカがいるわけないですよ。もし鬼無里先輩の隣かと◯ろの隣かを選べて言われたら迷わず鬼無里先輩を選びます。」


「僕だったらとと◯かな」


「ボケにボケを重ねるだと」


くっ。さすがだな先輩は。頑なにツッコミを避ける姿勢は言わずもがな、ボケにボケを重ねることによってウロボロス(話が進まない)に陥れようとするとは。ボケ殺しの異名はだでじゃねぇってわけか。上等だ。受けてやるよその勝負。


俺は不毛な戦いへと身を投じようとしたがそれは叶わなかった。先輩が違う攻撃を仕掛けてきた。 先輩は俺の肩を両手で掴むと耳元まで口を寄せた。


「どうして隣だと思う?当ててみて?」


そう囁かれる。いつもとは違う声でーどこか艶やかな声で言われた。当ててみて?当たってますけど。


先輩の声はドラマCDをイヤホンで聴いているのより数倍良い。比較対象としていいかはわからないけど。とにかく破壊力がばつぐんだった。


どうでもいいがばつぐんの対義語は今ひとつだと思う今日この頃。


「先輩、俺がその答えに辿り着かないとでも」


「まさか君はもうすでに」


「ここで言っていいんですか?」


「ああ、私もこんな事をしたんだ。覚悟はできている」


「先輩は俺の横顔が一番かっこいいって思ってるって事ですね」


「はぁ?」


「すいませんでした!」


こわっ怖っ。今の先輩の声すごい低さだったよ。普段がハスキーボイスなせいでさっきの囁き声にドギマギしたけど、今はすごいドクドクしてるよ。心臓が。


「すいません。調子に乗ってました。あれですよね。正面の顔は長時間は見るに堪えないって事ですよね」


やっちまったーナルちまったよ。何が『横顔が一番かっこいい』だよ。死にたい。


「すいませんー注文お願いしますー」


「はい、喜んでー!」


早い!先輩が呼んだ瞬間すぐきたよこの店員。てか、ずっと待ってただろ。てゆうか居酒屋かよ。


「ここに載ってる全てのケーキをお願いします」


「かしこまりました。オーダーはいりまっす。ケーキ全種類いただきましたー!」


「「「「はいよっ」」」」


居酒屋かよここは。どうりで家族連れがいないと思ったよ。接客を見直せ。


そして鬼無里先輩はなんでスルーの上にケーキを全種類も頼んでるんですか?


「あの先輩?」


「奢ってくれるんだよね」


「え?」


「奢ってくれるんだよね」


「ヨ、ヨロコンデー」


足りるかな。急に挙動不振になる俺に向かって先輩は優しく微笑む。


「心配するな。私もあまり無理なことは言わない」


「先輩……」


「蓮水くんには……身体で払ってもらうよ」


「先輩?」


肉体労働的な何かですかね。突然先輩が優しくない。俺が何かしましたか?


先輩が俺に体を寄せてくる。俺は少し奥にずれる。

先輩が俺に体を寄せてくる。俺は少し奥にずれる。

先輩が俺に体を寄せてくる。俺は少し奥にずれられない。


ついに肩と肩が太ももと太ももが触れ合うところまできていた。


「先輩」


「なんだい?」


そう言って俺を見る先輩はやはりまだ微笑んだまま。それがあまりにも嬉しそうだった。だから俺は離れてくださいとは言えなかった。


きっと人肌がこいしいんだろう……弟と喧嘩したのかな?


「すいません」


さっきの男性店員がまた現れる。頰がひくついてるのは見逃してあげよう。四人席の隅に二人が密着して座っている状態。俺だったら火炎放射器持ってくる。


「注文の品をお持ちしました」


ケーキが六つ並べられる。全体的に緑色なのはどうやら抹茶フェアらしい。


「それと相席してもらってもよろしいでしょうか?」


相席?周りを見渡すといつの間にか混雑している。たくさんの高校生が占拠していた。何人か血走った目でこちらを見てくるのは気のせいだと言うことにしておこう。


「いいですよ」


鬼無里先輩にも目で訪ねるが、コクリと頷いてくれる。だけどその顔は不満そうだ。先輩が人見知りだとは知らなかった。


「ありがとうございます。どうぞこちらの席へ」


店員がの後ろから女性が現れ向かいの席に座る。黒いジャケットにパンツ。白いブラウスを着ている。一言で言うならSP風。OLさんかな?


あと、黒い帽子にサングラスと黒いマスク花粉症さんかな?先輩はその女性をそんな血走った目で見ないでください。


(怪しい)花粉症のOLさんと相席することになった。






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