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サスペンスドラマにおける主人公の閃きを助ける脇役の存在が割と好き。

さあ!みんなこんっばんっわ〜!


いつもあなたの心にいますみんなのアイドル、蓮実だよ。


僕は今日はねある女の子とデートに行って『ああ、一日楽しかった。キャピルン。』みたいな感じで帰ってきたんだ。マイホームに。マイファミリーのもとにね。


じゃあ、今の状況を確認するね!まず僕正座!うん、日本の伝統的な座り方だね。正座は、男性は膝の間を少し空けるそうだけど僕の家の場合は道場を開いてる関係で閉じる座り方をしちゃうんだ。


えっ?何故かって?それはね急所を守るためだよ。豆知識だよ。ちなみに親指と親指を重ねるように座るのが綺麗に座るコツかな。


次!少し離れたところに座っているのが、僕の両親だよ。いい笑顔でこちらを向いて座ってるよ。ニコニコとかニヨニヨとかニヤニヤとかいう効果音がつきそうな素敵な笑みだね!


うん?なにか二人が喋ってるようだね。耳をすまして聞いてみようか。はいそこ静かに〜。


「あの子達ったらあんなに仲良くなって…お母さん嬉しいわ」


「やっぱり僕たちがいなかったことで逆に二人で協力しなければという意識が生まれて仲が深まったんだよ」


「かわいこには旅をさせろっていうしね。正解だったのかも知れませんね」



ツッコミの大行列や〜。頭の中で言葉が消えては次の言葉が現れてくる。これが泡沫か。風流だね。


気をとり直して次は僕の妹、霞だYo!これまた日本の心を体現してると言っても過言ではない。ほら見て見事な仁王立ち。無表情のくせに迫力は伝えるという器用なことをしてるよ。


じゃあ状況説明終了だよ!


突然の謎テンションになったことをお詫び申し上げます。自分でも自分のキャラを見失っているのは間違いないようですね。やりたいからやった後悔はしてない。


そういえばさっきのキャラでみんなのアイドルとか言ったけど、その後直ぐにデートしたとか言ってるし迷走具合が半端ないね。


まあ(どうでも)いいか。もう一回この状況をわかりやすく説明すると。


俺、家、帰る

居間、行く

霞 「正座」

俺「えっ?」

霞「せ・い・ざ」

俺「はい。」

↑居間ここ、あっ間違えた。今ここ。


もう本当に訳わかんない。


「で、兄さんに聞きたいことがあるんですけど。いいですね」


「おう。どんとこい」


「兄さんは昨日私に、今日は実篤さんと遊びに行くと言いましたよね」


「言ったね」


まあ嘘だけど。


「おかしいですね。私が出かけた時偶然にも実篤さんに会いましたよ?」


ヤバし。くそーあのニート野郎こんな時に限って家を出やがって。←(名誉棄損)


「兄さんは私に嘘をついたってことですよね。意図的に。私を騙すために。別に兄さんが今日どこでデー……何をしていようと。誰とデー…ナニをしていようと。私は全然、全く、微かにも、これぽっっっっっっっちも気にしないんですけど。ただあの放浪両親がいないなか、二人で協力して、過ごしてきてそれなりにそれなりには仲のいい兄妹だと思っていたんですけど、そこに簡単に虚言を吐かれたことについて気にしているんですが、その辺はどのようにお考えですか?」


「本当にすいませんでした」with 土下座。


プライド?はっ、頭をさげることさえ許さないプライドなんて捨ててしまえ。


「今日起こったことを事細かに話すので許して貰えないでしょうか?」


「いえ、ですから家族だからと言ってプライベートの時間まで干渉するつもりはないですよ。秘密にしたい事だってありますよね。ねぇ兄さん?」


「すべてを話させていたただきます!」



なんか俺、結構な割合で霞に怒られている気がするなぁ。



***


「そういえば帰ったら師範が庭の蔵に来るように言ってましたよ」


言葉を重ねに重ねを重ねて機嫌をとった霞がやっと普通に話しかけてくれる。


霞のいう師範というのは俺の父さんの父さん。つまりはおじいちゃんのことである。うちの道場の師範であるため霞は家でも師範と呼んでいるのである。


ん?ちょっと待って


「「「えっ?おじいちゃん生きてたの?」」」


俺と俺の両親の声がかぶる。


「この人たちは、もう……」


霞は呆れたように片手を頭に当てながら首を振る。その仕草が滅茶苦茶似合っていることに霞の心労具合がうかがえる。


呆れられはしたが、これはじいちゃんがいけない。じいちゃんは道場に隣接している5畳ぐらいの部屋に寝泊まりしており、こちらで会うことはまずない。道場は門下生のためにトイレ、風呂完備である。


唯一霞だけは、道場に毎日行って習っているし、じいちゃんのご飯も運んでいるので顔をあわせる機会が多いのである。


あれ?ちょっと待って、霞さんって俺たちの毎日のご飯作って学校行って道場に通って、家事までしてる。やばい霞さんにお世話になりすぎている。俺は兄の癖になんてカスでゴミのようなのだろうか。いや存在を求めるのも烏滸がましいぐらいだ。俺なんか無だ。


「はぁ〜全くお父さんも自分の父親のことぐらい気にかけてください」


「面目ない。反省してな……してますよ。はい。もちろん」


ふざけようとして自分の娘に睨まれてやめる父。本当に思春期の女子を育てるのは大変だわ。


えっ?今は関係ないって?なんてこと言うんだ。その通りだよ。


「まあ、師範も修行と言って飲まず食わずで蔵に引きこみっているのもいけないんですけどね」


「「「えっ?おじいちゃんそれ生きてんの?」」」


即身仏にでもなるつもりですかね。


因みに霞がじいちゃんからの伝言を知っている理由は、流石に心配で毎日一回は見に行ってるからだとか。


***


汚い。蔵に入って最初にそう思った。よくわからんものがそこらかしらに置いてある。遠江家は意外に歴史が古いようで昔の貴重な資料とかも置いてあるそうで、捨てるに捨てれないらしい。ガラクタばかりだと思うんだけどな。


そこまで広くない蔵のはずなんだけどじいちゃんは一体どこにいるのだろうか?


「どわっ!」


何かに躓いて盛大にこけてガラクタの山に突っ込む。もうもうと埃が立ち込める。


「ゲホっ、ゲッ、ゴホンッ」


やちまった。色々散乱してるな。取り敢えず崩れたものはつんどくか。


結構様々なものがあるな。うをおれんちの家系図とかもあるんだ。……ん?


「この本うちにもあったのか……というか見るからにしてこれが原本なんじゃないのってぐらい古いな。どれどれ……」





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