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お前は大事なことを忘れている。

 「突然どうしたんですか?」


 英さんがそんなに真面目な顔して意見を言うなんて。これからボケますっていうフラグでしかない。



 「私ね気づいたんだ自分の小ささに浅ましさに」


 これボケのやつだ真剣に聞かなくてもいいやつだ。あえて『浅ましい』とか使ってきたあたりにそんなことを感じたり。


 「ネットでまず調べてみたの『生肉』を」


 「ほう」


 「そしたらねたくさん居たんだよあそこには、生肉ユーザーが。その人達はみんなね生肉が好きなの。あのブヨブヨとした感触がたまらないって人もいるし、蓮水くんは驚いたけどひき肉を食べている人だっている。レアの延長線上にあるものって主張する人もいたの」


 ネット社会怖ぇ。世界が広ぇ。えっ何生肉食べる人そんなにいるの!音を立てて常識が崩れていくんですけど。その人達大丈夫かお腹。自分の体は大事にしてよ。


 あっだけどこの後英さんが何を言いたいか察したは。略して『あっ察し。』てやつだwwwやばい俺もネットの世界に旅立っていきそう。


 「だからね、私自分のこの悩みを受け入れようと思うの。これは個性なんだよアイデンティティなんだよ。人と違うことが当たり前なの。中学の時に感じた疎外感もきっと私が一歩離れたんだってわかったの」


  「……そうですか」


 「こんなに付き合わせちゃってごめんね。こんな解決方法になっちゃたけど」


 謝る必要なんかない。言ってることは概ね正しい。自分の悩みなんだ。それは自分の所有物だから好きにしたらいいと思う。あなたが納得できるなら押し殺す、受け入れるというのもありだろう。


 だけど、それでも。


 「英さん」


 「何?」


 晴れ晴れとした顔でみてくる。くそっ。この言葉をぶつけなきゃいけないなんて……あー残念。



 「何、いい風に終わらせようとしてんですか?」


 「………………………………………………へ?」


 間の抜けたような声を出す。


 「いや、英さんが生肉好きをそういう感じで解決しようと思ったのはわかりました。あんまり俺はその部分を重要視してないんですよ」


 「えっと……私が言ったこと何かおかしかった?それともどこか論点がずれていた?」


 「俺が言いたいことはそんな事ではありません」


 俺が英さんに協力しようと思った理由の一つ。そうそれは……


 「そのネット民の方々に人を食べたいと思った人は居たんですか?」


 そうそれは身の安全(・・・・)


 「あっ……」


 顔が真っ青になる。


 「そこらへんの犬や猫もみて美味しそうと思った人はいるんですか?」


 「………」


 遂に顔を伏せ項垂れる。


 「英さん……協力入りますか?」


 「お願いします」


  英さんの一連のボケ?が終わり調べ物は第2段階に突入。


 ここまでの実入り。

 ・生肉好きの仲間を得た。

 ・美少女の低頭姿を見れた。



***



 「ということで英さんが突っ走らないように二人で調べましょうか?」


 「そう言いつつ、女の子と肩を並べていたいだけだったりして」


 「………………」


 「ごめん。私が悪かったからガチスルーはやめて。そろそろHPが…」


 自爆にも程がある!リアルでイラッときた。


 「話を進めますけど。もう人食に焦点を絞って調べていいですか?」


 「……お願いします。」


 そんなうわぁみたいな顔をしないで欲しい。俺を食べようとしたのはそっちだぞ。確かに人食って言い方はエグいけど。そんな感じでしか調べようがないでしょうが。


 ほいっとキーワード書籍検索『人食』


ーーーーーー検索中


 『カニバリズムのすべて』『南米密林秘密文明の謎を追え』『実録!殺人鬼が語る。』『人食鬼の館の殺人』『東洋医学大全』『食べ物の好き嫌いと人の好き嫌い』『雪山墜落事故の真実』『ゾンビ!ゾンビ!ゾンビ!』……………



 「ゾンビ!ゾンビ!ゾンビ!がすっごい気になる」


 「奇遇ですね俺もです。」


 わかってる若干の現実逃避が入っていることぐらい。だけど他の物が危ない匂いしかしない。流石に『人食鬼の館の殺人』はフィクションって書いてあるな。まあ周りのラインナップも五十歩百歩だけど。


 「頑張ってこれらの本を探してみましょう」


 「しょうがないよね」




***


 本を探して読んだ結果、こうなりました!デデーン!


 「………うふふふふふふ……私って……私って……」


 英さんのテンションが、ガタ落ちさ!さっきから椅子の上に体育座りしながらブツブツ言ってるぜ!はっはー気持ち悪い!ごめんなさい。無理矢理テンションあげてみました。本当に読んでいて気分が下降する読み物ばかりだった。ごく稀に心理学の本とかがあって安心した。…心理学の本で癒しを覚える精神状態もやばい。人を食べる理由が呪術的な意味、漢方、救命措置ぐらい。後はみなさんの御察しの通りの人たちね。


 「そっかー私ってやっぱり変なんだー。ああー個性とか言ってた自分が恥ずかしいー。もうこんなの特異とか特性だよー。ごめんねー蓮水くんもーこんな変な女に付き合わせてー。あっ私なんて女を名乗るのも烏滸がましいかー」


 英さんは病み属性も持ってんの。英さんのキャラがもはや飽和状態なんですけど。一人でそんなに抱えて何がしたいの。


 病み属性の女の子っていいよね。ハイライトが消えた目。過激になる行動。早口で繰り出されるあなたへの愛の言葉。連呼される名前。


 …うむ、いいですね。ゾクゾクしてきた。実際にはいないと思うけどね。こういうのってやっぱり二次元限定だよね。現実にいたら中々迷惑だしね。後、美人限定。


……わかったよ。そろそろ英さんをどうにかするよ。



 「英さんはその点大丈夫ですよ。美人だから病み属性でも」


 「うふふふふふふふふ………へっ?……ふぇ!美人!?」


 間違えた。考えていたことの方が出ちゃった。やばし俺キモし。俺の方がふぇだよ。


 「ああっと……そうだまだ検索していた書籍残ってましたよ最後調べましょうよ」


 「………………美人………ふふふ。」


えっと最後の本は…『ひとくいおにとうつくし姫』


民話かよ!

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