ドリンクバーだけで粘る高校生は面倒。
「図書館に行きましょうか?」
俺はやっと落ち着いた英さんに提案してみた。さっきまで俺の肉を食べることに必死すぎた事が判明し自己嫌悪に陥っていたからである。あの時はやっぱり自我がなかったんだ……怖っ。
「図書館に?何でまた?蓮水くんは図書館デートとかしたい人?図書館デートって上級者向きなんだよ。もう喋らなくても通じてるぐらいのカップルがやるもんなんだよ」
知らんがな。そもそも俺らカップルではないし。図書館デートとか別にしたくな………いや図書館デートはしてみたい。さっきも言った感じで図書館で出会っていつも図書館でしかあの人に会えない。出会っても少しの会話のみ、お互いが意識しているのになかなか縮まらない距離。透明系純愛恋愛小説『あなたに逢えて』こうご期待!
途中から変な方向に行ってしまった。
「ではなく、やっぱりここで話していても限界があると思うので調べ物ができる図書館に行くのはどうでしょうということです」
「そういうこと。わかった。そこまでしてもらうのもしのびないけど協力してくれる?」
「はい。今度は悩みを聞くのではなく悩みを解決することを了承したので当たり前じゃないですか」
「それでもちゃんと礼儀は大切にしないとね。」
そういうもんですか。律儀な人のようで。まっとりあえず図書館に向かいますか。
***
ここの市にある図書館はごく普通の図書館である。全国的に見ても、蔵書数、敷地面積、利用者数の値は平均的である。市立に限ったものであるが。まあこの図書館はインターネットも完備しており何か調べ物をするには快適なのだ。というわけできました市立図書館。休日ということで、館内は家族連れやお年寄りで賑わっている。静かだけど賑わっている。なんか変な感じだよね。後、勉強している人もいる。
四月の半ばにすでに図書館で勉強している人ってどんな人なんだろうね。浪人生か、テスト前か、勉強が趣味な人か。まあ、どうでもいいけどね。あっ、勉強が趣味な人は実際にいますよ。本当に。ガチに。その人勉強しかやることがないんですけどね。別に侮蔑で言ってるわけではないのであしからず。それも一種の才能でむしろ尊敬する。
もう一回だけ話が脱線するけど『尊敬に値する。』っていう文すっごい偉そうじゃない?お前のことはまだ全然認めていなかったけど、まあ今の事だけは認めてやらなくもないかな。みたいなお前より完全に格上感出してる。褒められてるんだが舐められてるんだが。
閑話休題
「じゃあ適当に調べましょうか?」
「うん、どうする?」
「英さんはネットを駆使して頑張ってください。俺は書籍の方を調べてみます」
「そこでデートという名目にも関わらず別行動を提案する蓮水くん素敵だね」
「えへへ」
「褒めてないからね。ちゃんと照れたような顔しようね」
あらやだ照れちゃう。そう言いながらも素直に指示に従ってくれる英さんも素敵です。
じゃあ、こちらもやりましょうかね。とりあえずパソコンで書籍検索ができるみたいですから行ってみよう。
とりまキーワード検索で、『心理学 嗜好』でやってみようか。ポッチとな。
ーーーーーー検索中
ふむふむ、色々あるな。
『心理学と好き嫌い』『食べ物の好みからみる人の性格』『こんな人間は嫌いだ』『心理学者は思考する』『悪用禁止!相手の心を読み抜くメンタリズム』『性的嗜好と食べ物の関係』『心理学を学ぶには?』……
うん、個人的には『こんな人間は嫌いだ』がすっごい気になる。これ大丈夫かな作者の愚痴しか書いてないんじゃないの。とりあえず、プリントアウトしといて後で見に行こう。
次、いってみよう!『生肉』で検索!
ーーーーーー検索中
『食品問題〜生肉の危険性について〜』『食中毒事件から考えるユッケ』『生肉にはたくさんの細菌が!』『生肉将軍が教える。おいしい生肉の食べ方』……
な、生肉将軍!なんか凄い人がいるんですけど。大体の本が生肉の危険性について触れてんのにこれだけ全力で逆らいにいちゃってるよ。とういうか何で置いてあるんだよそんな本。自費出版の匂いしかしない。
一通り読んで英さんに教えてあげよう。しっかりと注意喚起しないとね。
***
「蓮水くん。私はもう解決するすることを辞めようと思うんだ」
「はい?」
キーワード検索で調べていた本を片っ端から読んでいたら英さんが近ずいてきていきなり言われた。生肉将軍さんの本はかりられていた。読む人いるんだ…題名的にすごく気になるのはわかるけどね。
えっ英さん。もう悩みはいいってこと?急転直下にもほどがある。朝令暮改にもほどがある。意志薄弱にもほどがある。あと……なんだ。
短くてすみません。
話がいっこうに進まないのは蓮水くんの思考が取り止めもないせいです。




